第4話:追撃の影
お越しいただきありがとうございます、フリーウェイです。
街中で「街路樹がなぜか枯れている中古車屋さん」や「異常なスピードで店舗を増やした巨大チェーン」を目にすると、ふと「あの膨大な車やパーツの流通って、どこから来てどこへ消えていたんだろう……?」なんて妄想が膨らんでしまいます。
かつて世間を騒がせたビッ◯モーターの破綻劇なんかも、裏でこんな“ニコイチの受け皿”や不気味な利権が絡んでいたとしたら……なんて考えると、少し背筋が寒くなりますね。
……あ、もちろん作中のヤードや中京集団とは一切関係のない、ただの作者の独り言(フィクションの背景描写)です!
さて、前話でFS-07の「軛」を解いた誠たち。警報が鳴り響くヤードから無事に脱出できるのか――第4話へどうぞ!
――ウウウウウウウウウウウウウウウッ!!
刺さるような高音のアラームが、高架下の暗闇に響き渡る。
ヤードの天井やコンテナの角に設置された監視カメラの赤色LEDが一斉に点滅し、逃走する誠、アズ、そして気絶したFS-07(元・生身の青年)の3人を追尾していた。
「ハァ……ハァ……! マコト、正面のメインゲートはもうダメだ! 自動シャッターが降りるぞ!」
アズが背中に背負った青年を庇いながら、焦燥の声を張り上げる。
前方、ヤードの出口である巨大な鉄製シャッターが、重い金属音を立ててゆっくりと下がり始めていた。
《誠、シャッターの制御信号をクラッキングするわ! 猶予はあと7秒!》
脳内でASUKAが叫ぶと同時に、誠の視界にシャッターの制御盤の内部回路がARで浮かび上がる。誠は走りながら、右手の手製ノードを向け、指向性電波を放った。
――バチッ!
制御盤から火花が吹き飛び、下がりかけていたシャッターが床上1メートルほどの高さでぎぎぎ……と悲鳴を上げて停止する。
「アズ、潜り抜けろ!」
「うおおっ!」
アズが滑り込むようにして背中の青年ごとシャッターの隙間をくぐり抜ける。誠も続いて滑り込み、外の冷たい夜気の中へと転がり出た。
だが――安堵の息を漏らす暇はなかった。
ヤードを囲む高いトタン塀の陰から、シュル……シュル……という不自然な機械的摩擦音が近づいてくる。
誠が咄嗟に振り返ると、街灯の届かない路地裏の影から、“それ”が姿を現した。
体長1.5メートルほど。四本の節足を持つ低姿勢のメカニカルなフレーム。
一見すると解体工場で使われる作業用ドローンにも見えるが、その中央には赤く発光する単眼光学センサーと、消音アタッチメントが装着された高圧ネイルガン(あるいは小型火器)が搭載されている。
《誠、気をつけて! 対象は中京集団のサイレント・キラー――暗殺・工作用マシン『サイバッド』よ!》
ASUKAの警告が飛ぶ。
「サイバッド……! 中京は本気で俺たちを消す気だ!」
アズが顔を蒼白にする。
サイバッドの単眼センサーがジジジとピントを合わせ、正確に誠の胸元をロックオンした。人間のような躊躇も、感情のブレもない。圧倒的な殺傷性能を持つ“純粋な機械兵器”。
――シュバッ!!
超音速で放たれた高圧鋼鉄釘が、誠の頬すれすれをかすめ、背後のコンクリート壁に深く突き刺さった。
「くっ……!」
《誠、直進は危険よ! 私がサイバッドの光学センサーにジャミング(電磁妨害)をかけるわ。その隙に近くの細い路地へ逃げ込んで!》
――ピッ!
誠の頭脳から放たれた指向性電波が、サイバッドの単眼レンズを揺さぶる。一瞬だけ照準が狂い、サイバッドが首を振るように旋回した。
「アズ、こっちだ! 朝倉電子の軽トラを近くのコインパーキングに止めてある!」
「分かった!」
誠たちはサイバッドの追撃をかわし、河口市の狭い路地裏へと飛び込んだ。
背後からは、なおも暗闇を這うような『サイバッド』の不気味な駆動音と、ヤード全体を包み込むような低周波の作動音が響き続けていた。
それは、ただの犯罪グループの枠を超えた、高度なサイバネティクス兵器群が日本国内に解き放たれた瞬間だった。
第一章 第4話をお読みいただき、ありがとうございます!
前書きではビッ◯モーターの話題を少し入れつつ、本文では中京集団の暗殺兵器「サイバッド」の脅威と、絶体絶命のヤード脱出劇を描きました。
無事にヤードを脱出した誠たちですが、中京の追撃、そして街や行政への侵食はさらに加速していきます。
次回・第5話では、救出したフェイ・シェルの青年の意識が戻り、「人間畑」のさらなる恐怖と、国家中枢へ迫る影についての重要な証言が語られます。
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