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GREAT GREEN ANOTHER  作者: 矢寿紀張


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第三十六章 総理の仕事

総理大臣になると厚生労働大臣とは比べ物にならないほど忙しくなります。

薫はまだできていなかった思いを実現しようとします。

 就任して翌日からは目も回るような忙しさだった。国会での所信表明に始まり、マスコミの取材対応、海外メディアへの対応、各国大使からの訪問対応と分刻みでこなしていた。

 夜になって、官邸秘書官が飛んできた。

「総理、ホワイトハウスからお電話です。ヴィクセン大統領からです。」

「わかりました。」

「ヴィクセンです。総理大臣就任おめでとう。」

「ありがとうございます。大統領直々にお電話をいただき光栄です。」

「三村総理のご活躍は伺っております。今後の日本が楽しみです。」

「まだまだこれからです。」

「ぜひ、アメリカにもご訪問ください。歓迎いたします。」

「ありがとうございます。大統領、少し私からもよろしいですか?」

「何でしょうか?」

 秘書官に向かって小声で、

「ここからはオフレコで。」

「大統領、私は政治家になる前はゆうぐれなあす財団の理事長をしていました。」

「ああ、GGSグレート・グリーン・システムという人が光合成をするシステムの推進財団のことだろう。」

「はい、よくご存じで光栄です。しかし、アメリカやヨーロッパでは一般に普及しないので苦慮しております。」

「たしか、農業団体や、食品業界が反発していたと記憶しているが。」

「そのとおりでございます。訪米時にはその件もお話しできればとおもいます。」

「何か良い案、我々にとってね。それを用意してもらえればいつでも話は聞きますよ。」

「ありがとうございます。」

「グッドラック!」

 初めての海外首脳との直接対話にどっと汗が出た。

 しかし、総理大臣なり宿願だったGGSの普及80%を阻む欧米に対し、直接交渉ができる。

 薫はようやく国家という武器を手にした実感がわいた。

 しかし、訪米よりも国内が優先だった。民意に応えるために公約の実施は急務である。薫は官邸に迫田官房長官、和田厚生労働大臣、簑島総務大臣、斎藤少子化特命大臣を呼んだ。

「このメンバーで大臣として話すなんて、夢心地ですね。」

「私なんかまだ全然自信がなくて、ドキドキしたままよ。」

 そこに薫が入ってきた。

「さあ、おしゃべりはここまで、仕事の話をしますよ。」

 薫はニコニコしながら言った。

「一つ目はプッシュアップ支援の拡大です。厚生労働省はさらに省内で拡大してください。子ども庁もそれに追随してください。この二省庁で個人に対する支援はかなり賄えます。」

 二人はうなずいた。

「議事録公開の拡大は率先してやってください。だんだんほかの省庁もついていくでしょう。」

「総理はご自身ではどう動かれます。」

 迫田が聞いてきた。

「私は、今言ったことを各省庁にやらせるためには、自らが襟を正す必要があると思っています。

 まず、政府としてやることは閣議の議事録公開ですね。国会としてやることは政治資金の透明化でしょう。」

「閣議の議事録だけでは少し情報不足ではないですか?事前の次官級協議でほとんどが決められています。そこの公開はどうします?」

「そうね、そこまでやらないと真意は伝わらないでしょうね。」

「次官級会議は抵抗が出ませんかね。」

「難しいのは反対派対策ですね。しかし、相手は党内だし、情報公開制度で請求があれば公開されるから、情報のプッシュアップと思えば今と変わらないでしょう。それに党内だからまだやりやすいですよ。」

「といいますと?」

「問題は次の政治資金ね。これを透明化すると野党からも反対が多いでしょう。」

「野党は、政治資金の健全化を再三言ってきているから、反対はしないでしょう。」

「私はその上を考えているから、たぶん反対される。」

「どんなお考えで?」

 迫田が身を乗り出してきた。

「政治資金収支報告書を廃止します。議員共通で使えるオープンなデジタル帳簿にリアルタイムに入力してもらうようにする。そしてそれは国民の誰でも見えるようにする。」

「なるほど。使途の透明化ですか。」

「それだけではないわ。寄付はそのシステム内のアプリでのみ受け付けます。

 アプリはマイナカードか企業カードで紐づけます。

 その代わり、寄付上限は撤廃してあげますよ。」

「というと、社共党のように市民の寄付で成り立っている政党も、1円単位で分かってしまうということですね。架空の寄付もできないようになっているのか。これは猛反対でしょう。」

「かなり踏み込んでいますね。ぞくぞくしてきます。」

「これが実現したら、寄付金は減るのでしょうか?」

「どうでしょうね、堂々と出せるお金だったら寄付をするのかもしれないし・・・現状が闇の中だから、予想は難しいですね。」

「これを、簑島大臣にお願いします。総務省で実現可能なレベルまで設計してほしいです。閣議や、国会での討議は厳しいものになりますが、私も頑張ります。皆さんの協力もお願いします。」

「我々も精いっぱいサポートしていきます。」

 こうして薫たちの作戦会議は終わった。明日からこれらが動き出す。


みどりの会として始動しました。

政治資金の透明化と閣議の透明化とどんどん政策を実現しようとしています。

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