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学園の鈍行令嬢たちは、新幹線を認めない!  作者: 利根きぬ
さすがの社長令嬢様!!
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24/37

そう、それが。大切な後輩の願いなら……。わたくしはっ!

鈍行令嬢……

「やばいですわー」

「やばいねえ」

 何かを見抜いた羽咲と、うずくまりから解放されたユキナ。

 ついにピンチに気づく。

 

「あれ…… 今日、最終日で……」

「はい、旭川駅まで来まして、時刻表を見たら……」

 

「「電車がない〜!」」

 

 ほれみろ…… 明日朝から大学、そして旭川で終電を迎えた。

 だから間に合わないと思ったのだ。

 

「マクナくん! なんで帰れないって分かってて言いませんの!」

「そうだよ! 知ってたなら言ってよ!」

 

「いや、だから…… すみません」

 鈍行法違反で意識を飛ばされたマクナ。本人は気づいていないが、マクナは話すこともできなかったのだ。

 

「あ…… でも、もしかして、マクナくん。こうやって無理矢理、」

「え! マクナくん! 私たちとのもう一泊作戦⁉︎」

 

「いや、違うから…… それより、明日の大学どうするよ?」

 レポート提出をしなければ、成績下位で確実に北海道移住だ。

 

「そうですわ…… 首席のわたくしなら、もしかしたら先生を説得できるかもですわ」

「ただ、それだと先輩の三年間の努力に泥を塗ってしまいます。それに、減点はどのみち避けられません」

 

 それはそうだ。もう大学生なんだから、欠席かつレポート未提出は当然減点対象である。

 

 ただ、俺には秘策があった。

 

「でも、大丈夫です。俺には、アマミ先生を説得する、『秘策』があるので。任せて下さい」

「ひさく……? まあ、そこまで自信がありまして? それならいいですわ。わたくしの首席卒業は、マクナくんに託しますわ」

 

 責任重大だ。でも、大丈夫。絶対大丈夫。

 

 

 俺は、プロのパイロットを信じてるから。

 

 

 そう、俺は飛行機に乗せる。否が応でもだ。先輩の首席は、新千歳発羽田便にかかっている。

 

 絶対に先輩を乗せるんだ。絶対に。

 

 もしかしたら、先輩は「そんな、首席なんていいですわ」

 

 と言うかもしれない。でも、俺はそれを許さない。

 

 だって、先輩は、カッコいいから。

 どんなに俺が速達列車を使いたがっても、どんなに自分がキツくても、どんなに時間がかかっても、自分の信条を貫く羽咲先輩。

 

 そんな、己の道を突き進む先輩を、俺は尊敬する。

 

 そして、羽咲様の「己の道」は鈍行だけでは無い。

 

 どんな時も、真面目に真摯に頑張ってきた。

 

 貪欲に成績を重ねてきた。

 

 そんな先輩も、俺は尊敬している。

 

 俺がこれから行う行為は、鈍行信条に背く行為だ。

 

 最後の最後で、飛行機に乗せるのは。

 

 だから先輩は、最初は嫌がるかもしれない。

 

 だってそうだろう、鈍行法まで定めるお嬢様だもの。

 

 でも、俺はちゃんと説得してみせる。

 

「羽咲様は、三年間頑張ってきた。小さいころから頑張ってきた。だから、羽咲様の「首席」という肩書きは、単なるステータスではない。大学四年まで、二十二年間の、羽咲様の想いが詰まった集大成なのだ」と。

 

 だから、羽咲様の首席卒業は、絶対に守るべきだと。

 

 

 

 

 

「…………はい、はいですわ……」

 羽咲様が、いつのまにか俺を見つめている。

 

 終電後の旭川駅前。ひんやりした空気の中、先輩は俺を見つめる。

 

「マクナくん…… ちゃんと、受け止めましたわ」

 

「え? な、何をですか?」

 俺、まだ何にも話してないが。

 

 先輩は、涙を流して。

 

「明日の九時までですわ」

 

 にっこりと、微笑んだ。

 

 ああ、地の文を読まれたか…… まあ、どっちみちセリフは同じだ。

 

「ありがとうございます。羽咲先輩。絶対、首席とって下さい」

 

「はい……、はい、はい、はいっっっっっ! ですわっ!」

 

 先輩は、嬉し涙を流し続けた。

 

 さあ行こう、新千歳へ。

ありがとうございました!

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