ブドウジュースですわっ!
羽咲お嬢様が、ついに動き出す!?
さて、俺は温泉街調査のため、もう一度有馬に向かっているが……
「あの…… ユキナさん? 別に無理についてこなくても大丈夫だよ?」
俺は、ユキナの家族が心配するんじゃないか、と思って言ったのだが、
「大丈夫ですっ! 家族はむしろ行ってこい! って言ってましたっ!」
そうか、ならよかった。
「それとも…… マクナくんは、私が一週間一緒はめいわくですか?」
「いや…… 別に大丈夫だけど、俺たちは大学のレポート書いたりするから、」
「ふふふ、大丈夫ですっ! ありがとうございます!」
はあ、なぜありがとうなのか。でもまあ、笑顔だし大丈夫だろう。
「またまた有馬ですわー」
有馬温泉に戻ってきた。さて、ここから調査を始めますか。
とりあえず、持ってきたバインダーに紙を挟み、街の様子を描写する。
今日は月曜なので、比較的空いているようだ。
あとは…… 建物の基本情報も入れておくか。
そんなこんなで、ペア二人で手分けして調査していたのだが……
「マクナくん! 北西部の交通量調べてきたよ!」
こんな感じで別の大学であるはずのユキナも調査に積極的だ。
「ああ、ありがとう。熱いから無理しないでね」
「ありがとう! じゃあ、南西部行ってくるっ!」
ユキナを見送り、俺は再びメモを続ける。
「とっても助かりますわね。そんなに無理しなくていいのにですわ」
昨日とは異なり、朝に飲酒しなかった羽咲先輩は、いつになく真面目モードだ。
いや、普段はコレが普通で、昨日が異常だったのかもしれない。
「さあ、缶ビールの時間ですわ」
期待を一瞬で裏切らないでくれ。そもそも、あなたまだ二二才でしょう?
大人とはいえ、まだまだ小さいんだから……
と言っても、レジ袋を漁る羽咲様を止めることはできないのであった。
「あれ、ないですわ」
そうか! なかったかっ! それは残念でしたねえ、あー非常に残念だー。
「仕方ありません、必要経費ですわ」
そう言った羽咲様は、
「ちょっと缶ビール買って来ますわ、欲しい飲み物はありまして?」
えっ…… 俺は買いに行かされる覚悟をしていたのに、
何てったって、昨日ラーメン三杯奢ったし。
「わたくしだって、彼方のお役に立ちたいですわ」
ロングヘアをいぃりながら、頬を赤らめて言うお嬢様。
「じゃあ…… アイスコーヒーで」
「了解ですわー、あっ! ユキナさああああん!」
遠くのユキナを見つけると、羽咲様はまっしぐらにユキナに聞きに行った。
「なんか、今日の羽咲お嬢様は、一味つ違うぞ……」
このあと嵐でも起こらないといいが……
「ジュースですわー」
「えっ、アイスコーヒーは?」
レジ袋を両腕にぶら下げ、帰ってきたニコニコのお嬢様は、早速慌て始めた。
「ああ、そうだったわ、わたくしとしたことがっ!」
「いや、むしろありがとう。このブドウジュース大好きなんだ」
「へ⁉︎ そ、それなら良かったですわ……」
「というか、昨日俺が飲んでたジュース、覚えててくれたんですね」
「は! はいっ! 大好きなので覚えてますわ!」
そんなに羽咲様も好きなジュースなのか……
社長令嬢も認める高級ブドウジュース……か。俺も貴族の仲間入りだな。
「マクナくん…… ジュースを飲むマクナくん…… かっこいいですわ」
まじでブドウジュース美味い。いや、やっぱり俺はブドウの申し子を自称すべきだな。
「むう、聞いてないですわ」
羽咲様のご褒美コメントはブドウジュースに阻まれてしまった。
暫定1位のヒロイン ブドウジュース




