#22.5 姫路真恋の鼓動
――真恋の部屋
今日を、いつまでも反芻する。
明らかに自分の焦り過ぎで起きてしまった騒動は、やっぱりあの人がどうにかしてくれた。
どこか慣れたふうにも、何かを思い出しているふうにも見えたあの3組の教壇での彼の演説が押し留めたのは、行き過ぎた噂だけではなかった。
もう、ヒトからの風評には慣れたと思っていた。
もう、何を言われても友さえいればどうにでもなると思っていた。
だけど、彼を馬鹿にされ、私の脚の麻痺まで揶揄されて、足がすくみ手が震えてしまった。
彼の手が私に触れなければ教壇についていくことすらできなかっただろう。
……未だ幼い私は結局誰かに頼らなければ、言葉一つにここまで揺らいでしまう。
こんな体たらくで独り立ちなどと考えていたのは無謀が過ぎたんだ。思いしれ、姫路真恋。
ああ、頼れて、安心できて、格好いい。そしてきっと傷だらけのあなた。
傷の数も、深さも何も教えてくれないあなた。
その肌に触れた感触は、まだ鮮明に残っている。
薄い皮膚の下のプラスチックのような異物感。
私は最初からこのカタチで生まれてきたから、これが当たり前だったけど、後からカタチが変わった人の痛みなど私には分からない。
「私は、分かりたいんだ。あなたの痛みも和らぎも、なにもかもを」
そうか、この心で輝く二つの光が、名前も何も分からず、ただ優しくて温かいから縋っていた、この光があなただったんだ。
真の恋、か。
「……やっと、見つけた」
そこにいると、言ってくれたあなたの、そこにいたい。
心臓が破裂しそうなほどに喚いている。
願わくば、彼の心臓と同じリズムで拍動してほしい。
「そしたら、一緒にいけるのかな」
彼の手が、声が、堪らなく恋しい。
彼を守りたい。彼を知りたい。
彼に知られたい。
私は、きっと手遅れだったのだ。あの夏の初めから。
これで第一章 姫路真恋 編は区切りです。
もうちょっとだけ続くんじゃ




