第六章 藤田覚醒
藤田は薫のために、一肌脱ぎます。どんな手を使うのでしょうか?
翌日、目を覚ました薫はなぜ、家にいるのかわからなかった。
テーブルの上にメモがあった。「鍵はポストに入れてある」見慣れた藤田の字だった。
「そういえば、昨日一緒に飲んで・・・どうしたっけ?藤田さんに送らせちゃったかな・・・」
とりあえず、シャワーを浴びて財団に出勤した。
藤田は仕事を休んでパソコンの前にいた。SNSも匿名掲示板もかなりの数の誹謗中傷である。
「少し分析するか」
そう言って、画面をいろいろ見比べていくと、同じ内容の転載が目立つ。日付を順番にたどると発信元は限られてくる。SNSで10名ほどだ。アカウントは最近できたものばかりだった。文調から判断して、匿名掲示板の書き込みとの照合もできた。
「こいつらを抑えれば、止まるか。というものの、お願いして聞いてくれるような奴ではないだろう。」
「よし、こいつらをフォローして、同志のふりをして近づいてみるか。DMで何か適当な偽情報を送ってやれば食いつくかな。」
しかし、その日は何も反応はなかった。
翌日、藤田は仕事を少し抜けてすぐそばの公安調査庁を訪ねた。内部部局調査部にいる大学同期の広沢と面会した。
「ある財団が誹謗中傷で困っているんだが、発信元を探る方法はないか?」
藤田は単刀直入に聞いた。
「一般論だと裁判所を通さないとな。」
「それは分かっている。おたくなら何かあるかなと思ってきたんだが。」
「首謀者とコンタクトは取れるのか?」
広沢が乗ってきた。
「絞り込んで、DMを送ってあるがまだ回答はない。」
藤田はスマホを確認して言った。
「コンタクトが取れたら、このBBS(電子掲示板)に誘導できるか?」
「それは何だ?」
「公安調査庁が運営しているBBSだ。外からは公安調査庁だとはわからないようになっている。BBSに入ればIPアドレスはすぐに分かる。これなら可能だ。」
「使わせてくれるか?」
「ばれたら俺もやばいことになる。1週間限りだな。それ以上は隠せない。そのかわり今度奢れよ。」
「もちろん」
その夜、藤田のアカウントには5通のDMが来ていた。早速返信を入れた。
「返信ありがとう。地球人類のために財団をつぶすまで戦いましょう。私はまだ公開できるものを持っています。しかしSNSでは危ないので私が知っている安全なBBSを使いたいです。こちらに登録してください。」
と、心にもないことを書いて、広沢に教えられたアドレスを送った。
しばらくして、BBSに3人が入ってきた。
「釣れた。」
藤田はそう呟いた。
BBSに引き続き偽情報を入れるとともに、「私も立場上、あまり公の場では出せないので、ここでやり取りしましょう。私の出した資料はどんどん使ってください。」と書き込んだ。
しばらく、たわいもない会話を繰り返して、親交を深めた。
IPアドレスを確認したが、3人とも同じ無料WIFIだった。
「この3人はつるんでいる可能性はあるな。」
藤田は非合法な手段に手を染めました。しかしそれは薫のため。
藤田の策略は成功するのでしょうか?




