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学園の鈍行令嬢たちは、新幹線を認めない!  作者: 利根きぬ
鈍行令嬢羽咲とユキナ! 〜ふたりとも社長令嬢〜
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裏切りは見逃しませんわ!

わざわざ5話目まで、頭が上がりません。本当にありがとうございます!

 さて、有馬口を出た列車は、ついに有馬温泉に到着した。

「有馬温泉ですわー、んんー」

 改札を出て伸びをする先輩は、嬉しそうに目を細めていた。

「マクナくん、旅館の予約はちゃんと取れていらっしゃる?」

「先輩がさっき『わたくしがとって差し上げますわ!』て言ってたのでノータッチですが」

「え、じゃあ、わたくしに野宿しなさいとおしゃっていて?」

 どうしてそうなるんだ……

「まあ、予約してないなら、俺がとっても良いですか?」

「好きにして?」

 なんだこの少女は……

 身勝手にも程があるが、まあお嬢様だし仕方ない、温泉に来る機会も少なかったのかもしれないからな。

 ここで問題発生。

「あの…… 宿は全部埋まっているようで……」

「…… やですわ」

「? 何と言いました?」

「いやですわ、ここまで来て浴衣になれないなんて、いやですわっ!」

「先に野宿を心配しましょうよ……」

 どうしようか、時刻はもう一九時近い。

 温泉街の観光調査が目的なので、有馬でないといけないわけではないが……

「うう、早く温泉入りたい……」

 羽咲様はこの有り様なので、早く宿を見つけてあげたい。

 だが、宿が空いていないもので……

「ん?」

 俺はスマホ上の旅行サイトに「空き」の文字が出たのを見逃さなかった。

 


「よし、先輩、取れましたよ?」

「へ⁉︎ 本当! 大好き!」

「心臓に悪いことを言わないでください」

 と俺は言い返しつつ、

「案内しますよ、こっちです」

 そうして俺は、迫り来る戦に備えて、体をほぐすべく大股で歩いていた。

 

 

「ここです」

「うわあ、素晴らしいですわ!」

「喜んでもらえて嬉しいです。では、ちょっと俺は行きたいところがあるので、また明日」

「えっ…… どっか行っちゃうの……?」

「はい、ちょっと買い物に行きます」

「……」

「すみません、では、失礼します」

 寂しそうな先輩には申し訳ないが、仕方ない。

 宿は一人しか取れなかったのだから。まあ、お嬢様の野宿回避ミッションはクリアした。

 さあ勝負だ。俺のお尻とロングシートの直接対決だ。

「マクナ…… くん、早めに戻ってきてね、」

「ああ、早めに迎えに行くよ」

 朝イチの「特急」で向かいますよ。

 

 

 俺は、駆け足で有馬温泉駅に向かっていた。

「ふう、何とか間に合った」

 実は、俺は乗り換え検索で気づいたのだ。

「有馬を一九時に出れば、二十二時半に城崎に到着できる…… か」

 そう、城崎行きの特急は、夜遅くもまだ動いているのだ。

 鈍行少女がいない今、俺は特急を使うことができる。

 そうして、俺は三田駅まで向かって、そこからの特急券を購入した

 

 さあて、チートを使いますか!

 

「ちいとはダメですわ」

「⁉︎」

「もう、わたくしから逃げようったって、そうはいきませんわ?」

「いや、俺は宿が取れなくてだな、救済措置として……」

「だからって、ダメなものはダメです、むっ」

 いつのまにか三田までついてきた羽咲様。

「なんて鬼畜や……」

「今なんて?」

「なんでもないです……」

「ほら、特急券は没収ですよ」

「えっ……」

 有無を言わせず回収する羽咲様。

「もう、心配だったんですよ? マクナくんが特急券を使わないか」

 そこは心配しなくて良いのに……

「とにかくっ! 有馬の旅館がもう一つ空いてたので、予約とっちゃいましたよ?」

「ああ、ありがとうございます……」

 城崎の旅館はとっていなかったので良かったが……

 回収された特急券はどうなるのやら。

 

 

「ふたたび有馬ですわー」

 有馬温泉に戻ってきた羽咲様一行は、旅館のロビーのソファでくつろいでいた。

「ふふっ…… 最高ですわあ」

 百円のマッサージチェアに座る先輩は、とても幸せそうだ。

 俺は、そんな羽咲お嬢様を見て、ふと思う。

 

 この人は本当に名門大学トップの学生なのだろうか?

 

 もちろん、今日一日では判断材料が不足しているかもしれない。

 ただ、今日一日を見ていると、どうも子供っぽいお馬鹿キャラに見えて仕方がないのだ。

「ふふ、マクナくん? 随分と難しそうな顔してるわね?」

「っ…… ああ、ちょっと考え事していただけ」

 そう、と先輩は軽く返して

「本当に、かわいい子だわね」

 …… この人は何を考えている話しているのだろうか。はたまた、何にも考えていないのだろうか。

「さあ、わたくしはもう寝ますわ」

 立ち上がり自室へ突き進むお嬢様。

 本当にちゃんと寝てくれればいいが。というか、寝て下さい……

 しかし、まだ彼女の一日は終わらなそうだ……

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