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短編 宴のとき


短編 宴のとき


戦勝の宴。イオルは、一人バルコニーで杯を傾けていた。闇夜を照らす月とあまたの星たちに見守られながら、酒を飲む。彼の耳に彼女の声が木魂していた。


『好きだからです』


その言葉を思い出すたびに、胸がきりきり痛み出す。この痛みの原因も理由も分かっていた。だが、その想いを口にすることはしない。いやできなかったのだ。


自分のほうが先に彼女に出会ったのに…。彼女に触れたのは、自分の方が先なのに…。


悔やまれてならない『あの時』。

もし、自分が彼女の腕を放さなかったら、違う結果になっていただろうか。もっと早く彼女の素性を察していたら、彼女は今頃自分の腕の中に…。

眉根をひそめ、苦しみにゆがむ顔が握り締めた杯の中の酒に映し出される。それに気づいたイオルは、自嘲的な笑みを浮かべた。


『馬鹿だな』


過ぎ去った過去のことを悔やんでも、どうしようもない。すべては、天の定めた運命。

どんなに彼女を抱きしめても、彼女の瞳にどんなに映ろうとも、彼女の心は自分をすり抜け、アスターへと飛んでいく。イオルは天を見上げ、決意する。



「姫の幸せを願っている。だから全身全霊をかけてあなたの幸せを守る。姫が笑っていてくれるなら、俺はどんなことでもしよう。俺のすべてをあなたに捧げる」



決して知られることのない彼女への誓い。


イオルは、強い光をたたえた瞳で、身を翻すと、シャンデリアが放つ人工の光の下へと帰っていった。



これにて『姫君の純愛~鬼と呼ばれた皇子に捧ぐ~(soft version)』完結となります。soft versionは、すでに完結していた話を性描写少なめ、控えめに改稿したものです。それでこの話にはまだまだ続きがあるのですが、続編はもともと性描写少なめなので、改稿するかは未定です。しかし、またこちらで掲載することになりましたら、またよろしくお願いいたします。

今まで読んでくださって、ありがとうございました。


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