第19話 試練
天使族の首都『Kewpie』、その街の中心にある議事堂に大天使のみが入室を許される部屋がある
部屋には色が無く只ひかり輝くのみ、上も下も右も左も感じる事すら許されない部屋……
部屋の中心には丸いテーブルがひとつと飾り気のない椅子が三脚
其々に腰掛けるのはミカエル・ガブリエル・ラファエルの三大天使だった
「じゃあ大戦は終結って事で良いのかしら? ミカ?」
「そうなるな! 今大戦でも邪悪を根絶する事は叶わなかった……」
「あら良いんじゃないの? 根絶しちゃったらミカのお仕事がなくなっちゃうじゃない!」
「、、、そのミカと言う呼び方は辞めてくれたまえ!」
大天使の三柱は天使族の今後のあり方について議論していた
その中の一つにRACE計画に参加させる代表者の選別もあった
「適当で良いんじゃない?」
「そうもいかん、長の血族かそれに近しい者と定められたのだ!」
「円卓会議の決定とは言え、地上なんかに滞在させるなんて可愛そうだわぁ」
天使族とは元々神の使徒ではあるのだが、彼らは神とは絶対のものとは考えていない
確かに他種族の邪悪に対する姿勢は変わらないが、神の意思だとか言う考えはない
「しかし代表者を送る事は決定事項だからな」
「ならアタシに良い考えがあるよ!」
発案者のラファエルは自らの足の小指を切り落とし人型を作り出した
「この子に自我を与えて代表者にすれば良い!」
ラファエルはホムンクルスの様に作り出した人型に自我を植え付けた
「ある程度の知識は与えた、これならアタシの体の一部なんだから『族長に近しい者』に相違ないだろう?」
「ラファエル、君がそれで良いなら問題ない!」
「いつでも意思疎通もできるし使い勝手も良いからね! フフフフ……」
こうして大天使ラファエルによって作り出された人形は『セイナ』と名付けられ地上へと送られたのだった
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「起立! 礼!」
1限目の開始ベルが鳴り教壇にアッキーがたつ
つい先程まではいつもと変わらない朝の始まりのはずだった……
授業が始まった直後に大半の生徒が机に突っ伏した、気絶したのであろう……
時間がたつにつれ、ひとり又ひとりと生徒達がバタバタと倒れていく……
「ほぉ人族の学校は授業中だと言うのに居眠りする者が居るのか?」
ちげぇよ! 教室の後方より漂う覇気やオーラetc……
あらゆる圧力が常人の意識を絶ってんだろぉが!
そう言う俺様も先程から冷汗が止まらねぇし、RACEの面々も緊張で固まってやがる……
「おいアッキー! どういう事か説明しろ!!」
俺様は堪りかねてアッキーに詰め寄った!
大天使に魔王! 悪魔王にetc! こんな奴らに睨みを効かされたら常人が意識を保っていられる訳ねぇだろぉが!
それに窓から覗くドラゴン! 恐らく竜王だろうが、一般人は見ただけで気絶するわ!!
「おいおい悪魔君、我々は只の保護者だ! 授業の邪魔をしにきた訳では無いぞ!」
「アンタら一人一人がラスボスなんだから、居るだけで迷惑なんですけど!!」
奴らなりにプレッシャーを抑えてはいるのだろうが、それでも漏れ伝わる圧が半端ねぇんだよ!
種族代表の俺達でさえ、気を抜けば今にも意識を持っていかれそうだ!
「まぁ確かにこの状態では授業にならなさそうだ、ではこうしてはどうだろうか?」
大天使ミカエルは一般生徒を他の教師にみてもらって、RACEと族長達は場所を移そうと提案した
アッキーもそれには同意、このまま族長達が校内に居ては大惨事を免れないと判断した!
俺様たちRACE一同と族長達は大天使ミカエルに先導される
王都を守る城壁の内側とはいえ街の外れにそびえ立つ、3層5階建て収容観客数三万人規模の円形建造物
『なんで闘技場なんかにくるんだよ!?』
観戦の為ではない、俺達はミカエルに言われるまま闘技場のグラウンドに降り立った
「既に察しているだろう? 我々は単に授業参観に来たわけではない!」
族長を代表してRACEの面々に対して大天使ミカエルが説明を始めた
穏やかな表情で話してはいるが、その眼は笑っていない……
「学園入学より3ヶ月間、君達を観察させて貰ったが……」
まぁいわゆるダメ出しだ!
確かに俺達は考えも行動もバラバラで、RACE計画の柱の一本である『何事にも動じない堅固なパイプ役の構築』など頭の片隅にも無かったかも知れない……
「よってこれより君達に試練を与える、、、」
闘技場にはミカエルにより厄災クラスの攻撃でもない限り破られない結界が張り巡らされた
その上都合よくこの結界内であれば死や消滅は無いと言う代物だ
「相手は竜王殿のみ、我々を納得させられれば継続してRACE計画に参加してもらう」
但し納得させられなければ、その者は自国へ強制送還とする
「世界に向けて大々的に公表したRACE計画の一員だ、途中で脱落したならば自国だけでは済まない、、、いい笑いものになるだろう……」
RACEメンバーは種族の代表として選ばれ、憧れ尊敬される存在だ
だが一転してメンバーとしての力量不足として外されれば笑い話のネタにされる事は必至だ
まぁ俺様は元から笑い者だったから気にもしないが、他の奴らはそうはいかないだろう
血統もプライドも超絶高いだろうからな……
「私は承服しかねます! 父上はご存知だったのですか!?」
フウガが父である大妖怪・九尾の狐に問い掛ける
「私くしに落ち度などあるはずも無く! この様な仕打ちお辞めください!」
セイナはミカエルに両膝をつきながら懇願する
「これ以上の問答は無用である! さあ始めなさい!」
大天使ミカエルは冷たく言い放った、その眼は笑っていない……
突如はじまった再選別試験!
相手はラスボス・オブ・ラスボスである竜王だ!
はたしてRACEメンバーはこの試練を突破する事が出来るのだろうか!?




