第十四章 更なる援護射撃
NASAの力をもってしてもFDAはなかなか動かないです。動かす決め手は何か?
しかし、2か月たっても3か月たっても動きはなかった。NASAの要請ではFDAは動かなかった。
若松は、NASAの技術者にGGSの仕組みを教えISSでの実験計画を立てているが、実施時期は未定のままだった。
そんなある日、薫は注文された納入先を見てミユキに報告に行った。
送付先は中国国家航天局だった。中国の宇宙開発拠点だ。
発注がある以上、ゆうぐれなあす財団としては供給しなければならない。
ミユキは、急いでNASAのゴールド長官にメールを送った。
長官からは感謝とともに、「時間がない。すぐに動きます。」と返事が来た。しかし、すぐに回答は来なかった。
メールを送って一週間がたったころ、薫はミユキに聞いた。
「NASAからはまだ回答がないのですか?」
「まだ何とも言ってこない。若松君もわからないと言っているし。アメリカの国内問題だから、こちらは待つしかない。辛いわね。」
一方、ちょうどそのころホワイトハウスの執務室では、NASA長官、FDA長官、大統領の三者が会談していた。
「FDAとしては、GGSは薬品でも、生物製剤でも食品でもない新しいカテゴリーで、扱いには慎重にならざるを得ないです。長期的な安全性は担保できていない。」
「しかし、中国が同じことを考えてすでに動いているという情報が入っている。中国の動きは速い。アルテミス計画で優位に立てないと向こうに主導権を取られます。」
大統領は黙って両者の意見を聞いている。
「国民の健康をないがしろにはできない。」
「しかし、すでに数億の人たちで問題ないという結果もある。コロナで重症化した時の生還率も優位に多いと出ている。この結果を認めないのか?」
二人の激論は平行状態のまま一時間になる。
二人は大統領に決断をせまる。
「これ以上議論をしても、無駄に時間が過ぎるだけです。その間にも中国は開発を進めるでしょう。大統領、決断をお願いします。」
ゴールド長官は大統領に迫った。大統領は目を閉じたままだ。
「私が決めるしかないのか・・・」
大統領はつぶやいた。
「中国に主導権は渡さない。」
少し間をおいて、大統領はゆっくりと言った。
二人は執務室を後にした。
大統領はイスに深く座り、額の汗をぬぐった。
今まで動かなかった岩が、とうとう動いた瞬間だった。
それから三日後に、ゆうぐれなあす財団へFDAから承認の通知が届いた。
NASAからも連絡があり、正式に共同開発の締結をすることになった。
ミユキは共同開発の調印のためにNASAに向かった。ゆうぐれなあす財団からの技術者派遣も
二名追加することになった。本格的に新分野に乗り出した。
最後は大統領の大きな決断でした。
これで障害になるものはなくなったといえるのか?
GGSの普及率が大きく向上していくのだろうか?




