新キャラ登場と、すっかり馴染んだユキナ。
今回は、特に大きな動きはありません!
レストランから出た俺たちは、ちょっと調査をした後、駅に向かっていた。
「…… 温泉、入りたかったですわ」
「うん…… 私も」
「仕方ないだろう、城崎の宿が取れなかったんだし、もう帰らないと有馬に間に合わないよ」
「うう…… でも」
まだまだ社長令嬢たちは物足りないようだ。
すると、突然男の人が話しかけてきた。
「すいませんっ! 特急券受け取ってくれませんか!」
「え、えーっと、あなたは」
「あ、すみません。僕、三栖幸雄っていいます! ちょっと、特急券を間違えて一枚多く発券してしまって、よかったらどうぞ!」
そういうと、三栖くんは俺に特急券を渡して去っていった。
「ええと、」
令嬢二人はむすっとしていた。
「では、尋問を開始します」
「尋問開始だね」
こうして、俺は、三栖を雇って特急に乗ろうとした。という冤罪を着せられてしまったのだ。
「だから知らない人だって……」
「はいはい、言い訳はもうしない」
特急列車を見送り、俺はホームにうなだれていた。
「さあ、裏切り者はさておき、行きますわよ」
むすっとする鈍行少女たちと、普通列車で帰るのだった。
「またまた有馬ですわー」
有馬に戻って来た頃には、あたりはもう真っ暗だ。
駅から旅館まで歩き、昨日の宿にチェックインする。
すると、問題が発覚した。
「申し訳ありません。昨日と同様、二部屋になってしまうのですが……」
どうやら、ユキナが加わったことで相部屋問題が勃発してしまったようだ。
「どうしよう……」
「どうしましょうですわ」
そういう二人はなぜかニッコニコだ。
「じゃあ、この二人相部屋で鍵をお願いします。俺も一つ、はい、ありがとうございます」
フロントのお嬢さんから鍵を受け取り、俺は自室に向かった。
「むうう…… まあ確かに女の子二人でいるべきでしょうけど……」
「でもなあ……」
令嬢さんたちはご機嫌斜めだった。
まあ、何はともあれ、今日は調査がある程度進んだ。
昨日は何にもできなかったからな。
さあて、どんなレポートを書こうかね。
普通にまとめるだけでは面白くない。「研究」だから、ふかーく調べてわかったことを綿密に書くべきだろう。
たとえば…… 鈍行で行くとマジでお尻が痛い、とか。
誰もやらなそうな調査だから意外と面白いかもしれない。
「俺たち、全部鈍行で旅行してるのか……」
そういえば、昨日からずっと快速にすら乗っていない。(だましうち米原からの新快速を除き)
本当に、なぜあのお嬢様は鈍行しか認めないのだろうか。
「新幹線は速くて怖いですわあ」
とか?
「わたくしは、メジャーなものは使いませんわ!」
こんな感じで、わたくしは特別、という承認欲求があるのかもしれない。
「まあそれはさておき……」
「ユキナちゃん…… 今日、急にどうしたのかなあ……」
ひとりでつぶやいたマクナだった。
「だから、わたくしと鈍行の恋は始まったのですわ!」
「すごいです! すごすぎます!」
その頃、隣の部屋では、羽咲様の「鈍行の素晴らしさ講義」が始まっていた。
「だから、羽咲先輩は鈍行が好きなんですね!」
「はい!」
じゃあ、とユキナは一息置いて、
「じゃあ、私はマクナくんを貰っちゃっていいですか?」
「へっ⁉︎ そ、それはダメですわああああ!」
「先輩、鈍行が恋人なんですよね?」
「うう、それはそうですけど……」
そんな感じで、ガールズトークは続いていた。




