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後列モブは巻き込まれ体質すぎて悪役令嬢を放っておけない〜実は隠れ溺愛されてたとか受け入れられません!〜  作者: 皆神 わいら
第1章 後列モブはゆるくぬるく生きたい

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番外編 ローゼンベルク家使用人は暗躍する(その2)

「各々方、準備はよろしいか?」

「応」

「いつでもいいぜ」


あれからのことでございます。

誰が言い出したのやら、我々はお嬢様を幸せにし隊という作戦に参加する同士なのだそうです。

その趣旨にはなんら否はないのですが、なんですかそのネーミングは。


十中八九、原因は先日の厨房での使用人協議に旦那様が乱入なさった後の推測します。

楽しくなってきた旦那様が持ち込んだ酒で酒盛りが始まったせいでしょう。

誰かも彼も、お嬢様への想いを叫ぶものですから、私も自分の思いの丈を早く記録に綴りたくて早めに下がらせてもらったのです。

きっとその後に何かあったに違いありません。


翌日厨房へ顔を出せば、朝の作戦会議が始まったのです。

取り仕切っていたのはウルスラです。

ちなみに、夜も行うそうです。


これもお嬢様のため。

はじめてのご友人とのお茶会を成功させるためです。

我々も本気なのです。


日中はそれぞれの仕事をこなしつつ、ハンナは使用人ネットワークを駆使してお嬢様のおそばに頻繁に侍っているというご令嬢の使用人から情報を集めたり、厨房長も出入りの業者にマリエンベルク領について聞き込みをしているようです。

当のウルスラは、お嬢様の反応を見ながら少しずつ情報を聞き出しているそうな。


これらの集めた情報を持ち寄っては、週末の段取りを計画しているのです。


「マリエンベルク領の魚介をこれでもかと注文した!腕がなるぜ」


厨房長はお招きの当日までお嬢様のお気持ちを高めるマリエンベルクフェアを開催するようです。


「ハイ!私は学園の警備に潜入してきました!お嬢様は多くのご令嬢に囲まれていました!」


なんと、それはとても良いお嬢様情報ですね。


「お嬢様がご友人をお招きになるのは初めてだが、周囲にはたくさんご令嬢方がいらっしゃるのだな」

「ハーヴィントン家のジェシカ様とフェンウィック家のコーデリア様、シグルドセン家のノーラ様、ハルトマン家のエリス様など、学園では多くのご令嬢に囲まれてるとのことです」

「それなのになぜ、我らにご友人を見せてくれないのか」

「我らは会わせられないとでもいうのか」


おや、何か方向性が変わってきましたね。


「勝手に自責に駆られるのはおやめなさい。お嬢様にはお嬢様のお考えがあるのです」


それもそうだな、と答えつつも肩を落としたままではありますが、まあいいでしょう。


「ハーヴィントン家の使用人に接触しました。お嬢様が学園のお茶会施設を使用してマリエンベルク嬢とのお茶会を実施したとの情報を得ました」

「なんだって?」

「まだここでもやっていないのに?」


「ハイ!私は清掃員として学園に潜入しました!学園では何度か開催されているようです」

「マジかよ」

「お嬢様、どうしてええ!」


気持ちは治っていなかったようですが、一度注意はしましたからね。


「それで?」

「それが、ジェシカ様はエルナ様のことをあまり認識していらっしゃらなかったようで、あまり聞き出すことができませんでした」

「それについては私が」


おお、ウルスラ。

あなたの聞き出した情報を待っていたのですよ。


「なんでもエルナ様とは、学園でなにかアクシデントでお怪我され、お嬢様がご親切になさったことでご縁をもたれたようです」

「なんと!」

「さすがお嬢様!」

「お優しい!」


ええ本当に。

交流のない方にまでお心を砕かれるのが私たちのお嬢様なのです。


「ほかには?」

「ございません」


ん?聞き間違いでしょうか?


「ほかに何を聞きましたか?」

「ございません」


おかしいですね。

毎日情報の引き出しに勤しんでいると聞き及んでいたのですが。


「お嬢様からもお話をお聞きすることができませんでした。頑なに口を、口を閉ざされるのです!」

「もしやお嬢様に何か」

「言えないようなことをされているのか?言えないようなことをしようとしているのか?」


まったく、我が家の使用人はお嬢様のこととなると考えすぎていけませんね。

何かを堪えるように口を引き結びやや斜めを見つめるウルスラを見やり、ひとつ息を吐いてしまいました。


「かくなる上は……」


こうして私たちはお嬢様のご予定に会わせてお迎えに参りますとご了承をいただいた上で、当該ご令嬢を観察するべく、気持ちお早くご招待させていただきました。


ええ、もちろんそれはそれはご丁重にお迎えに上がりましたよ。

だというのに、ああ、なんということでしょう。


誰が代表でお伺いするかをゴネているうちに、お客様はお嬢様に取られてしまいました。

しかも私どもに背を向けて、それはそれは楽しそうに……


あのように自然な笑顔やはにかんだお顔をご友人に向けられるお嬢様を見られるようになる日がこうして叶うとは。

これからもマリエンベルク嬢には頻繁に我が家にお越しいただくようお嬢様に上申させていただくことにしましょう。


ああ、今日も筆が進みます。

それではまた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


ローゼンベルク家の使用人たちの小話で少し息抜きさせていただきました。

そろそろ第2章の開幕となります。


次のお話もぜひ、お楽しみに♪

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