第八章 薫の秘密
今回は、前作「GREAT GREEN AFTER」第十九章のシーンの再掲です。
財団に平穏な日常が戻ってきた。家畜用の展開は順調に伸びている。
ある日、薫が忌引きからもどり、ミユキの部屋に来た。
「少しお話があります。お時間よろしいでしょうか?」
ミユキは何事かと思い聞いた。
「先週、祖母の三村利恵がなくなりました。祖父の三村春彦は昨年亡くなっています。」
「そうですか。お悔やみ申し上げます。え、三村さんというと・・・」
「はい、私は三村史郎の兄伸郎の娘です。」
「そうだったんだ。なぜそれを早くいってくれなかったんですか。私は全く気付かなかった。駄目ですね。」
「仕事には関係のないことですから。それより祖母は最後まで先生に対し申し訳ないことをしたと悔やんでいました。私も死に際にその話を聞いて驚きました。どうか祖母を許してやってください。」
ミユキは驚いた。許すも許さないも、ミユキには何のわだかまりもなかった。
「もう済んだことです。私は何も思っていません。そう墓前に報告ください。」
ミユキは優しく薫に告げた。
「先生は叔父とどんな関係だったのですか?」
「関係もなにも、飛行機事故で助けてもらった以上はないわよ。」
「左手の指輪がずっと気になっていて・・・」
「これは、私が初めて学会に行ったミラノで、ふと目に留まったらぴったりの大きさで、思わず買ってしまい、あなたの叔父さまもミラノの学会に行くところだったから、なんか結婚指輪を買ったような気持ちになってしまってね。お恥ずかしい話ですよ。」
「叔父が引き寄せたのではないでしょうか?」
「そうだといいですね。」
「でもこうやって、叔父の研究を引き継いで成果を出していますから、喜んでいると思います。」
「これからは、叔母さまと呼ぼうかしら。」
「それはやめて。」
それから二年ほどが過ぎ、人体用GGSも国内承認とJECFAは認可され、順調に出荷が始まった。
しかしFDAとEFSAは二の足を踏んでいる。
ミユキは、何度も足を運びロビー活動はしているが効果はない。かなり慎重姿勢だった。
しかし、我々の当初の目的であった飢餓対策の面では、JECFA承認で国内承認と認めてくれる国は多く、難民キャンプや貧困層の居住区を優先して提供されていった。効果はじわじわと上がっていくが、目立った副作用は出てこなかった。
「アメリカや欧州からは寄付金は群を抜いて多いから、制度を理解していないわけではないでしょう。なぜ、認定されないのでしょうね。」
というミユキに対し、薫は、
「日本でもあまり普及してないです。やはり食料が豊富にある国ではニーズがないのかな。でも、いつどんなことが起きるかわからないし。私は全世界の80%以上の普及が必要だと思っています。本来なら各国で80%以上にしたいところですが、そこまで内政に踏み込めないですしね。」
「今の普及率はどれくらいなの。」
「人口ベースで、まだ7%を超えたくらいです。しかし生産能力の足かせもあるし、今は目標の一割にも満たないですが、まだまだ伸びますよ。」
「あとは先進国次第でしょうね。国連やWHOが後押ししてくれるといいのですが。途上国にはUNESCOが支援してもらえ、ありがたいです。」
いかし、事件は起こった。GGSの普及は順調にはなかなか行かなかった。
薫の望みは非常に高いものです。今後どのように普及率を上げていくのでしょうか?




