まじでどうやって行くの。ここ福岡から北の大地へ。
お嬢様あ…… どんだけお金持ち………
「博多ですわー」
「博多だねえ」
下関から普通列車を乗り継ぎ数時間。
俺たちはついに九州地方、博多まで来ていた。
午前中はいろいろあった。
俺は、ユキナが好きだった。諏訪結姫奈のことが好きだった。
いつから、ははっきり分からない。ただ、中学の頃から、好きだった。
しかし、俺は一切なにもしない。
理由は簡単だ。社長令嬢が俺を好きになるわけない。
ただそれだけだ。
それに、最近もう一つ理由が増えた。それは。
「羽咲様、との楽しき旅行……」
時に振り回されるし、時に座ってるのがキツくなる。逃げ出したりもした。 それでも、俺はこの旅行は好きだ。
やっぱり、明るくて、優しい大切な仲間たちと旅行するのは、楽しいから。
だから、俺からの好意は、成り立つことはないのだ。
でも…… 最強朴念仁の俺でも、なんか近ごろ違和感を覚えてきている。
みんな経験するのだろうか。この思いは。
「ひょっとして、あの子は俺のこと……」
「ラーメンですわー」
……やばい、三杯奢ろうイベントのトラウマがっ……
「どしたの? マクナくん?」
ユキナが不思議そうに覗き込む。
ショートカットが揺れて、大きな瞳で見つめる姿は、とても可愛らしい。
そうか、ユキナは先輩の、浜松駅での号泣事件も知らないのか。
あの時は「ちーとつーる」を使っていたユキナ。
ん?「チートといえば……」
「「何ですのっ!!」」
やばい。社長令嬢二人が気づいた。
「いや、違うんだ。そこのイタリアンのチーズが……」
「へえ、随分と速そうなチーズだね」
「へえ、ずいぶんと高額なチーズですわ」
「いやだから、新幹線じゃないって」
「え、誰が新幹線なんて言いまして? もしかしてマクナくん、まさか……」
「あー、これは重罪だねえ」
「鈍行の刑が必要ですわあ」
許してください。
「そっ! それより! 調査! 嬉野温泉で調査をして、先輩たちと良い成績を取りたいが故に、新幹線をっ!」
「へえ、マクナくんが大層自分で素晴らしくまとめてくれてないの?」
うう、そんなこと言った気がする。
俺がちゃんと旅行をまとめてるから大丈夫って。
「だから、いくら嬉野温泉が素晴らしくても、マクナくんは別件で有罪ですわ」
「有罪だね」
そうして、俺は二人が福岡観光をする間、嬉野豆腐のお使いを頼まれたのであった。
ん? ちょっと待て、今何日目だ?
一日目は、東京から移動して、有馬に泊まった。
二日目は、甲子園見て、もう一回有馬。
三日目は、松山で野球見て、今治宿泊。
四日目は、海を渡って廿日市の宮島。
で、五日目の岩国とか博多とか、今日に至るのか。
ああ、明後日でこの鈍行も一旦終わりか。
「ああ、どうしよっかなあ」
「ん? どうしまして?」
「いえ、最終日どこ行こうかなって思いまして」
「ああ、北海道ですわ」
そうか、北海道か。
え、どうやって行くの?
「え、どうやって行くんですか?」
「マクナくん、それは言えませんわ」
「ええ……」
まじでどうやって行くんだろう。鈍行で間に合うわけないのに。
第一、八日目朝には、アマミ先生にレポートを提出しなければならない。
もう一度言おう。
まじでどうやって行くの。
羽咲様「ありがとうですわ!」




