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GREAT GREEN ANOTHER  作者: 矢寿紀張


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20/27

第二十章 選挙結果

選挙結果が出ます。衝撃の結果です。

 8時になるとテレビのテロップがいきなり出た。

「与党民国党大躍進!!」

 続いて出たテロップが衝撃的だった。

「三村薫氏個人で1000万票に迫るか!」

 薫は何かわからない予想外の数字に驚き、固まったまま動かない。藤田も自分の部屋で見ていて音が消えて画面だけを目で追っていた。

 ゆうぐれなあす財団でも主だった人たちが集まってテレビを見ていた。大きな拍手が起きた。

「・・・当選したのかな?」

 薫はまだ理解できなかった。

 しばらくして、当選確実の名前がテロップ出あがった。最初に自分の名前が出た。

「当選なんだ。」

 テロップを見ても10秒くらいたってようやく理解できたようだ。選挙事務所のスタッフから声がかかった。みんなもすぐに理解ができていなかったようだった。

 すぐさま、テレビクルーが入ってきた。事務スタッフが少し落ち着くまで待ってほしいと交渉している間に控室にいったん入った。

「先生おめでとうございます。」

 スタッフが話しかけた。

「そうなんですね。ありがとうございます。」

「テレビカメラも来ていますから、会見の準備をしましょう。」

「何を言おうかしら。」

「1000万票なんて、前代未聞なんですよ。今までの最高が150万票なんだから、6倍以上開いています。もっと堂々とした態度で臨めばいいです。」

 薫にはまだ票の重みが実感できていなかった。

「たくさんの票をいただきまして、大変光栄に思っております。今後は日本のために邁進してまいりますので、ご支援をお願いいたします。」

 記者が上ずった声で聞いてきた。

「三村さん1000万票です。今まで見たこともない数字です。今の感想はいかがですか?」

「とても大きな数字だと思っています。私自身が驚いています。すみません、すぐに感想が出てこないです。」

 この内容は、ネットニュースですぐに配信された。SNSはすぐ反応して、世界各地からの大量のお祝いメッセージがあふれた。

 翌日も、取材が殺到していた。緊急特番を組んだから来てほしいとオファーもあった。その合間に幹事長から電話があった。

「三村君、すごいことになったな。君のおかげで我が党も安泰だよ。ありがとう。総裁も喜んでいるよ。」

 かなり興奮した声で一方的にしゃべっていった。

 そのころ藤田は、各マスコミが流した選挙データを使って分析していた。藤田にとっても今回の結果は予想を超えるものだった。

「最終的には991万6541票か。1000万には届かなかったか。さすがの知名度だな。あんな手を使う必要はなかったということか。いや、まだこれからも使える。」

 藤田は自嘲気味に笑った。

「党名票と他の候補を合わせると、投票数の2/3近くになるな。第二党の中民党なんか薫よりも少ないじゃないか。比例独占だな。」

 改選50議席の比例議席のうち民国党が39議席、第二党の中民党が7議席、第三党の自社党が4議席だった。それ以外の党は議席の確保ができなかった。

「無党派層に、投票率が上がった分、それに野党支持者からもかなり流れている。世論の後押しはすごいな。」

「ていうか、全人口に対すると8%くらい、投票率を考慮すると16%か。」

 藤田は電卓をたたきながらつぶやいた。

「本当に一つの党ができてしまうくらいだな。」

 藤田はだんだん結果が恐ろしくなった。

「これなら、党内はある程度動かすことはできそうだが、使い方を誤ると爆弾だな。」

 藤田は頃合いを見計らって、薫に電話をした。

「薫か?当選おめでとう。すごい得票だな。お前はすごい奴だよ。」

「そんなことはないですよ。みんなミユキ先生が作ってくれたことだし・・・」

「素直に喜べよ。」

「うん。」

「議員になったらやることをアドバイスしておく。

 いいか、まず仲間を作れ。誰でもいい。若手でも一年生でも男でも女でも党も関係ない。一緒に話せる仲間を作れ。そして時期を見計らって会派にしろ。お前の得票数なら発言力がある。

 決っして一人で動くな。国会は一人では何もできない。党議に抑え込まれるだけだ。わかったな。」

「わかった。ありがとう。」

「じゃあな。議事堂で会うかもしれないが、他人のふりをしろよ。」

「えっ。そうなの?」

「役人と議員がつるんでいたら何を言われるかわからない。気をつけろ。」

「あと、菅沼幹事長は使えるから困ったら相談しろ。決して悪いようにはしないだろう。」

 そう言って電話を切った。

 薫はあいさつ回りに民国党本部に行き幹部の部屋を回った。どの幹部も笑顔で迎えてくれた。だが目は笑っていないのがわかる。内心はとんでもない奴が現れたと思っているに違いない。まだ正体のわからない魑魅魍魎たちの中で薫は戦っていくことにした。

「私の背中には1000万人の期待が乗っている。敵に回すと怖い。もう後には引けないわね。」

 薫はそう決心して初登院へ向かった。


前人未到の得票を得た薫はこれから議員生活に入ります。

魑魅魍魎たちが薫を待つ国会は、どんな世界なんでしょう。

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