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episode2.時は流れて....。

episode.2時は流れて....


「ミルディア。ミルディア‼んもぉぉぉ、きっと水飲み場だな?

今日は何時もより光が強くて照り返しも強いのに。

きっと、今日帰って来るラッドの為にまた何かプレゼント拾ってるんだ。」

水色の肩まである髪をふわりと風になびかせながら、

モノクルを治しつつ、青年は、空を見上げながら、

眩し気にそう言うと、ミルディアが居るであろう、村で唯一の水飲み場へと足を向けた。



「ううん。これ?違うなぁ。あっこれが良い!

うう。違う。これはちょっと・・・。」

ぶつぶつと、つぶやきながら、水飲み場付近の砂漠に落ちている綺麗な硝子玉を見ながら、

その細い首を横に振り、縮こまりながら一生懸命に、

一番きれいな硝子を探す女の子の姿がそこにはあった。


その瞳は、この灼熱の光で出来た硝子にも、夜の星空にも、きっとない程に、

綺麗な深い、深い緑色に輝いて居た。

その大きな瞳は、真剣に、そして、きょろきょろと、

〝綺麗な物〟を一生懸命に探していた。


肌は、砂漠に住んで居る者とは思えない程に、透き通る程白く、

それに合わせる様に、髪の色も真っ白だった。

しかし、その白い色は、決して褒められる程潤いある物ではなく、

まるで森の奥に住み付く老婆の様な質感だった。

そんな髪を、短い癖のある髪を砂漠の熱い風になびかせながらも、

少女は夢中になって、それを、探していた。


「ん?うわぁ⁉」

しかし、急に近くの人に驚かれてしまい、集中して居た、

彼女ですらも、驚き、思わず立ち上がる。

その声は、友達と出くわしたうれしい驚きの声でも

素敵な何かを見つけた声でもなく、

明らかなる嫌悪の眼差しが含まれた声だった。


村で唯一の水飲み場の為、村人が来るのも、当然で、

その叔父さんも、息子である男の子と共に、水汲みに来た様子だった。


「あっ。あの。こんにち「うわぁぁ化け物!」

挨拶する間もなく、それは、言われてしまう。


「あっ。」

彼女が、引き留めよう物なら。


「父さんによるな!」


「いた。」

男の子に、石を投げられてしまった。

そして、親子は、そのまま逃げ去ってしまう。


「あっ。あの。お水・・・。私。化け物なんかじゃないです。」

そのか細い指で、引き留めようとするが、親子の後ろ姿は、もう無い。

しかし、最後までその言葉を言いながら女の子は目を伏せる。


「私は・・・・。私達は。化け物じゃ。

ありません。お水・・・。飲んで行きませんか?」

彼女の瞳から、涙が零れ、それは、地面に一つ落ちると、コロコロとした、宝石になった。


「あっ。行けない。また、宝玉を作っちゃった。帰ってきた、ラッドに叱られちゃう。」

彼女はそれを、拾い上げると、腰に取り付けて居た、小さな巾着に入れる。


そこには、先程と同じ色の宝石が入って居た。


「おぉぉぉい!ミルティ!」

その軽快な足音の持ち主は、まるで、夏の爽やかなミントの様な澄んだ声で

自分の事を高らかに呼びながら此方に走って来る。


「ルーティ!」

ミルディアは、ルーティに微笑みかけながら、

今まで俯き、縮こまって居た身体を、膝立ちにし、手を思い切り振る。


何故なら、彼、ルーティ=ザンは、この村出身でありながら、

唯一彼女、ミルディア=スカイと、此処には今は居ない、トラッドネス=ガイアを、

化け物扱いしない、存在だったからで、ミルディアにとっては、

この村で二番目に安心できる存在でもあったからだった。


「ねねねねねねねねね!見て、見て、見て!

これ自動式の弓矢だよ!

