CVSS:9.0母
「最近ね、イクトの帰りが遅いのよね。かといって、友達の家に行ってるわけでもないみたいで……先生に聞いても、『下校はトップを争う勢いで早いです』って言われちゃったのよね」
「んぁ? それなら、てっちゃんのとこに通ってるぞ」
「……てっちゃんのとこ?」
斎藤哲也(本名:鉄屋通り名:直し屋てっちゃん
両親のポカで住民登録が鉄屋でされしまった悲劇の人。ササーキットに現れては格安で応急処置などしてたため直し屋てっちゃんの名前でよばれていた。イクトの父の車は彼によって幾度も廃車の危機を逃れている。
その始まりは、イクトが業務システムの改修を終え、経過観察と評価を行っていたときのことだった。
画面を眺めながらぽつりと漏らした独り言を、常連客である整備工場の社長・哲也と、その相手をしていた父が聞いていた。
「車の整備を仕事にするのもいいかもなぁ。でも、知識もノウハウも、一般の人より少し掘り下げた程度だし……。自動車系の学校に進めば勉強はできるけど、その前に現場を知りたいなぁ。さすがに邪魔になっちゃうよなぁ……」
父が、哲也の顔をちらりと見る。
「……おい、息子が何か言ってるぞ」
「俺ぁ構わんのだが。しっかりしてるみてぇだし。ダメと言われたことはしねぇだろ?」
「そこは守るな」
そんなこんなで――。
斎藤自動車整備工場の片隅には、小さな椅子とテーブルが常設されるようになっていた。
作業の邪魔にならず、それでいて整備の様子がよく見える場所である。
最初のうちは、従業員たちも気を遣い、お茶やジュースを出したり、扇風機を置いたりしてくれていた。
ところが、イクトは、
「見学させてもらっているのに、お手間までかけさせるわけにはいきませんので!」
と、水筒やネッククーラーで武装するようになった。
そこまで用意してくるものだから、従業員たちも世話を焼くことは少なくなっていった。
テーブルの上には、いつもメモ帳とノートPCが置かれている。
ノートPCはモバイル回線を通じて自宅と常時VPN接続されており、ここからでもサーバーの作業ができるようになっていた。
もっとも、整備士が手招きすると、その瞬間にPCは閉じられる。
メモ帳を手に立ち上がり、作業の邪魔にならない位置を確かめてから、呼んでくれた整備士のそばへ向かう。
「ほれ、ここ。さっきの車と違うだろ?」
「……あ、本当だ。これ、どうしてこうなってるんですか?」
画面の中の経過観察も大切だが、目の前で教えてもらえることは、今を逃すと聞けない。
イクトの帰宅時間は、少しずつ遅くなっていった
そのうちイクトがばらして遊んでいい廃品置き場が出来た。エンジンやミッションなど勿論いそのうち、イクトがばらして遊んでいい廃品置き場までできた。交換で取り外したエンジンやミッションなどが置かれている。ただし、リビルト品との交換で返却が必要なものは除かれていた。
「やっぱりうちの兄ちゃんへん!あぶらくさい!後たまにはあそんで!」
うーん、今世でも僕が足りない……」
「兄ちゃんは一人でいいから、遊んで!」
「あれこーじょーちょーきょうはイクト君こないんですかー?」
「あーなんかなぁ~弟がもっとかまって欲しいっせびってくるからって頻度下げるらしいぞ?」
「俺らにとってもイクト君弟みたいなもんすけどねw」
「そっか~イクト君もお兄ちゃんしてるんすねぇ~」
「そういや、イクト君、いっつもパソコンにかじりついてるけど、あれ何やってるんですかね」
「あ? あれ、商売してるらしいぞ。榊んとこの業務システムを作ったのも、イクト君らしいからな。通販もいじって、伝票を手書きしなくていいようにしたとか」
「そっちで食った方がいいんじゃないっすか?」
「いや、あっちは趣味らしい」
「趣味ってなんだっけ。」
