プチ短編 「野球ガチ勢! ハサキとユキナ!」
ハサキちゃんとユキナちゃんの意外な趣味とは……野球観戦!?
ペアワーク二日目の朝、羽咲お嬢様一行はなぜか……
「かっ飛ばせー! ホームランッ!」
なぜか、甲子園に来ていた。
「もうっ! 高めは捨てて下さいですわっ!」
隣でエキサイトしている社長令嬢を横目に、俺は唐揚げに爪楊枝を伸ばすが、
「あれ、ない……」
全部羽咲様が食べてしまったようだ。
「ほら、私のあげるから。元気出してっ!」
そしてなぜか反対には諏訪ユキナが座っている。
一体、なぜこうなったのか、四行程度でまとめよう。
俺は朝起きて、有馬温泉の調査を羽咲様に提案した。
しかし、羽咲様は、部屋から出てこない。
心配になった俺は部屋を開ける。
そしたら、もぬけの殻で、甲子園に来いと連絡を受けた。
以上だ。羽咲様によると、ユキナとはいつのまにか連絡先を交換していたようで、昨日の座席のお礼に招待したようだ。
「ああ打った! えっ! ダメダメっ! 止まってえええええええええ!」
「あー、ホームで刺されちゃった」
ちなみに、今の試合は羽咲様の出身高校だそうで、緊迫した投手戦が続いているのだ。
「もう! でもこっから大事だわ。チャンスのあと、裏の守りには要注意よ。マクナくん」
「なぜ俺にアドバイスするんですか……」
「そうですね。特に今回は突っ込んでタッチアウトで回が終了…… 先頭バッター気をつけたいですね」
さっきからなぜかマニアなユキナさん。
「その通りだわ、さあ始まるわよ」
すると、ユキナの言った通り、先頭バッターが左中間を破る。
「お願い! 三塁いけるっ! レーザービームッッ! えっ! セーフ⁉︎」
「あー、今一瞬落としてたね。サードがショートバウンドして取れなかったんだ」
緊迫の場面である。俺だって、ぜひとも羽咲様の母校に勝って欲しい。
「まあ八回裏ですから、前進守備せざるを得ないわね……」
「うん…… でも、ここは今日抑えてるとはいえ、四番だから…… 私が監督なら定位置に留まるわ」
大柄な四番バッターは、いかにもホームランを打ちそうだ。
俺はなんとなく予感がしたのだ。
(定位置どうこうではない。ホームラン打たれそう……)
すると真ん中に入ったのだろうか、バットから快音が響く。
「うわああああああああああ! 捕って! 捕ってえええええ!」
「うそ、捕って……」
騒ぐお嬢様とお淑やかな明るい子。
さて、打球は…… おお、
「とったあああああああ!」
「よかったっ!」
俺を挟んでハイタッチする二人。ナイスプレーだな。
ところでユキナは、昨日知り合った先輩の母校にここまで熱中するとは、よほど野球が好きなのか、それともよほど先輩が好きなのか。
「さあ、九回いい流れだわ」
「はいっ! あっ、でも七番からです。出塁して上位に回したいですね」
一瞬で勝負師に戻る二人。ガチ勢同士楽しそうでよかった。
「よっしゃ! ヒットだわっ!」
「やったあ! 次バントで送るかな、」
ここはエンドランだろう。バッター空振りだけど盗塁成功で、ノーアウト二塁かな。
「えええエンドランっ! あっ! 良かったあ〜 空振りだけど普通に盗塁成功ですわ」
「ここ大事。エンドラン失敗後の三振はお決まりよ。だからここで進塁打を……」
八番バッターは三振してしまった。
「ああ、結果的に送った感じだわ……」
「九番か、代打出すかなあ? あ、出さなそう」
「勝負ですわ。監督は九番に託しましたわ!」
球場にチャンステーマが流れ出す。羽咲様によると、数年前に作られたオリジナルチャンステーマらしい。
一塁側スタンドが一気に手拍子に包まれる。
すると……
「打ったっ! センター前ッ! 三塁止まるカッ⁉︎ 止まった、止まったあ」
ユキナがラジオのように叫ぶ。
「さあこれでワンアウト一塁三塁、ユキナさん、一塁ランナーは盗塁しますかね?」
「いや、犠牲にフライで一点かつ前進守備で、リスクは犯さないでしょう。ただ、唯一の懸念はゲッツーですね」
「はい…… 確かに、セカンドとショートは二塁ゲッツー体制ですね……」
「さあ一番バッターの五巡目。今度こそ得点のゼロ行進を止めたいですね」
すると、一番バッターの打球は高々とレフトへ上がった。
「行く⁉︎ 行かない⁉︎ 行ったか! 勝負だあああああ! よっしゃあ!」
「セーフっ! セーフですわっ!」
めっちゃ熱狂的なユキナはガッツポーズしながら叫んだ。
こうして決勝点を挙げた羽咲様の母校、茨城代表は厳しい投手戦を制して一対〇で完封勝利した。
「勝ちましたわっ! うう、涙がっ! 後輩たちが眩しいですっ!」
「よかった、よかった! 最高の試合だった!」
ユキナと羽咲様は俺を挟んで再びハイタッチするのだった。
読んでくださり、ありがとうございました!
これからも旅行に野球要素は多く入ります!




