表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GREAT GREEN ANOTHER  作者: 矢寿紀張


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/3

第二章 転職

薫は転職を目指してゆうぐれなあす財団に向かいます。

ここから前作につながる話になります。

 翌日、薫はゆうぐれなあす財団の事務所を訪れた。

 出迎えたのはミユキ自身だった。

「よくいらしてくださいました。まだ設立しただけでこんな会議室しかなくて申し訳ないです。」

「いえ、中園博士から直接うかがえるとは思ってもみなかったです。大変光栄です。」

 ミユキは薫にGGS(Great Green System)のしくみと財団の目的を説明し、労働条件や労働環境も提示した。

「財団と言ってもまだ実体がなくて、今は事務部門を構築しなくては何も進まない状態なんです。のぞみプロジェクトから事務員を借りて何とかやっている状態で、私とあちらにいる末永の二名が専属でいるだけですよ。もしこの財団に来ていただけるなら、非常にありがたいことです。」

「はい、喜んでこちらで働きたいと思います。」

 薫は即答した。

「そんな、今ここで決めなくても、ゆっくり考えてからいらしても構わないですよ。」

 ミユキのほうが戸惑ってしまった。

「もう、決めていたんです。今日は最終確認に来ただけで、財団の設立目的、特に無償提供による飢餓対策は素晴らしいです。その一役を担えるなら私はこの財団で働きたいです。」

 ミユキは立ち上がって、薫の手を取りながら、末永を呼んだ。

「末永さん、こちらに来られますか?新しく働いてくれる方が見えました。」

 その声に反応して末永がやってきた。

「こちらは副理事で、私の秘書の肩書にはなっていますが、今は事務を取りまとめてもらっている末永さんです。

 末永さん。求人で来ていただけた三村さんです。厚生労働省で働いている方です。」

「末永です、厚生労働省の方に来ていただければ百人力です。とてもありがたいです。」

「当面は末永さんの指示に従って動いてもらうことになりますが、いつからこちらに来てもらえますか?」

「そうですね。実はまだ職場には何も話をしていないので、引継ぎやら残務整理をしなくてはならないです。一か月の猶予をいただけますか?」

「はい、それくらいなら、大丈夫でしょう。末永さん、よろしいですよね。」

「もちろんです。逆に一か月で大丈夫なの?」

「なんとかしてきます。」

 薫ははっきりと答えた。

 帰り道に、薫は藤田に電話した。

「今日、決めてきちゃった。一か月後に退職するよ。」

 藤田はその決断の速さに驚いたが、

「じゃあ、送別会を急がなきゃね。」

 と平静を装って答えた。

 一方、ゆうぐれなあす財団では、ミユキと末永が話をしていた。

「良い方が来てくれそうですね。」

「若いですが、実績もありそうだし、期待できますね。」

 末永も同調したが、

「ミユキさん、ちょっと書類を拝見できます?」

 といって、薫の持ってきた応募資料を受け取った。

「ちょっとお借りします。」

 そう言って、末永は書類を持って部屋を出た。

「三村薫、父親は三村伸郎・・・」

 そう言いながら、手帳のページをめくっていった。

「やっぱり、三村史郎の姪か。なぜ、そのことを言わなかったのか。まさか、共生バイオの差し金?」

「まだ、理事長には知らせないほうが良いか。」

 翌日、末永は薫に直接電話をした。

「昨日お目にかかった、ゆうぐれなあすの末永ですが、少し伺いたいことがあります。」

「はい、なんでしょうか?」

「あなたは、三村史郎さんの姪御さんですよね。」

「はい、そうです。」

「昨日の面接時にそのことを言わなかったのはなぜかしら?」

「私は自分の実力で財団に入ることを認めていただきたかったです。」

「あなたの叔父の三村史郎さんが、我々の研究の基礎を作ったことはご存じだったのですか?」

「知りませんでした、記者会見資料の名前を見て先日父に聞いて知りました。」

「唐突ですが、共生バイオという会社はご存じですか?」

「はい、製薬会社の一つだということで名前は知っていますが、直接仕事でかかわったことはないです。共生バイオが何か?」

「いえ、関係がなければ問題ありません。失礼なことを伺いましたことをご容赦ください。またこの件は中園理事長には内密にお願いします。」

「はい、私も叔父の件は話すつもりはございません。」

「では失礼します。来月お待ちしております。」

 そう言って末永は電話を切った。

「共生バイオは関係ないか。心配しすぎたかな。悪い癖だ。でも、三村家の血は争えないということかな。」

 薫は翌日上司に退職の意向を伝えた。当然慰留にかかるが、薫は覆らない。

 引き継ぎ業務をするために後継者を指名してくれた。

 一か月やみくもに働き、やりかけの仕事は目途をつけて、滞りがないように完璧に後継者にすべて引き継ぎを完了した。

 財団への入所を翌日に控えて、薫と藤田は、いつもの焼鳥屋で二人だけの送別会を行っていた。

「藤田さん、これからも助けてくださいね。薬事申請が当面の仕事らしいの。医薬局のエリートは期待できるわ。」

「おいおい、俺はエリートではないよ。まぁ、手続きがわからなければいつでも聞いてくれ。ズルはできないが、通しやすくするためのノウハウはある。」

「頼もしいわ。」

「がんばれよ。俺はいつでも応援している。」

「はーい。」

 薫は少し酔っている。今後の仕事に不安があるのは隠せなかった。

 藤田はそれに気づいていたが、何も言わずに傍らで笑っているだけだった。


薫の前途は明るいのかな?疑いを持つ末永の目は鋭い。

次回以降の薫の活躍に期待してください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