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後列モブは巻き込まれ体質すぎて悪役令嬢を放っておけない〜実は隠れ溺愛されてたとか受け入れられません!〜  作者: 皆神 わいら
第1章 後列モブはゆるくぬるく生きたい

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番外編 息子が冷たいんですという父王の訴え

お茶会に乱入なんぞ、しなければよかった。


私はグランツフェルト国王。

今日はクリストフとその婚約者の定期交流の日というから、ちょっと様子を見に行ってみたのだ。


ローゼンベルクのところに娘が生まれたと聞いたのは、もう10年以上前になる。

我が国にいくつかある公爵家の中でもブランシュフォードとローゼンベルクから王家に輿入れをしたという記録はない。


それというのも、グランツフェルト王家とブランシュフォードとローゼンベルクは建国に直接貢献した家門だからだ。

どちらかに力が偏るのを望ましくないと考えた者たちが、この二つの家から王妃を輩出することを許さなかった。


しかし、我が国も相応に大きくなった。

多くの貴族を擁し、そのパワーバランスも大きく傾いているわけでもない。


ましてや、ローゼンベルクは武にしか興味のない家だ。

王妃を輩出した家だからと言って、政治的な権力を欲しがるような家門ではない。


そこで、年廻りよく生まれたローゼンベルクの娘をうちの子の婚約者にと求めたのだが……なにがどうして、お願いされちゃったのよなあ。



「婚約は解消いたします」



王城の庭師自慢の薔薇園に位置するガゼボへ赴くと、丁度よかったとクリストフが歓迎してくれた。

使用人の用意してくれた椅子に腰掛け、さてふたりを茶化してやろうかと思っていたら持ち出されたのはまさかの婚約解消提案だった。



「こんどの建国祭で、ブランシュフォード侯爵のされた提案について、お耳に入っていますか?」

「うん?ああ、建国劇で国民支持を高める良い方法があると言っておったな」

「内容の方は?」

「祭礼についてはブランシュフォードに任せておる。なかなかに良いアイディアだと他のものも申しておったしな。楽しみにしておるところだ」

「では、確認はされていらっしゃらないのですね」

「う、うむ。そうだな」


クリストフ。この子は頭は良いようだが、どうにも当たりが強くて敵わん。

国王たるものうんぬんと言って、細かいところまで詰めてくるのだ。


しかしなあ、仕事を任せている以上、細かくあれやこれやと口を出せばなんのために役職を任せているのかわからなくなるではないか。

私は権限を委譲したからには、信じてやらせる心の広い為政者でいたいのだ。


「建国劇の内容を変更するとのことです」

「ほう」

「祖ブランシュフォードを女性とし、祖グランツフェルトとのロマンスストーリーにするそうですよ」

「ふうむ。それで国民支持があがるのか?」


いまいちピンと来ず首を傾げていると、じっとりとした視線がふたつ送られてきた。


「そもそも、本来の建国話を変えることで、国民の認識に誤りが生まれます」

「そうかのう」

「たとえ虚構の劇であろうと、建国以来その経緯を毎年王都の建国劇だけは伝来のまま忠実に演じることを課してきたのは、認識というのは簡単に歪められてしまうからに他なりません」


この子につけた家庭教師はよっぽど優秀だったのだろうなあ、あとで他の子にもつけてもらうことにしよう。

などと別のことを考えていたのが気づかれたはずはないが、よろしいですか?と言われたので思わず「うむ」と答えてしまった。


「まあ!本当によろしいのですか?ありがとうございます!」


先程まで大人しく話を聞いていたヴァレッタが、急に大きな声をあげて喜ぶものだから、少々びくついてしまった。

あれ?今何を言われたんだったか?


「快諾ありがとうございます。すぐさま書面に起こしましょう」


そう言って、なぜか傍に呼ばれていた事務官にクリストフが指示をしている。

うむ?書面とな?


声には出さずにクリストフへ視線を送る。

いつもならこれで側近が噛み砕いて説明をしてくれるのだが。


「陛下のご厚情に痛み入ります」


説明してくれないんか〜い!



クリストフは賢い。賢いが、当たりが強い。

もう少し優しくできんのか。


「あ、あ〜。そんなに嬉しいことか?」


まさか聞いていなかったなど、今更言えない。

こんなにも喜んでくれているんだから、きっと私がとても良いことを言ったに違いない。


「ええ、それはもう!長く心に病んでいたのです。さすがは陛下ですわ、ご英断に感謝いたしますわ!」


いつも礼儀正しくピシッとしているヴァレッタがこんなにも喜んでくれるなんてなあ。

もうそれだけでいいかあ。


「ええ、本当に。それでは私は約束通りにクーデターを未然に阻止をしてみせますね」


クーデター?

そんな話になっていたか?


「成功の暁には、私どもは婚約を解消いたします」

「えっ?」

「え?」


キョトンとした顔で私の顔をみつめるヴァレッタ。

可愛いのお。

こんな娘欲しかったんじゃあ。


「歪んだ建国劇を利用しつつ、クーデターを阻止。結末としては建国記と変わらないままに誘導し、ローゼンベルクの血も、ブランシュフォードの血も、今後も王家に交わらぬことを宣言いたします」


うん?


「つまり?」


「私たちの婚約は解消いたします」


……えええーーー!?!?


その後、あれよあれよと婚約解消の段取りを組まれてしまい、認めざるを得なくなってしまった。

素直で賢い娘ができたと思っていたのになあ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


そろそろ第2章の開始準備が温まってきました。

近日公開いたします。


次のお話もぜひ、お楽しみに♪

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