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GREAT GREEN ANOTHER  作者: 矢寿紀張


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第四十五章 最後の決断

薫は、本来の総理大臣業務に専念します。後輩たちも育ってきています。

 アメリカから帰国した薫は、いくつかの季節を総理大臣の業務を淡々と済まして過ごしていた。

 補正予算で進めた政治資金規正システムは完成して、新年度から適用されることになった。

 いざ、始まってみると意外にも受け入れは良かった。一か月でシステムの登録者は3000万人を超え、少額ながら個人から多くの献金が入力されてきた。献金という今までのダークなイメージを払拭したのと、確定申告での控除に自動連携する仕組みが評価されたようだった。

 やがて、簑島は新しい取り組みを始めた。

 業務委託費を透明化すると言って、人件費、文書費、配送費、手数料、経費と言った細分項目を公開するように考えていた。

 これも反対派は手ごわい。今も野党からの質問に窮しているようだ。

 薫は衆議院本会議場の総理席から答弁に立っている簑島を見ていた。

「簑島大臣、これはいわゆる中抜きを認めないと言っているのですか?受注企業がすべて実施しなければならないのですか?成り立ちませんよ。」

「いえ、決してそういう事ではございません。二次、三次への再発注も問題ないです。」

「それでは、明細は出せないですよね。」

「そこを出していただきたいということです。」

「では一次企業の取り分が明確になってしまいます。」

「まあ、そういう事になります・・・」

「総理、総理の見解を聞きたい」

「三村薫、内閣総理大臣。」

 議長の声が聞こえた。私が答えるの?と思いながら席を立った。

「一次企業の取り分は必要な分だけ出していただければかまいません。ただし、その金額の評価者は政府や私ではありません。国民です。」

 野党議員は留飲を下げたようだった。簑島はほっとした顔をしている。

「だいぶ、成長したけど、まだまだかな。」

 草間はまだ先であるにもかかわらず、任期満了の総裁選挙の準備で駆け回っている。そんな姿を薫は冷ややかな目で見ていた。

 薫は毎月財団から報告されるGGSの地域別普及率を見ていた。

 GGSはアメリカやECで政府が後押しを始めたため、急速に普及してきた。アメリカでの作物転換や無毛牛の育成、GGS工場の建設と新規事業も軌道に乗り始めてきた。

 その日も薫は財団からの報告を開いた。世界人口に対するGGS適用者の比率はとうとう80.9%になっていた。薫の悲願だった80%の普及率を達成した。

 薫はそれを見ると、その場に崩れ落ちた。

「ミユキ先生、とうとう達成できました。」

 涙が止まらなかった。

 翌日、薫は秘書たち『チームMIMURA』のスタッフ、『民国党・みどりの会』メンバーを公邸に集めた。

 集まったメンバーの異様さに、何があるのかと誰もが緊張していた。

 薫がにこやかに現れた。

「皆さんわざわざ集まっていただきありがとうございました。」

「総理、いったい何が?」

 官房長官の迫田が草間より先に聞いた。

「昨晩考えましたが、この国会が閉会したら、総理大臣も議員も辞職することに決めました。」

 薫の電撃報告に全員が沈黙した。

『チームMIMURA』の方々の再就職先は責任をもって見つけますから心配しないでください。迫田官房長官、党本部に報告するまでは内密にね。」

 全員固まったままだった。午後には党本部で役員会がある。そこで報告するつもりであった。

「ふざけるな!俺は認めないぞ。」

 草間が初めて激高した。

「目的は達成しました。」

 と薫は満足そうな顔で言った。

「あとはみどりの会でうまくやってください。」


目標の80%の達成、悲願の達成です。これ以上総理大臣を続ける必要はないとの決断です。

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