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学園の鈍行令嬢たちは、新幹線を認めない!  作者: 利根きぬ
恋のスピードは速達列車。社長令嬢の本心。
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19/37

マクナくん? 好きな人はいまして? 前編

錦帯橋、岩国にて

 さあて、今日も一日頑張りますかあ。

 宮島を出発した令嬢方と俺は、山口県岩国へと向かっていた。

 もちろん、俺は新幹線を提案したが、即刻拒否。

 お嬢様は切符を買った後だろうが、容赦はないのだ。

 それに、最近はユキナも監視のサポートに徹している。

「はあ、新幹線って、そんなに悪いもんじゃないんだけどな」

 そう思わずにはいられない俺だった。


「錦帯橋ですわー」

「きんたいきょー!」

 さあ、アーチ状の橋がたくさん連なった名所、岩国錦帯橋に着いた。

「すごーい! 見たことない橋だなあ!」

 ユキナもはしゃいでいる。

「おお、じゃあ俺レポートの写真撮るから、二人は橋に登ってくれ」

「うん!」

「了解ですわー」

 お金を払って、二人は橋から手を振る。

「パシャ、パシャ」

「よーし、取れたか、ん?」

 何やら橋の上で話し合っている二人。

 あー、何か企んでるなあ。

 今度は何だろうか。ここから関門海峡まで歩くとか言わないだろうな……

 

「マークナくんっ!」

「うわ!」

 なんだ、ユキナが急に抱きついてきた。

「何だよ。激辛食ってないから安心しろ」

「そうじゃなくて! ねえマクナくん?」

「ん?」

 

 ユキナは、離れて、真っ直ぐ俺を見つめる。

 

「マクナくん。あなたは北海道に行きたいの?」

 

「ん? 北海道なら、来週行くが……」

「知ってるよ、私。レポートが不振だったら、北海道の山奥にしばらく移籍って」

「…… ええと、何か勘違いしてない?」

「え?」

「俺、札幌ラーメン食いに、来週の飛行機予約してたんだ。それと今回のレポートが何か関係あるのか?」

「え…… 先輩! 違うんですか⁉︎」

 突然ユキナから話を振られた羽咲様は、

「いえいえいえいえ! ちゃんと書いてありますわ! 一〜四年合同の、『特別ぐるうぷ学習』の下位者は、一定期間、北海道の山奥に移籍って! ほら! ありますわ!」

「まさか、そんなわけ……」

 

 え…… マジで、マジで⁉︎ やばい、知らんかった!

「まさか…… 知らなかったたとはね……」

「びっくりですわ、知っていて、レポート作りを頑張っているのかと」

「いや、レポートは何であろうが、きっちりやりますから……」

 

 てか、まずくない? 俺たち遊んでばっかりじゃん。

 

「やばいじゃないですかっ! 調査しないとっ!」

「ええ…… やばいですわね」

 色々な思いを抱えて、いろんな作戦を考えて、このぐるうぷ学習に臨んだ羽咲様としては、マクナがまさか何も考えていなかったことに、

「本当に、何にも考えてなかったんですね……」

 なんか複雑な気持ちだった。

 昨日先輩から独白されたユキナも……

「……」

 黙るしかなかった。

 とりあえず、一行は駅へ向かうことにした。

 

「まさかね、ノープランだったとは」

「本当ですわ」

 マクナがブドウジュースを買いに行っている間、社長令嬢二人で作戦会議をしていた。

「ええと、状況を整理すると、」

 ①先輩は、ずさんなレポートで成績下位。

 ②ユキナと離れ、北海道で二人きりになりたかった。

 ③マクナは、北海道に行く、という予定から、成績下位を覚悟

 ④だから先輩は、自分の想いを押し付けた、と後悔。

 

「で、マクナくんが何にも知らなかったと」

「そうですわ、でも、マクナくんは、そこまで焦っていませんでしたわ」

「そう、そうよね、そこのところ、どんなふうに思ってるのかな」

 となると……

「もしかしたら、わたくしや、ユキナさん、どっちと一緒にいたい、とか」

「何にも考えてないかもですね」

 

 そう、マクナは朴念仁ゆえに、未だ二人からの好意に気づいていないのだ。

 

「でも! 今から東京に残りたい! と本気で思っていますかもですわ!」

「まあ、そうかもですね。でもそれは、私たちとか関係なく」

「ただ、良い成績を取りたいから、ですわ」

 いつの間にか、レポートのルール知らずなマクナから、朴念仁マクナの議論へと変わっていた。

 

「だいたい、私が抱きついても、全然気づいてくれないんだよ!」

「ほんとですわ。ロボットみたいですの」


 まあ、そんなこんなで議論は難航したが、結局、

「これで良いですわね」

「はい!」

 

 ①マクナくんに、今から想いを尋ねる。

 ②マクナくんがユキナを選ぶか、羽咲を選ぶか、選ばないかの三択。

 ③お互いに。今までの好き勝手をマクナに謝る。

 ④今後の旅行プラン、レポートのクオリティはマクナくんに任せる。

 そして、

 ⑤鈍行以外は引き続き認めない。

 

「ただいまー」

 マクナが戻ってきた。

「どうした? 二人してそんな真剣な顔して。緊張してるのか」

 (緊張するに決まってるよ……)

 (緊張しますわ……)

「マクナくん。正直に答えてくださいですわ」

 静かな駅前に、羽咲様の声が響く。

 ユキナが口を開く。

「マクナくんは、好きな人はいる?」

 ああ、聞いてしまった。でも、聞かないとわからない。

 さあ、マクナくん、どうだ⁉︎

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