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- Mixed blood -  作者: Dave-show
第一章 旅立ち
10/25

夜の蝶

 多数テーブルが並ぶ、なかなか大きな酒場だ。周りを見渡すも、まだエミリーは来ていない。

 

「オレらだいぶゆっくりしたつもりだったけど、エミリーまだ入ってんのか?」

 

 入口近くのテーブルに座る。

 

「久しぶり過ぎてのぼせてないだろうね……」


 とりあえず、ビールで乾杯する。

 

 はぁ……美味い……。

 サウナで渇いた身体に、冷たいビールが染み渡る。

 一杯飲み干した時、エミリーが汗だくで酒場に入ってきた。

 

「ちょっと! あのサウナってのヤバいね! ハマっちゃうよ!」

 

 エミリーは顔を紅潮させながら、興奮気味に言った。

 

「おぉ、エミリーもか! あれは凄いよな!」

「僕の故郷の文化が広がってるのは単純に嬉しいね。明日も入ろうよ」

 

 流石は交易都市、王国内の様々な文化が楽しめる。テーブルいっぱいに並んだ見た事もない料理を、美味い酒で流し込んだ。

 

「食った飲んだ……さぁ、みんなこれからどうする?」

 

 飲み干したビールジョッキを置いて、皆に尋ねた。

 

「私は勿論カジノだよ! 一週間我慢したんだからね!」

 

 エミリーは杖をクルクル回し、今にも飛び出しそうだ。

 

「なるほど、カジノがあるのか。健闘を祈るよ」

 

 トーマスは苦笑いしながらエミリーを見送った。エミリーは上機嫌で酒場を出ていった。

 こんな大都市で女の子一人は普通は危ないが、エミリーに関しては心配ない。暴漢の方が心配だ。

 

「さて、トーマス君、久々におねぇちゃんのとこに飲みに行かないかい?」

 

 オレはトーマスに目配せをした。

 

「ユーゴ、意外とそういう所好きなんだよね……いいよ、今夜は付き合うよ」

 

 トーマスは肩を竦め、そう答えた。この街に着いた時からそうだった。故郷とは全く違う大都市に、オレは浮かれていた。

 

 

 酒場から少し歩くと、繁華街が広がっている。聞いた話では、レトルコメルスには大きく分けて二つの繁華街があるらしい。

 ここは東の繁華街『ソレムニー・アベニュー』だ。メインストリートでは、露出の高い服を着た女達の呼び込みで賑わっている。ゴルドホークでは見たことが無い光景だ。

 

「お兄さん達、この先のお店なんだけど、少しご一緒しません?」

 

 綺麗な女性二人が声をかけてきた。二人共整った顔立ち、胸には見事に実った二つの膨らみが、布の少ない服から溢れている。

 

「行きます!」

 

 オレは即答し、ニヤリと笑った。

 

「ほんとに? すぐそこの店なの。行きましょ!」

 

 そう言って女性二人は、オレとトーマスの腕に抱きついた。肘には、グラマーな女性の大きな胸が当たっている。自然と頬がほころんだ。

 すぐそこだと言った言葉に偽りは無く、少し路地に入った場所にある建物に案内された。黒服がドアを開け、案内されたボックス席に四人で座る。

 

「何飲みますか?」

 

 隣の女性が、オレに笑顔を向ける。

 

「ウイスキーの水割りにしようかな!」

 

 ニコッと笑った顔が美しい。女は少し前屈みになって水割りを作っている。大きな胸の谷間を眺めながらそれを待つ。

 

 グラスが皆に渡った。

 

「んじゃ、カンパーイ!」

 

 四人でグラスを合わせ、それぞれの時間を隣の女性と過ごす。

 

「お兄さん、この辺の人じゃ無いですよね? 黒髪の人、初めて見たもん」

 

 隣の女性が、オレの髪を見てそう尋ねた。

 

「うん、ゴルドホークから来た狩猟者(ハンター)だよ」

「結構高ランクだったりして?」

 

 彼女は目を丸くして、興味深そうにオレを見た。

 

「こう見えてAランクなんだ」

「え!? 若いのにすごーい! どれくらいここにいるの?」

「とりあえず、三泊の予定」

「じゃ、また会えるね!」

 

 彼女はオレの手を取り、自分の太腿に押し当てた。

 

「うん、いっぱい飲んでよ!」

「ホントに? じゃ、いただきまーす!」

 

 彼女はグラスを一気に傾けた。

 

「名前は? オレはユーゴ」

「ユーゴ君ね! 私はエマ。よろしくね」

 

 オレは上機嫌で、隣に座るグラマーなエマが作る水割りをハイペースで飲み干す。トーマスも楽しそうだ。

 

(ユーゴ君のホテルに行ってもいい?)

 

 エマが耳元でそっと囁いた。彼女の甘い吐息が、オレの理性を揺さぶる。

 

(オレ、結構いいホテル取ってるんだよ。今から行こうか)

 

 オレも彼女の耳元に口を寄せた。

 

(うん、行こ……)

 

 交渉は成立した。二人は席を立ち、店を後にした。

 

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