「さて……そろそろ父さんから提示された予算で、購入できる機材を選定しないと。UTMは必要、と。これは中古でもいいから、ライセンスがあるものを…… 」
「サーバーはこのあたりなら……中古でも使えそうなパーツが、安くごろごろ転がってるな」
「UPSは正弦波のもので。フル稼働でも5~10分は持つ構成を目標にしてみよう」
「うーん……さすがにラックは怒られるかな。軽く聞いて、渋い顔されたらやめよう。いけそうだったら、電流値を監視できるPDUを……ふふふふふふ
「やっぱりうちの兄ちゃんへーん!」
おっ!!! このラック、すごくよさそう! こんな美品でこの値段!?」
「1階の物置部屋にちょうどよさそうだな……あそこ、床もコンクリートだし」
「年中寒い部屋だから空調も節約できるかも?数週間後
「ラックその他機材きちゃーー!!!!もうすぐな夏休みだし自由研究のネタにしよーっと」
イクトはそび立つラックに顔をスリスリさせている
1時間に及ぶプレゼンの結果父が音を上げて勝ち取ったラックが搬入されようとしている。この日のためにじたくの床に穴が開きアンカー固定ボルトが埋め込まれた。
「やっぱりうちの兄ちゃん凄くへーん!」
「まぁまぁ、イクトチャンったらあんなにはしゃいじゃって。」母イクトが拒否するので出来なかっ女性物衣装の着せ替え人形になることで合意を取り付けた。
「母さん? その下着とメイク道具は何ですか……?」
「え? あなたに使うのよ?」
「服を着るだけって話でしたよね!? 父さん、助けて!!!」
「イクト……すまん! あとは頼んだ!」
「頼まれるの僕なんですけど!!!」
「うちの家族、みんなへーん」
母、息の子を激写しご近所に見せて歩く 「やっぱり似合うわねー」 イクト君生まれる性別を間違えたんじゃないかしら?
「この服なんて、斗真君にも似合うんじゃないかしら。お母さんにそっくりだもの~」
「あら、そうねぇ」
そのころ、自宅。子供部屋の隅にて
「……何、この悪寒。兄ちゃーん、ちょっと怖いから一緒にいてー」
「……斗真。僕も今、同じ気持ちです」
「おーどうしたーそんなっ隅っこで」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「悪かったってな?、あの部屋エアコンつけてやっるからかんべんしてくれ、な?」
「いいでしょう。・・・・・・・・・・・・・・」
イクト陥落。
「多分ですけど斗真もやられると思うので斗真にはゲームを買ってあげてください」
「お、おう・・・・」
「斗真、頑張れ……きっと父さんがゲーム買ってくれるから……」
「兄ちゃん、一緒にいてって言ったんだけど!?」
「母さんを止めるのは無理だから。一緒にいてあげることしか出来ない弱い兄を許してくれ斗真グスッ.....」
「いてくれるなら、いいけど……」
母「二人とも、サイズ測るから立って~」
「ちょ!僕第二弾ですか!?」
「お隣さんがキレイなドレス作ってくれるっていうのよ。」
の後一週間ほど、斗真は母を怖がり、兄の後ろに隠れるようになった。母はその姿に大変ショックを受けたそうで、以後のターゲットをイクトだけに絞った。
「だって案外平気そうなんだもの。」
「平気なんじゃなくて、斗真の前で頑張ってるんですけど!?」
お隣さんは兄弟に着せたい服をデザインしては作ってを繰り返し女装男子界隈で有名になった。
口コミ「男子が着ることを前提に作られているので、体形にしっかり合って、ワンランク上の仕上がりになるんです!モデルになったご兄弟がいらっしゃるらしいんですがいつかお会いしたいですね!」
後のリスナーである。
イクトは渋い顔、斗真は
「兄ちゃんとお揃い!」
と満面の笑み。父は申し訳なさそうで、母だけ大満足。
後年後、
「黒歴史だ……」
「このとき、一番楽しそうだったのは斗真ですよ」
「言わないで……」




