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後列モブは巻き込まれ体質すぎて悪役令嬢を放っておけない〜実は隠れ溺愛されてたとか受け入れられません!〜  作者: 皆神 わいら
第1章 後列モブはゆるくぬるく生きたい

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第2話 腹をくねらすのが腹芸ですね、わかります

「こちらに記入事項を記載したら、期日までにご提出ください」


ヴァレッタ様に配れと言われたので、素直に配っている後列モブは誰かって?

あたしだよ!


クーデターを未然に防ぎ、穏やかでぬるい日常が戻ってきたはずなのに

いつのまにか生徒会に組み込まれ、こうして働かされている。


それにしても、さっきからなんだか空気がおかしい。

学園祭の参加に必要な書類をグループごとに配布して回っているのだが、どうにも反応がよそよそしいのだ。


ここ、グランツフェルト王国には一年を通して多くの”イベント”がある。

なかでも夏の建国祭、秋の学園祭というのが学生のルーティンだ。

建国祭でもいくつかのグループに分かれて何らかのお役目をになったが、学園祭ではさわにグループが分化し、それぞれが趣向を凝らした出し物やら、研究結果の発表やらとさまざまな活動ができる。

ただし、勝手になんでもやっていいわけではないので、こうして必要事項を聞き取り、それなりに審査をするために書類提出を義務付けている。


その、大事なだ〜いじな書類を配っているというのに、


「あ、ども」

「……ハイ」

「そこ置いといて」


コラコラコラ。

曲がりなりにも貴族子女なんだから、もう少し応対の仕方ってもんがあるでしょーよ。

きみたちはなにかね? 反抗期のおこちゃまかね?


目線も合わなけりゃ、会話のテンポもずれる。

まったくもって、なんじゃらほい。



腹芸のひとつもできないと、渡る世間も渡れませんよ〜と心の中で愚痴りながら、次のグループの活動教室へ向かう。


「エルナ様。ちょっとよろしいかしら?」


渡り廊下に差し掛かろうという時、後ろから声をかけられ振り返ると、そこにはノーラ様とエリス様がいた。


ノーラ様とエリス様は、ヴァレッタ様の取り巻きで2列目を陣取るご令嬢だ。

階段落ち後に殿下にお姫様抱っこされるも、「うまくやりおったな」と評価してくださった(うれしくないけどー)ご令嬢なんだけど、なんだろ?


「それ、生徒会のお仕事ね」


ノーラ様はいつもの柔らかな笑みを浮かべているが、

隣のエリス様は、なぜか眉間にうっすらと皺を寄せていた。

つとめて無表情を装おうとしているも、こめかみがヒクついている。


あれ? これなんかやっちゃったかな〜


「随分熱心にされていらっしゃるようじゃない」

「はあ、まあ、ハイ」


エリス様は一歩前に出て、書類を持つ私のの手元をじっと見つめた。


「よかったらわたくしどももお手伝いいたしますわよ」


やっぱりいい〜〜〜

やりたくてやってるんじゃないよ〜

変わってくれるなら変わって欲しいよ〜


けれど、今配っている書類は行き届かないとちと困るシロモノだし、説明もしなきゃならない。

手伝っては欲しいけど、できればこれじゃないのがいいな〜と思って、返答に困っていると痺れを切らしたエリス様がやや強めに主張してきた。


「書類を配って説明して回るくらい、私にもできます。あなたがここで一度説明すればいいと言っているのに、なにが不満なのかしら?」


不満とかじゃなくて、本当は助けてもらえたら嬉しいけど、そうもいかないから困ってるんですう〜


「それとも、それを手放したくない理由でもおありなの?」


手放したくてたまりませんよ〜、と泣きつくわけにもいかず

どうしたものかと戸惑っていると、横からノーラ様が入ってきた。


「まあまあ、エリス様。学園祭前で生徒会のかたがたもきっとお仕事がいっぱいで大変なのよ。

そんなに責めないであげて。

ねえ、エルナ様。もしよろしければ、私たちも生徒会のお仕事をお手伝いいたしますわ。あなたからもお伝えしていただけないかしら」


こっちはこっちでー!


ノーラ様は柔らかく笑いながら、私の返答をじっと待っている。

その目は、まるで“逃げ道を探す私を観察している”ようだった。


その視線はまさに腹芸に長けた貴族のソレ!

いや、ついさっき「それくらいやれや〜」って思ったけど!

だからって体験したくない〜〜!


生徒会は通常は選ばれた生徒が役員を務めるシステムをとっているが、王家の人間が学園に所属している場合は少しやり方が異なってくる。

その王家の人間が生徒会長を務め、今後の国家運営のリハーサルを行うための課題となっているらしく、生徒会に所属する人間も将来の側近や内部の人間の推薦などでなければ簡単には出入りできなくなるのだ。


つまり、「私たちを生徒会に入れろ」ってわけねー。


なにそれ、めんどーーー!

なんで私がーーー?


嫌々手伝わされてる私に、書類を配ってるだけでこの圧!

魚臭い貧乏令嬢を見逃してくれていた2列目令嬢の姿はすっかり消え失せ、完全に獲物認定された私。


まいったな〜

まずったな〜


勝手に生徒会に入れるわけにもいかず、かと言って明確にお断りをすれば、私ののら〜りくら〜り学園生活をやりすごす日々が遠のくこと必至だ。


抱えた書類が湿り気を帯びてきたのを気にして、蛇に睨まれた蛙状態の私に追い討ちをかけてきたのは、まごうことなきことの元凶様だった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

次のお話もぜひ、お楽しみに♪

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