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後列モブは巻き込まれ体質すぎて悪役令嬢を放っておけない〜実は隠れ溺愛されてたとか受け入れられません!〜  作者: 皆神 わいら
第3章 悪役令嬢は願いを叶えたい

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第11話 今度こそ

彼に限って、そんなわけあるはずがない。

とは思いつつ、私は彼の言葉を引き出したい。


「ルーファス様はわたくしのことがお嫌いですか?」

「!!」


引き結ぶ彼の口が、もぞもぞと動くも、言葉になることはありません。

ねえ、ルーファス。

あなたの心を、私が知らないはずがないのよ。

だってあなたは、私をずっと支えてくれていた。

ルーファスを体の下に敷き、動きを封じて迫りながらも頭の隅では原作での私たちを思い出していた。


(あなたはいつも私のことを思って、思って、思いすぎて、ついには私を送り出してしまったのだから)


原作の私は国外追放されたのち隣国へ流れ、この身に残った財産である剣の腕を元手に冒険者として生きることとなった。

当初は途方に暮れ、このままひとりで野垂れ死ぬのかと思っていた矢先、目の前に現れたのはルーファスだった。

聞けば騎士団もやめ、秘密裏にお父様からの助力を得て私を追いかけてきてくれたのだという。

このままふたりで生きていくのもいいかもしれないと本気で考えていた。

そんな折、耳に届いたのは破綻していく母国グランツフェルトの知らせだった。

表立って連絡の取れない私に代わって、グランツフェルトの者たちとやりとりを続けてくれていたのもルーファスのおかげ。

いよいよとなった時、兵を貸し与えてくれたのがベルフォールの第3王子アンリ。

アンリの兵とともにグランツフェルトへ戻り、王国を乗っ取った首魁を討ち取ったのち、アンリを王配に迎え、荒廃した国の再建に取り掛かった。


私には選択肢がなかった。

大恩あるアンリ王子に返すものはそれくらいしかなかった。

無事国は立ち直るも、私はその一生を縛られたままだった。

すぐそばに、ずっとあなたがいたのにーー


だから、私はあなたの退路を断ちます。


「お父様からは許可を得ています」

「!」


意外だったのでしょうか、それまで必死に抗おうとしていた動きが止まりました。

今度こそ私の目を見てくれています。


「わたくしは卒業したらお父様の管理する爵位をひとつ貰い受けることになりました」

「……」


黙って耳を澄ます彼に、私は愛しさがあふれてきます。

そう。そうしてて。

私から目を離してはなりません。


「その伴侶に、あなたを望みます」


押さえつけていた手を緩め、彼の頬に手を添えます。

あなたのヘーゼルブラウンの瞳が柔らかく溶けるようにゆらめきました。

それでもまだ私の欲しいものがもたらされません。


(まだ足りないの?)


確かにその瞳の奥は懇願の色を湛えているのに、不安そうに顔を歪ませるルーファスの頬を撫で擦ります。


(愛しい。愛しくて、小憎らしい)


ずっと私のそばにいても、手を出してもくれなかった人。

もう、そんな思いをするのはたくさんなの。


「あなたは、わたくしを支えてくれますよね?」


まるで確定事項のように問うも、半分は私の願望。

それを知ってか知らずか、彼はまだ抵抗をしようと口を開きます。


「しかし、隣国のーー」

「王妃様からも許可を得ました」


なけなしの理性ですか?

流行らないと言ったではありませんか。

でも良いのですよ、私も少し前までそうでしたから。

だからこそ、すっぱりと彼の言い分を両断します。


「何か、異存はございますか?」


少しの時間が流れました。

私は黙って彼の瞳だけを覗き込みます。

時間が必要なのでしょう?

ええ、わかっておりますとも、

考える時間を差し上げます、……今、この時だけ。

やがてその先に何の障害もないと理解した彼は、ついに口を開いてくれました。


「……いいえ、ありません。姫様、いえ、ヴァレッタ様」


途端、胸に広がる熱いものを感じながら、私は憎らしくも愛しい彼に、大事なことを告げました。


「様をつけるのは、これで終いにしてくださいね。


ねえ、ルーファス。

今度こそ、あなたのその口を閉じて差し上げますよ。






しばらくして部屋へ戻ってきた父上に、私は笑顔で報告をすることができました。


「うむ、滞りなくいったようだな」

「もちろんでございます」


馬乗りになっていた姿勢から早々に起き上がらせたのち、ソファに座らせていたルーファスが急いで立ち上がり父上に向かって礼をとります。


「副団長がそろそろ引退をしたいそうだ。ヴァインハルトにはこれまでも副団長の補佐をしてもらっていたからな。異論は出ないだろう」

「へ?私がですか?」


突然の任命に、目を白黒させています。


「副団長の任命と共に、私の管理する爵位を引き継ぐ。田舎の家族には私からも連絡をしておこう」

「あ、いえ、それには及びません。私から報告をしておきますので。あの、でも本当に……?」


狐につままれたとでも言いたいのでしょうか?

私はお父様に視線をやります。


「それでは、お約束通り、卒業後には子爵位を受け継ぎルーファスと共に盛り立てていきますわ」

「うむ、励むように」

「は、はい」


視線を泳がせて曖昧に返事をするルーファスに、もうひと押ししたくなります。


「今日はまだルーファスはお休みでよろしいですね?」

「は?」


これ以上何を言い出すんだ?と顔を向けたルーファス。

あら、あなたはもう私の婚約者。

いくらでも婚約者の義務があるのですよ。


我が家の馬車に押し込んで連れ帰ると、もみくちゃにされたようですが私はこれ以上ない成果に満たされた心地になりました。

女性優位もいいですね。

まだまだお話は続きます!

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