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後列モブは巻き込まれ体質すぎて悪役令嬢を放っておけない〜実は隠れ溺愛されてたとか受け入れられません!〜  作者: 皆神 わいら
第3章 悪役令嬢は願いを叶えたい

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第14話 進めばそこに道ができる

翌日は雲ひとつない快晴でした。

よく晴れた秋の空はいっそう深く高く、乾いた風にはやや冷たさが混じり、冬の気配を感じさせます。

送別の宴を明け、新旧の生徒会メンバーが王城へ集まってきました。


「アンリ王子殿下は?」

「そろそろいらっしゃいますよ」


様子を見てきたトビアス様が答えます。

王城のポーチにはいくつもの馬車が並び、荷物を運び入れています。


「すごい量ね」

「あの木箱はワインらしいわ」


王城の使用人も手伝って、バケツリレーのように運び込む木箱を見て、思わずエルナが声を上げています。

中身を知る私は、こっそり彼女に教えれば、ここにはいない婚約者を思い浮かべてしまいます。


学生たちだけでお別れをしてきた方がいいと、ルーファスが同席を辞退しました。

そばには生徒会新メンバーのクラーラさんとヨナス様がいらっしゃいます。

無事婚約が決まったものの、日の浅い私は婚約者同士で同じ場にいられるふたりが少し羨ましい。


少しの寂しさを感じていると、クリストフ王太子がアンリ殿下と共にポーチへ現れました。

その後ろから、国王様、王妃様、そしてもうお一人はクリストフ王太子の弟君でしょうか。

私たちとはすこし距離を置いていらっしゃいます。


クリストフ殿下が何か言うと、アンリ王子はクリストフ殿下の肩を軽く叩き、なにやら親しげにされています。

これまでも一緒に行動されている様子は見てきましたが、さらに距離が近づいたのでしょうか?

二国間のこれからを感じて、すこし頬が緩みます。


「盛大な宴だけでなく、こうして今日集まってくれたことを嬉しく思う」


そう言って、アンリ王子殿下は一人ひとりと握手をし、声をかけて行かれました。


「迷惑をかけたな。君がフォローしてくれるものだから、私も楽しくなってしまった。許して欲しい」

「そんな!アンリ王子殿下に楽しんでもらえたと知り、心より安心しました」


私の知らない色々があったようですね。

クラウス様が少し涙ぐんでいます。


そして、カール様には引き抜きのお誘いでしょうか?


「よかったら卒業後は我が国に来ないかい?」

「遊びにはいきますね〜」


軽い調子で断るカール様、その雰囲気だからこそできることですね。

そして、私の順番がまわってきてーー


「ヴァレッタ嬢。この国の美しさを教えてくれてありがとう。これから私は自分の好きなものを改めて探してみることにするよ」


ああ、もうこの人は大丈夫。

私は殿下の差し出された手を握り、お礼と感謝を伝えました。


「いままで、本当にありがとうございました」


それは、この短い期間のこと以上に、彼の貢献への感謝の思いから出た言葉でした。


ふっと笑みを深めたアンリ王子は馬車に乗り込み、大量のお土産を乗せた馬車を引き連れてベルフォールへの帰路につきました。




そして数ヶ月後。


ついに、クリストフ王太子殿下をはじめとする最上級生が卒業を迎えます。

学園での卒業式の後は卒業パーティ。

正式に貴族の仲間入りをした卒業生たちに祝福を送ります。


いつもの如く、自分の色のドレスをまとわせたエルナとダンスを踊っていたクリストフ殿下をずっと見つめている使用人がいます。

クリストフ殿下は気づいていないわけがないのですが、わざとでしょうか?

エルナを離さず、もう何曲目かになります。


私は卒業生ではありませんが、パーティを主催する生徒会としてルーファスとともに参加をしていますが、気になって仕方がないので彼に近づくと、見つめているのではなく”待っている”のだとわかりました。


「殿下〜〜、まだですか〜〜?」


どうやらクリストフ殿下はわざと待たせているようです。


「どうかしましたか?」

「実はベルフォールからの祝辞が届いているので、クリストフ殿下に読み上げをお願いしたいのですが、戻ってきてくださらないのです」


涙を溜めて訴える彼が不憫に思えてきます。

仕方がないですね。


私は曲の終わりが近づいてきているのに気付き、エルナたちのそばへ向かいました。


「殿下。そろそろエルナを休ませてあげないと。自分勝手な殿方は嫌われますよ」


私の声に仕方なく腕を下げると、観念したように振り返りました。


「やあ、ヴァレッタ嬢。ちょうど休憩しようと思っていたところだよ」


みえすいた嘘を。

もう一曲踊る気満々ではありませんでしたか?


見ればエルナが涙目でこちらを見ています。


「かわいそうなエルナ。へとへとではありませんか。さあ、こちらへ来て一緒に休憩しましょう。クリストフ殿下はお仕事があるようですから、早く行ってあげてください」


エルナを引きずってソファへ向かえば、殿下はやれやれといった体で待たせていた使用人の元へ。

そして受け取った手紙に目を通すと、壇上へ上がり、演奏を止めさせました。


「この良き日に、隣国ベルフォールから祝辞が届いた。一時ではあるが、共に学んだアンリ王子殿下からだ」


そう言って、アンリ王子からの祝辞を読み上げました。


卒業を祝う言葉から、ご自身が臣籍降下しグランツフェルトと接する領地の公爵となられたこと。

持ち帰ったワインに感動し、国内でも大変評判が良かったことから、その領地でワイン栽培を手掛けてみようと計画しているとのことでした。

もしよければベルフォールで働かないか?という誘い文句で結ぶあたりが、アンリ王子らしいです。


いえ、もう王子ではないのですね。


王子でもなく、王配でもなく、公爵としての道を進むことに決められたことを、私も心の中で祝福を贈りました。

ふと見上げると、ルーファスと目が合いました。

私はそっと手を差し出すと、彼が私をソファから引き上げます。


「エルナはまだ休憩していて。私たちはちょっと踊ってくるわね」


そしてふたりで、ホールへと踏み出しました。

眩く輝く、光と音楽の中へ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

第3章は以上となります。

すでに次章にも手をつけておりますので、引き続きお楽しみくださいませ

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