目指すは碓氷、いっくよー!
鈍行の聖地、碓氷峠⁉︎
「高崎ですわー」
「高崎だねえ」
奈良を目指すお嬢様一行は、前回とは異なり、北陸経由で行くことにした。
俺は別に東海道線でも良かったのだが、「中山道がいいですわー」という羽咲先輩リクエストがあったので、そうした。
ここから信越線に乗って横川まで、そこから軽井沢まではバスで向かう。
「碓氷がちかいですわー」
「うっすいー!」
なぜか鈍行好きな二人にとっては、碓氷峠は聖地のようなモノだろう。
そう、かつて碓氷峠には、壮大な峠越えをする鉄道が走っていたのだ。
なんでも、機関車を追加で連結するとか。
今となっては、日本屈指のリゾート地、軽井沢までの工事は、さぞ難航したそうだ。
「でも、その前にパスタですわー」
「わーい! パスター!」
えーっと、君たち横川で美味しい駅弁食べれなくなるよ?
もちろん俺もパスタ大好きだけど。特にミートソース。
「あー、意外とね、横川着いてからバス発車まで時間ないんだよ」
「そうですわ…… 五分〜十分くらいなのですわ」
詳しいな、君たち……
では、今日はパスタを頂くとするか。
「美味しいいい!」
「最高ですわー!」
「美味しい」
すまん、それしか言えないくらい、美味しかった。
めっちゃうまいのだ。
「さて、俺が支払っとくよ」
「「ダメっ!」」
「え? だって、俺が支払うって決めたじゃん」
「こんな美味しいパスタ…… お金を払わずにはいられませんわっ!」
「そうそう! そうなんだよっ!」
仕方がないので、三人で折半した。
ただ自分の分を払っただけだな。
「ふー、美味しかった!」
「ですわー」
「そうだな、昔の人にも食わせてあげたいな」
「「⁉︎」」
「ん? どうかしたか?」
「い、いえ…… なんでも」
「そう、なんでもない。気にしないで」
「そう、なら早く付いてきてくれ。こっちだ」
羽咲先輩とユキナは、マクナを追いつつ、密かに話す。
「ねえねえ、やっぱり、マクナくんも地の文読み……」
「いや、あの感じだと、たまたまですわ」
「そう…… ベテランが言うなら、大丈夫だね」
「はい、ちょっとびっくりしましたけどね」
よし、あと少しだっ!
二人がなんか話してる隙に、新幹線改札に入場する作戦だっ!
俺だけでも入れれば、軽井沢で合流、となるかもしれない!
碓氷峠は、見たいんだが…… 新橋からの移動でお尻が痛くてな……
「あー、やっぱり地の文読みじゃないわね」
「ほーんと、知らないねえ」
そうして、俺は二人に引き戻され、在来線改札へと連行された。
「さあ! 碓氷越えですわー!」
「うすいー!」
「……」
君たち二人と旅行したら、すぐ日が暮れるんだよ……
まあ、俺も行くか。
リゾート! 碓氷を越えて、涼しい軽井沢へ!
地の文読み能力




