episode14-5.樹ノ国の墓と静咲の過去5
「お義兄様聞いてぇ。ギルラスったら、人に近い娘に夢中なの。私も会いたいって言ったら、お前は、食いそうだから駄目だって!私だって分別位あるわ。嫌な感じ。私だって可愛い娘はめでたいわ。」
静咲の無視も、お構いなしに、ペラペラと、話していく。
「そう言えば、その娘、お義兄様の求愛の相手って本当?」
その疑問に対し、更に無視をする静咲に対し、
少女は、口が裂けんばかりににやりと微笑むと、
瞳を深紅に輝かせ、少し面白可笑しげな表情を浮かべながら、
ゆっくりと強調するように、更に静咲に言う。
「お義兄様が何もお答えにならないなら、私も求愛の一人に立候補しようかしら。」
その言葉に、静咲は、思い切りじろりと、少女を睨みつけ、言い放つ。
「そんな事をするなら、サハラ。お前の輪廻の願いを叶えてやれなくしてやる。」
先程まで閉じられていた瞳は、開かれ、瞳孔は群青色ではなく発光した群青色に染まりながら、
サハラと呼ばれる少女を睨みつけて居た。
「あらまぁ。激怒し、私の輪廻を消そうなどと考えるなんて、
本気で情をお持ち何ですね。
こんな事!誓って言いますが、サンザーラの魂が甦り、
私達の瞳孔ノ呪いも解かれるのでは?」
からかう様に、静咲に言うサハラ。
「やはり、お前は、あの腐天仙の妹だ。」
「お義兄様の妹でもありますわよ?」
クスクスと、笑いながら、静咲に言うサハラ。
「ギルラスが、あの娘に合わせないのは、
お前が、数少ない女の樹天仙で在りながら、女知音だからだろう。」
「あらま。お義兄様。私は好きで女になった訳ではございませんし、前世は男ですわ。」
サハラは口元に手をあて、驚いた表情をするが、
それは、心から驚いている訳ではなく、
言葉は、静咲をからかって居るのが、
静咲にはてにとるように解った為に、静咲は、呆れた顔をし、ため息を吐く。
「お兄様達は、情についての解釈が似過ぎていて、
見て居て反吐が出ますわ。方や、指をくわえて見て居るだけ、
方や情が解らないと駄々をこねているだけ。」
サハラのその言葉に、勢いよく起き上がり、
サハラを睨みつけるが、サハラは、そんな静咲を気にもせず言葉を続ける。
「お二人共、相手を庇護して居るのだとおっしゃりたいのでしょうけれど?
私からしたら、それはただの、情への言い訳。
本当に情を感じるとおっしゃるならば、自らの庇護をせず相手の鼓動を感じ、
相手の本当の想いを感じ、相手の望む事を感じるべきです。
あら?あらあらあらあら!私今とっても、とっても、とっても、良い事を、
言いませんでしたか?これは、サハラ辞書に記載ですわね。」
静咲は、大きくため息を付きながら、再びその場にうつ伏せに寝転がる。
「お義兄様は、菩提樹ノ君である前に、樹天仙です。呪いを受けたのはお義兄様だけではなく、
我々樹天仙全てで、それを少しでも軽減してくださる為に、お義兄様は、
その大きな力を浪費して居ます。ならば、お義兄様が求める欲を幾つか求めても、
神サンザーラや容無き神は怒りはしないでしょう?」
サハラのその言葉を、地面を見つめながら、静咲は、黙って聞いて居た。




