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赤ちゃんから始める来世改善計画  作者: ぎあまん


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地中の暴食



【死骨兵】のホネッコ上等兵からまた判断を仰ぐ反応が届いたので【死眼】で確認。

 本体の方は疲れて寝たことにする。

 ミランザも起きたばかりで、これから色々するのだから俺が寝てるのは都合がいいだろう。


 で、なにが起きてるんだって……。

 目の前が土だった。

 なにごと?

 周辺を確認すると、ちょうどホネッコ上等兵が入るくらいの竪穴に入り込んでしまっているようだ。

 なんでこんな穴ができてるんだ?


 いつからここに入っているのかわからないけれど、なんか穴の隙間に石やら土やら枝やらが詰め込まれてないかって……。

 いままさに上から降ってきてる。

 なんぞと思って上を見てみれば、養殖ゴブリンどもが穴を埋めようとそこら辺にあるものを降り注がせているみたいだ。

 なんか、知恵を働かされてるな。


 どうしたもんか。

 動ける場所がなさすぎてホネッコ上等兵は動くに動けないという状態だ。

 このままだと生き埋めだ……生きてないけど。


 ううん、そうだ。


 骨の隙間に待機している【腐肉スライム】のクサリン兵長に上等兵の足元に移動してもらう。

 そしてそこで【巨大化】を使わせる。

 下から膨張する【腐肉スライム】によって上等兵の体は降り注ぐ土砂と一緒に上へと押し上げられる。

 姿を見せた【死骨兵】の姿に養殖ゴブリンたちが逃げ出そうとしたけれど、もう遅い。

 あっという間に薙ぎ払われて全滅した。


 ううん、なんか対策され始めたのかな?


 森の中のゴブリンの数も減ってきているみたいだし、一回やめてみようかな?

 とはいえ、他になにかやらせることはあるのやら……。

 ここまで立派になると領都エイゴラの下水道に配置したままっていうわけにもいかないし。

 クサリン兵長は小さくなって待機できるから、ハンター軍曹みたいに側に置いておくこともできるけど、ホネッコ上等兵はできないし。

 なにかやらせることはないものか?


 ……いや、相手はいるんだけどさ。


 邪教集団っていう、あからさまに俺のカルマポイント稼がせてくれそうな存在が。

 だけど、場所がわからない。

 相変わらず地図がないし、そもそもどこだったかもはっきりしない。

 ミランザに聞くこともできないしな。

 赤ん坊だから話せないし。

 俺の生まれた場所とかミランザの故郷の場所とかがわかっていれば、そこに派遣するんだけど……。


 なんて考え事をしていたら、地面が揺れた。


 地震か?

 周りの木々が騒がしく葉音を鳴らす。

 地面が割れた?

 木々が根をあらわにして倒れていく。

 大地震だぞ。

 さすがに耐えきれずにホネッコ上等兵も膝を付いた。

 地面に飲み込まれる可能性を考えて、クサリン兵長にホネッコ上等兵を包ませておく。

 さっきのことからも、地形の悪い場所はスライムの方が応用が利く。


 そうしていると、いきなりズガンと浮遊感に襲われた。

 落ちている。

 陥没か?

 地下に大穴が空いて、上の地面が全部下に流れていっているんだ。


「なんだってんだ」と叫びたいが、【死骨兵】の体には声帯がない。

 もしかしたら本体の赤ちゃんボディが「ふぎゃああ」と泣いているかもしれないな。


 土砂と一緒に下に落ちていく。

 その中に生き物の姿もある。

 鹿やら猪やら、養殖ゴブリンに侵食されてしまっているが、まだまだ普通の獣がこの森に多い。

 そしてもちろん、養殖ゴブリンどもの姿もある。


 そんな養殖ゴブリンたちがまとまって落ちているのを見つけて、兵長と上等兵が同時に動こうとしたけれど、もちろん行けるはずがない。

 停止を命じているとその養殖ゴブリンたちの、いままさに滝のように下に落ちている土砂が割れた。

 土砂の大飛沫と共に現れた巨大な存在が周りごと養殖ゴブリンたちを丸呑みにする。

 頭は地面に戻ったけど、胴体はいまだ俺の視界で巨大なアーチを描いている。

 そこに【鑑定】をかける。


『アスヴォア:ワーム系魔物の異常成長個体。お腹が空くと地上の生き物をなんでも食べる。古代の大地の神(アトラス)はアスヴォアの群れによって死したと言われている』


 とんでもない結果が出た。

 地上の生き物を食べるって、ワーム系(ミミズ)なら土でも食べてろよ。

 そして神を食べたって逸話は……ファンタジーな世界観だから逆にリアリティがあって嫌だな。

 全身から浮遊の感覚はなくなったけれど、今度は土砂の渦に飲み込まれている。

 これ、アスヴォアの巨体が動き回ることで周りの地面が粉砕・撹拌されていってるんだな。


 で、時々あのでかい口で撹拌した土を飲み込んでいる。

 たぶん、あの辺りに生き物がいて、飲み込んでるんだな。

 積極的に自分で動くアリジゴクみたいなもんか?

 なんだそれ、タチ悪いな。


 とはいえ、どうしたものか。

 空を飛ぶ魔法でもあれば……いや、俺だけなら【死眼】の魔法を切ればいいだけなんだけど……。

 ここまで成長したクサリン兵長とホネッコ上等兵を失うのは惜しい。

 それに、明らかに広範囲の地形を破壊しているアスヴォアの存在は、人間にとっては迷惑な存在に違いない。

 ……さらにマクロな視点で見たら自然を再生する意味があったり?


 いやもうそこまで考えていたら、人間なんて環境を自分たち用に改変する生き物なわけで。

 わけわからんくなるし、俺の前世の行為が善行と認められたって前例を踏襲して人間側の味方をするしかない。

 人間が人類の都合を無視するっていうのもおかしな話だしな。


 そんなことをグダグダと考えることができるのは、ここに自分がいるわけではないという安心感があるからだろう。

 緊張感に欠けていた。


 アスヴォアの姿が見えないなと思っていたら、いきなりの下への浮遊感に襲われる。

 土砂が下に流れ出した。

 下を見ればアスヴォアの巨大な口が待ち受けている。


 ま、【魔導骸装】!


 咄嗟にスキルを使った。

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