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GREAT GREEN ANOTHER  作者: 矢寿紀張


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第四章 藤田の策略

本命の人体用GGSの承認が始まります。家畜用とは異なる試練が待ち受けそうです。

 これからは本命の、人体用医薬品としての治験と承認になる。しかし、通常の治験では承認までに数年かかってしまう。それでは提供が遅れてしまう。

 人体用は厚生労働省の担当分野である。医薬局では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に特例承認、緊急承認とは別に戦略承認という項目を追加することを進められていた。我が国の開発した薬品が、世界市場をいち早く独占するために、治験期間を短縮する制度である。現時点では対象になる薬品がないことから、国会でも深く追及されることなく、他の改訂項目とともに法案は通過していた。

 薫もこの動きを察知していた。法改正が官報に載ったのを見て、

「法律が変わった。これは使えますね。」

 人道目的なら反対は少ない。政令でGGSを対象に加えるだけでよい。あとは大臣判断になる。

 いよいよ、厚生労働大臣に面会して、GGSの承認に向けて依頼をすることになった。

 厚生労働大臣は、最初は難色を示していたものの、人道支援であること、財団が利益追求をしないことから少し考えを改め、政令の戦略承認対象に記載することを認めてくれた。

 治験はまだこれからだが、迅速に承認される道がつながり、ミユキはほっとしていた。

 末永は、ここまで用意周到に準備されていたことに引っ掛かりがあった。

「うまくいきすぎる。なぜ?」

 末永は法案成立までの国会委員会の議事録を読んだ。法案に関する質問に答弁しているのは、藤田という人物だった。

「藤田って、大臣に同席していた医薬局の役人だな。偶然とは思えないが・・・」

 いそいで、もらった名刺の電話番号に連絡を取ろうと、スマホは取り出したがやめた。

「三村かな?今はまだ、ちょっと泳がして様子を見るか。」

 半年が過ぎると、家畜用医薬承認が次々とおりてきた。世界各地の委託工場のラインも稼働を開始し、豚を対象にしたGGSの提供が始まった。少ないエサで高栄養の肉が入手できるようになるため、途上国を中心に瞬く間に広がっていった。家畜用は大成功だった。

 並行して人間用の治験を進め始めたが、治験の応募が芳しくなかった。取りまとめをしていた薫は焦った。理由がわからない。治療用の薬品でないため応募は誰でもよかった。安全性は担保できている。

 薫が悩んでいる時、ふと見たSNSに「遺伝子操作豚を食べると脳が操られるようになる」という文字とともに、GGSの薬瓶の写真がついていた。

「なに、これ。」

 薫は驚いて、末永のところに見せに行った。

 末永も驚いて、いろいろ検索するとよく似たものがいっぱい出てきた。

「光合成豚を食べると、体から芽が出てくる」

「毒のある豚を育てて人工削減計画」

 英語版も、アラビア語版も各種言語でたくさんあった。

 動画投稿サイトには解説動画が出てきていた。匿名掲示板は目を覆わんばかりのありさまだった。

 どちらも治験募集開始のころから出始めているようだった。


藤田のアシストで順調に見えた治験に暗雲が立ち込めてきました。薫はどう対処するのでしょうか?

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