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GREAT GREEN ANOTHER  作者: 矢寿紀張


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第三十二章 再び選挙戦

薫を支援する世論はまだ味方をしてくれます。

「三村大臣衝撃の鞍替え出馬」

「三村大臣衆議院比例東京ブロック単独で臨む」

「三村大臣東京ブロック8位の‘謎’」

 ネットニュースの見出しが薫の突然の鞍替えを、狂気のように報じた。

 ネットもすぐに反応した。ニュースを引用しての発信が多かった。

「今度は参議院ではないんだ」

「民国党も8位とは何を考えているんだ」

「民国党は三村大臣を当選させる気がない」

「東京ブロックに住んでいないから、今回は投票できないよ」

「東京ブロックの皆さん、私の代わりに三村大臣を当選させてください」

「三村大臣を当選させよう」

 SNSには『#三村薫を当選させよう』というハッシュタグが増えていった。

 戸惑いとから応援に変化していく。薫の行動に民意が振り回されているようだった。

 薫は党の要請に従い東京ブロック内を遊説し始めた。

 厚生労働省で実施した議事録公開やプッシュアップ支援事業モデルケースの実績を上げながら、さらに透明性の向上や、プッシュアップ支援の拡大を説いて回った。

 薫の人気は絶大だった。聴衆は多く集まり、握手を求める人の列が長く伸びた。

 一方で薫は会派のメンバーの選挙区に応援にも回った。そこでも薫の人気は高く、各候補に対する評価も上がっていった。

 この人気ぶりと、SNSの反応を見た幹事長と選対本部長は、細田首相を遊説に使えない代わりに薫を地方にも回すことに決めた。

 薫は地方でも歓迎された。ただ、地方では薫に投票することはできないので、

「東京ブロックの有権者の方にお願いします。」

「東京の息子には話をしておきましたよ、」

 という声がどんどん増えていくだけだった。ネットでの薫の支持は前回の参議院選挙よりも強力だった。野党ばかりか民国党の他の議員の存在も消されてしまったかのようだった。

 幹事長は、薫の使い方を誤ったと悟った。ますます薫の人気ばかりが上がり、地方候補者の票には結びついていかなかった。

 こうして長いようで短い選挙戦を終え、投票日を迎えた。

 薫は東京ブロックでトップ当選だった。SNSで盛り上がったためか、平均59.5%の投票率が東京ブロックに限り82.3%になった。その多くが民国党を選んだ。名簿全員が当選する異常事態だった。

 しかし、全国で見ると衆参ともに民国党は惨敗だった。かろうじて過半数は確保したが、スキャンダルのあった細田陣営、造反した宮島陣営は大きく議席を減らした。

 薫の主宰する『民国党・みどりの会』のメンバーは見事当選を果たした。

 選挙結果から、首班指名を突破できないと悟った細田総裁は辞任会見を開いた。最後までスキャンダルは闇の中だった。

「我々のやり方は終わったのかもしれないな。」

 幹事長と選対本部長は冷ややかに自己分析をしていた。

 薫は、秘書を全員集めて伝えた。

「皆さんのおかげで無事に衆議院議員として出発することができました。本当にありがとうございます。」

 改めて全員から拍手が沸いた。

「皆さんには驚かせることばかりで申し訳ないですが、総裁選に出ることを決めました。引き続きご協力をお願いいたします。」

「総裁選ですか・・・」

 さすがの草間も言葉を失った。

 ―――確かに民意を考えれば悪くない考えだが、党内勢力を考えると弱い。勝算はないがどうして強気に出られるのだろう。また指示があったのか?いったい誰だろうか?

「わかりました。全員で協力いたします。」

 草間は代表して答えた。

 ―――いずれしっぽをつかんで見せる。

 薫は、草間に指示して、その夜に緊急に会派のメンバーを集めた。赤坂の料亭の一室にメンバー全員が集まった。

 みんな口々に応援演説と当選のお礼を薫に伝えた。

 メンバーがそろったところで、薫があいさつをした。

「改めて当選おめでとうございます。お忙しい中、今日皆さんに集まっていただきましたのは、私から重大な報告があるからです。」

 皆の手がぴたりと止まった。

「今日細田総裁が辞任しました。私は総裁選に出ます。つきましては皆さんに推薦人に立っていただくようお願いしたいです。」

 誰も声を出さなかった。

「総裁選決起集会ですね。」

 和田が口火を切った。

「もちろん協力します。」

 皆口々に協力を申し出た。

 しかし、中にはいろいろと事情のある者もいた。

「私は親の代から今の派閥なので、推薦人に名を連ねることは勘弁してください。その代わり投票は絶対に三村さんにします。」

「無理にとは言いません。大丈夫ですよ。」

「そういえば、今回初当選した人から、この会に入りたいという打診が来ていました。メンバーが増えれば心強いですよね。」

「そうですね。私か、草間さんに連絡してもらえるように伝えていただけるかしら。」

 こうして新規メンバーも加わり推薦人は予定の20名を上回り22名となった。

 薫は党の選挙管理事務所に立候補を届け出た。

 それが報じられると、SNSのトレンドは『#三村薫を当選させよう』から『#三村薫を総理大臣にしよう』に変わった。


藤田の予想通りに、総裁選になりました。

派閥のない薫には勝算はありません。藤田はどう動くのか?

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