あと、これも!この間、あの古の時代に崩壊した、ボロボロの遺跡に行って、

見取り図を新たに書き直したんだ。出来ればあの地下まで行って、

殆どが破損していた絵の中の人物の遺体でも見つかってくれたら、

古の時代の生態系が解るんだけどなぁ。」

うっとりとした表情で言う、そのボロボロの遺跡とは、

村の入口と全く正反対に位置する場所にある、謎の遺跡の事だ。

嘗ては、この、光と命を司る大陸を支配していた神がそこに住んで居たとか。

普通なら、神聖な場所らしいのだけれど、

何時しか、ミルディアの民が此処に住む様になってからは、

幽霊が現れるだのなんだのと、うわさが流れ、呪われた場所となってしまった。


ルーティが言うにはここが砂漠と化す前は、この大陸一体を城の何かしらの材質で作られた、

塀が囲んでいたのではないかと予測しているらしい。


その証拠に、各、大陸の終わりとされて居る場所は、

今は基本、断崖絶壁だが、その所々に、古に使われていた文字が刻まれた外壁が残されて居るのだとか。


そして、ボロボロと言われている城ですら、嘗てはこの大陸の4分の1を占める程大きく、

今となっては、4分の1どころではなくなって、面影も無い程木端微塵となったそれは、

砂漠の風で更に風化の糸をたどりつつあるのだった。


嘗てはここを、統治していた神の絵も飾られていたが今となっては、

肖像画の人物の髪の色以外、男だったのか、女だったのか、

美しかったのか醜かったのか、私達と見た目は似ていたのかどうかすら、

判別がつかない程風化して居る。


けれど、ルーティはそれを頼りに、今も尚、古の時代に何が起きたのか、

何故神々達はこの地から消えたのか、そして、種族の違いについて詳しく調べ、外界にも詳しい。


「凄いね。でも、これ、又使う時になって、壊れない?」

微笑みながら、言うミルディアに、ルーティは・・・。


「壊れる事は無いよ?まだ未完成なだけ。」


「えっと。ルーティ?それ・・・。そもそも、壊れる以前の問題なんじゃ・・・。」

少しだけ、苦笑を浮かべながら、ルーティに言うミルディアだったが、更にルーティは、続ける。


「あとね、これなんてどう?」

そう差し出されたのは、明らかに怪し気に、ポコポコと気泡がしたから湧き出している、茶色い液体。


「ルーティ。これは、飲み物なのかな?それとも・・・。「何言ってるの。ミルディアが、その髪の色を気にして居たから、毛染めを作ってみたんだ。

試しに塗ってみようと思って、探してたんだよ?」

ミルディアは、それを聞いて、一気に汗をかく。


「えっと。えっと。」


「ちょうど水飲み場だし、塗ってみて、何か起きれば、洗い流せばいいよ。」


「何か起きてからじゃ遅い様な気がするのは・・・。私だけだったりするかな?」

という、ミルディアの言葉は、ルーティの耳には最早入っておらず、

ルーティは、少しずつ、にじり寄って来る。


「いっいや。ほら。私、今色々忙しいし・・・。いやぁぁ。」

ミルディアは、そう言うと、反対側の水飲み場の方に逃げる。


「あっ駄目だよ。逃げたら。」


「だって・・・。だって。ルーティ。本気なんだもん。」


「当り前じゃないか。君、何時も気にしてるだろう?その髪の色。だから僕。」

俯きがちになる、ルーティに対し、ミルディアは、何だか、その気持ちを汲みたいと思い・・・。


「ルーティ・・・。」

その名を呼びながら顔が綻び、逃げる足を思わず、止める。


ポコポコ

けれど、はっと、ルーティが手に持って居る、茶色い液体により、我に返り。


「うっ。嬉しいけれど。で、でもね、ルーティ。私・・・。今探してる物があるの。

私の悩みを解決してくれるのも良いけれど良かったら、

そっちを手伝ってくれると、嬉しいかな?」

そう言うと、ルーティは、俯いて居た頭を一気に上げ、

顔もまるで空の光の様に明るくすると、手に持って居た、

それを放り投げるなり、思い切り頷く。


「何をすればいいの!?」


ミルディアは、驚いて居た。

ルーティの切り替えの早さにではなく放り投げられた、

先程の液体が、地面に落ちた時に、水飲み場に唯一生えて居た、

地面の草花が、溶けて行くのを見て、驚いたのだ。


あっ。あれを、頭に塗って居たら・・・。

私、白よりももっと真っ白になって居た気がするわ。


そう思った事は、ルーティには言えない。



ーーーーーー



「硝子玉?」

ルーティは、ミルディアとは反対側の熱い砂の中を探しながらミルディアに問う。


「うん。随分前にラッドにプレゼントしたの。

ラッドが無事に旅から戻ってきます様に。て。

だけど、失くしたって言って、聞かないの。

どこで失くしたか聞いたら、旅の中で落としたって。」


「トラッドネスが君のプレゼントした物を?

信じられないなぁ。それ、本当に、トラッドネスだったの?」

ルーティは、そう言いながら、汗をぬぐうと、

ミルディアをふと見つめると、ミルディアの表情は何処か曇って居た。


「ミルディア?」


「怖いの。トラッドネスは、今まで沢山私にくれた。

物じゃなくて。気持ち見たいな物を沢山。

だけど、私、何もお返しできなかった、

だから、その代わりに、その時、私にできる精一杯のお返しをしたつもりよ?

その一つが、あのトラッドネスの無事を祈ったお守りだった。それを、失くすなんて。」


「だから、もう一度作ろうとしてるの?」

ルーティのその言葉に、ミルディアは、ゆっくりと頷く。


「ほら、ラッド・・・。もうすぐ帰って来るでしょう?

だから。それまでに、完成させて、今度は無くならない様に、この、友情の宝玉で結び付けて、腕輪にしようと思うの。」

ミルディアは、そう言いながら、腰につけて居る小さな巾着を見つめる。


「まさか、それ全部⁈」

ルーティは、巾着を指さしながら、驚くと、ミルディアは、苦笑しながら、頷く。


「うわぁ。トラッドネスきっとそれ見たら、町の人間に対して怒るのが、僕今から想像できちゃう。」


「ラッドの腕飾りの為に作ったって言えば、機嫌も直るでしょう?一石二鳥だよ。」

満面の笑みを浮かべながら、ルーティに答えるミルディアに、ルーティは更に言う。


「でも、ラッドは首飾りとして持ってるでしょう?

多分ミルディアのその一石二鳥の考えのどっちかは、どのみちばれちゃうよ。

どっちかがばれれば、きっと全部ばれちゃって、最後は追及されちゃうんだ。」

ルーティは、笑いながら、ミルディアに言う。


「やっぱり、ラッドには見抜かれちゃうかな。」


「当り前だよ。トラッドネスは、君に対してだけは、

鋭い勘を持ってるからね。それこそ、樹ノ国の樹天仙並みじゃないの?」

ルーティは、再び砂の中を硝子玉を探しながらミルディアに言う。


「ジュテンセン?」


「あっ、樹ノ国(じゅのくに)ってあるだろう?金ノ国(きんのくに)と戦争をしてる。そこの支配階級の総称なんだけど、異常な嗅覚と不思議な力の持ち主なんだって書物に「あったぁぁぁぁぁぁ‼」

ルーティのその言葉に、ミルディアの明るい言葉がかぶる。


「これが良い!絶対これが良い。きっとこれが、一番かわいい。」

それに対し、ルーティは、薄く微笑みながら、ミルディアを見つめると。


「良かったね。見つかって。」

そう一言つげた。

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