【第10話】烈火のバフと、始まりの森の『炭火焼き鳥』
第10話!シルフィの戦闘シーンです!
【第10話】烈火のバフと、始まりの森の『炭火焼き鳥』
「ふぅ……食った食った。ごちそうさまでした、タカシ!」
シルフィは『麻婆ウルフ丼』を綺麗に平らげ、満足そうにお腹をさすっていた。真面目な顔に戻ろうと必死だが、口元にちょこんとついた赤いタレが全てを台無しにしている。指先でそれを拭ってやると、彼女は「ひゃっ!?」と変な声を上げて顔を真っ赤にした。
「な、何をするタカシ! 私を子供扱いするな! ……それより、お腹がいっぱいになったら、少し身体を動かしたくなってきたな」
彼女の身体からは、いまだに味の素の『Cook Do』がもたらした【火属性魔法攻撃力+50%】と【闘気覚醒】の赤いオーラがメラメラと立ち上っている。あまりのエネルギーの充満っぷりに、じっとしていられないらしい。
「ちょうどいいですね。食後の運動がてら、ギルドで受けておいた次のFランク常設依頼『黒色コカトリスの間引き』をやっちゃいましょう。確か、この丘の裏手の林が繁殖地のはずです」
「うむ! 今の私なら、素手でもあの怪鳥どもの首をへし折れるぞ!」
やる気満々のシルフィと共に、俺たちは木漏れ日の丘を越えて薄暗い林へと足を踏み入れた。
――ピキィィィッ!
林の奥から、鋭い金属質な鳴き声が響く。現れたのは、体長1.5メートルほどのアナホリフクロウのような巨体に、トカゲの尾を持つ魔獣『黒色コカトリス』だ。それが一気に3羽、縄張りを荒らされたと怒り狂って飛び出してきた。
「タカシ、下がっていろ! ……ふん、まとめて焼き鳥にしてくれる!」
シルフィが大剣を引き抜き、地を蹴った。
ドゴォン! と地面が爆ぜる。麻婆丼の【闘気覚醒】バフの効果により、彼女が動くだけで周囲の空気がビリビリと震え、コカトリスたちはその圧倒的な威圧感に恐怖して「ギャッ!?」と動きを止めた。
「ハァァァッ! 『紅蓮一閃』!!」
シルフィが剣を横一文字に振るった瞬間、本来ならただの物理攻撃であるはずの剣閃に、クックドゥの【火属性魔法攻撃力+50%】が完全に上乗せされた。
ゴォォォォオオオッ!!!
大剣の軌跡に沿って、猛烈な大火炎の波が引き起こされる。林の木々を焦がすことなく、コカトリス3羽だけをピンポイントで包み込んだ烈火の炎。
ズドォォン!
一瞬だった。激しい炎が収まったときには、コカトリスたちは消し飛ぶこともなく、信じられないほど綺麗な『丸焼け』の状態で地面にゴロゴロと転がっていた。
「……すご。完全に中まで火が通ってる」
「ふ、ふん。火加減を間違えて消し炭にしたら、お前が悲しむからな。私の剣技にかかれば、魔物の熱処理など容易いことだ!」
シルフィはツンと鼻を鳴らして大剣をサヤに収めたが、その耳はやっぱり少し赤い。俺のために、食材として完璧な状態で仕留めてくれたらしい。真面目で優しいやつだ。
「さすがシルフィさん! 最高です。じゃあ、これらは全部ネットインベントリへ……」
俺が丸焼けのコカトリスに触れようとした、その時だった。
頭の中で、懐かしいピロン♪ という音が優しく響いた。
『ネットスーパーの経験値が一定値に達しました(クエスト達成および異世界食材の獲得)』
『現在の経験値:【35/100】』
レベルアップとまではいかないが、確実にレベル100への階段を上っている。
「よし、コカトリスの肉をインベントリに収納完了です。シルフィさん、この丸焦げの皮を剥いだら、中はめちゃくちゃジューシーな最高級の鶏肉(コカトリス肉)ですよ。今日の夜ご飯は、これを使ってとっておきのメニューを作りますね」
「な、何っ……!? あのコカトリスの肉が、お前の手によってさらなる化け物料理になるというのか……!?」
シルフィはごくりと唾を飲み込み、早くも夜のメニューに思いを馳せて琥珀色の瞳を輝かせるのだった。
(第11話へ続く)
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