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後列モブは巻き込まれ体質すぎて悪役令嬢を放っておけない〜実は隠れ溺愛されてたとか受け入れられません!〜  作者: 皆神 わいら
第1章 後列モブはゆるくぬるく生きたい

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番外編 ローゼンベルク家使用人は、壁になりたい

いくつか番外編を掲載させていただきますね

ローゼンベルク家使用人は、お嬢様の幸せを見守ることに至福を覚えるものです。


私はルドルフ。

ローゼンベルク公爵家に使える執事でございます。

グランツフェルト王国における武の家門として長い歴史のあるこの家に、代々支えさせていただいております。

先ほど、厨房に飛び込んできたハンナのもたらした情報は素晴らしいものでした。


「今週末、お嬢様がご友人をお招きになります!」


その言葉に、厨房は騒然となりました。

それというのも、お嬢様がご友人をお招きになるのは、これが初めてのことだからに他なりません。


幼少期よりご成長をお見守りしてまいりましたが、ヴァレッタお嬢様はどうにも引っ込み思案なところがあるらしく、なかなかご友人をお作りになるのが苦手のご様子でした。

奥様に連れられ子ども同士の交流に赴かれた後も、帰るなりお部屋にこもられてしまい、漏れ聞こえてくるため息には心を痛めたものです。


この志はお嬢様付きの侍女であるウルリケも同じくしており、メイドのハンナとお嬢様のおそばに付きながらも、お力になれないことを歯痒く思う、と何度共に夜をふかしたことか。


そのお嬢様が、ついにご友人をお招きになると言うのです。

われわれのこの胸中がおわかりいただけるでしょうか。


学園よりお帰りになったお嬢様から、くれぐれも頼むと伝えられたウルリケはこのビッグニュースにすぐさまハンナを寄越したと言うわけです。

いつものようにお嬢様の前を辞し、静かに廊下を移動しようとするものの、どうにも勝手に早足になり、気づけば厨房までほぼ駆け足でありました。


注意しようと私の開きかけた口に気づかないまま声を上げたハンナに、むしろ賛美を伝えたくなりました。

よくぞすぐさま伝えにきました。


そして今でございます。


厨房には今日の夕食を仕込む料理人や休憩をしている使用人らが数人おりました。

料理長が鍋を落としそうになり、それを副料理長が見事キャッチしました。


「お嬢様が……ご友人を……!?」

「泣いていいですか!」

「まだ早い!」

「いやもう泣いてます!」

「おい!誰かハンスを呼んで来い!」


待ちに待ったこの知らせに、我々は平常心でなどいられません。

我々は長年組み上げてきた「お嬢様のご友人を歓待するシフト」に移行します。


「週末まであと何日だ?」

「お相手は誰だ?」

「何をご用意したらいい?」

「好き嫌いはないか?アレルギーはないか?」


お嬢様がご友人をお連れになったその日には、これをしてあげましょう、これをご用意してあげたいと考え続けてきたのですが、いざその時がくると、どうしたらいいかわからなくなるものです。

皆、口々に思っているものを声に出すものですから、さすがにうるさくなってまいりました。


「お待ちなさい。私はまずコンラート様にお伝えしてきます。それまであなたたちは今日の仕事をすませるように、詳細が決まり次第すぐ動けるようになさい」


その言葉に、行ったり来たりしていたものたちはピタリと動きを止め、「承知いたしました」と声を揃えます。


うむ、それでこそローゼンベルク家の使用人です。


私は厨房をでると、家令のコンラート様がいらっしゃるであろう執務室へと足早に向かいます。

ハンナは駆け足になってしまったようですが、私くらいの者にもなれば、優雅に廊下を移動することなど、移動することなど……ハンナを叱ることはやはりやめておきましょう。


コンコン


旦那様の執務室の扉を叩き、入室します。

そこにはお早くお帰りになった旦那様とコンラート様がいらっしゃいました。


「失礼致します。旦那様、重大なご報告があります」

「ルドルフか。どうした?」


執務室では旦那様がお苦手な書類と格闘をされていました。

黒光りするほどに磨き込まれた重厚な執務机の脇に立つコンラート様がまだ紙束を抱えているのを見る限り、お仕事の途中であったようです。


束の間でも書類仕事から離れられると感じたのでしょう、旦那様はすぐさま私に報告を開始するようご命令なさいました。


「先ほどお嬢様がお帰りになりました。その折、今週末にご友人をお招きになりたいとおっしゃられたそうです」


落ちる沈黙。

旦那様も、コンラート様も、私の顔を見て微動だにされません。

私はもう一度、大事なことだけを簡潔にお伝えします。


「お嬢様がご友人をお招きになります」


すると、ようやく報告が成功したようです。

旦那様が机から立ち上がり、両手を天に突き上げ雄叫びをお上げになりました。


「うおおおおおおおお!」


その横で、小さく目の端をぬぐった動きを私は見逃しておりませんよ、コンラート。


その日の夕食は、まるで来賓を迎えるかのような豪華さでした。

お出ししたデザートを口にしたお嬢様が「エルナ様にも召し上がっていただきたいわ」と呟かれたことを料理長に必ず伝えなければなりません。


ああ、私もこうしてはおれません。

早く自室に下がりましたら、日々忘れずにつけている記録帳に書き留めたい。

それではみなさま、今日はこの辺で失礼致します。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


ローゼンベルク家の使用人たちのお話にもう少しお付き合いいただければ幸いです。


それでは、

次のお話もぜひ、お楽しみに♪

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