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GREAT GREEN ANOTHER  作者: 矢寿紀張


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第七章 快刀乱麻

藤田は偽情報拡散の核心に近づきます。黒幕は誰だ。どのように退治するのか。

 何日か、BBSで会話をしていると、一人がなぜゆうぐれなあす財団を攻撃するのか聞いてきた。

 藤田は、製薬会社にいるが、あのGGSがあると私の会社の薬に大打撃だからだと適当に答えた。

 すると、一人が「うちの社長もあの財団に恥をかかされて怒っているんです。」と書いてきたが、すぐに消してしまった。見なかったことにして、「そっちは?」と聞くと、「私も薬品会社で同じようなものです。」と回答してきた。

「どんな薬を作っていますか?」と聞くと「アルツハイマー治療薬で有名」と書いてきてまた消された。

「アルツハイマー治療薬なら、共生バイオ製薬しかないな。」

 そのあと、動揺して場所を移動したのかIPアドレスが変わった。WIFIが切れて携帯電話キャリアーのIPアドレスになった。

「ようやく釣りあがった。」

 翌日、広沢に確認すると、BBSの内部保存データから携帯端末のMACアドレス、IMEI、ICCIDまで判明した。さらに内調のデータベースでICCIDから電話番号まで判明した。個人の端末だった。

 これで追い詰められる。

 次に、薫に確認するために電話をした。

「共生バイオ製薬に心当たりはあるかな?」

「聞いたことある。なんでも私が入る前に、特許の権利で脅しをかけてきたらしいけど、理事長が特許を無償公開しちゃったから、しっぽを巻いて逃げちゃったらしいよ。」

「そうか、つながったな。」

「何がつながったの?」

「いや、こっちの話だ。」

 藤田は次のステップに進むことにした。BBSで交流のある3人に正体をばらした。自分が厚生労働省の人間であるということ、あなたが共生バイオ製薬の関係者であり、犯罪行為に加担しているということ、すでに電話番号を含めた個人情報は取得しているということを告げ、依頼元について話してくれたら不問にするとした。

 二人はアカウントを消して消えた。しばらく沈黙が続いた後に一人が回答してきた。

「社長の指示で誹謗中傷をでっちあげて流すように言われた。」

 指示を受けたメール原文も送ってきた。

 これで、封じ込むことができる。だが、封じ込むだけでは、すでに流れてしまったネガティブ情報を撤回できない。この事実を公にして、共生バイオ製薬の社長の口から嘘だと言わせないと撤回できない。

 そう考えて、受け取ったメール原文の写しを新聞社、放送局に匿名で送付した。これが記事になればそこから切り崩せる。

 数日後の新聞にこの件が掲載された。扱いはあまり大きくなかったがこれで十分だった。

 藤田はこの記事を持って、上司に内容確認の上、事実なら行政指導が必要だと説得して、部下を連れて共生バイオ製薬に乗り込んだ。

 社長に面会を求めたが、不在だということで総務部長が応対した。当然、そんなメールは捏造だと主張した。

 システム部門に来てもらい、社長のメールボックスを見せてもらったが、当然存在しない。報道を見て消去したに違いない。

 藤田は、システムの運用規定の閲覧を要求した。そこにはメールサーバーのバックアップの規則が記載してあった。

「この規定に従うと、このメールの日付である5月30日が含まれるのは6月2日のバックアップになりますね。復元願います。」

 総務部長の顔が青ざめた。

 奥から社長が飛んできた。見逃してほしいと懇願している。

 ―――見苦しい。

「行政指導は追って連絡します。少なくとも直ちに偽情報を抹消し、謝罪会見と全世界に謝罪広告を出してください。」

「・・・・・・」

「偽計業務妨害での告発もできるのですよ。」

「わかりました。」

 共生バイオ製薬からの帰り道に部下が聞いてきた。

「藤田さん。バックアップにメールが残っている確信はあったのですか?」

「そんなのあるわけないだろ。」

「えーっ。」

 藤田は空を見上げて、

「運も見放さなかったか・・・」

 と自分自身にも言い聞かせた。

 その日の夕方、薫に藤田からテレビを見ろと連絡があった。共生バイオ製薬の山本社長が記者会見するところだった。末永やミユキも呼んできた。

 記者会見の内容を聞いて、

「あの社長、まだ根に持っていたのかしら。」

 と末永が言った。

「でも、どうしてばれたのでしょうね。」

 ミユキが不思議がった。

 末永は笑いをこらえていた。

 ―――誰かさんから電話がでしょうに・・・・

 あれほどたくさんあった、誹謗中傷の書き込みは瞬く間に消された。厚生労働省から「再掲載を含め、共生バイオ製薬の発信した偽情報の掲載は偽計業務妨害罪の可能性がある」という案内が効いたようだ。

 事件が解決して、ミユキは思い出したように言った。

「そうそう、来月の理事会で山田さんが理事を退任するので、補充の理事としてあなたを推薦しておきましたよ。あわせて、財団の事務局長になってください。末永さんは私の専属にします。」

「え、私なんかでいいのですか?」

「あなたは十分に成果を出しています。今も滞りなくGGSが供給できているのもあなたが仕切っていてくれているからですよ。」


藤田の活躍で、財団のピンチは救われました。

薫は何があったかわからないようですが、仕事は順調にこなして出世しました。

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