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座敷牢の花嫁  作者: 豆狸
吸血鬼ルート

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26/31

25・吸血鬼

 まるで映画に出てくるバンパイアのような服装だ。

 そう思ったとき、あなたの記憶が少しだけ戻る。

 ような、ではない。目の前の青年はバンパイア――不老不死の吸血鬼なのだ。


 洋装の彼とは違う、純日本風に見える座敷牢での生活をレクチャーされた後で、あなたはひとりになった。

 一郎と名乗った吸血鬼が座敷牢のある部屋を出て行ったのである。

 彼が吸血鬼だと言うことは思い出したものの、ほかの記憶は戻らない。


 今日はなにもされていないが、いつか血を吸われてしまうのだろうか。

 花嫁ということは吸い殺される獲物ではなく、彼と同じ不老不死の吸血鬼にされるということなのかもしれない。

 不老不死は人類にとって永遠の夢だけど、あなたにとってはどうなのだろう。


 座敷牢の中を見回してみる。

 畳敷きの部屋だ。

 最低限の生活雑貨はある。小さな箪笥(タンス)にちゃぶ台、それから座布団と座椅子に畳んだ布団。部屋の隅の衝立(ついたて)の向こうにあるのはお手洗いのようだ。


 奥の壁にある窓を開けてみた。

 この建物は森の中にあるようだ。草木を揺らす風の音がする。

 窓の外にも鉄格子があるので、あなたは森を散策できない。


「あ……シジュウカラ」


 小鳥の声がして、あなたは呟いた。

 人里でも山間でも見られるシジュウカラの生活時間は、夜明けと夕焼けの前後だ。

 これから夜になるのだろう。辺りを照らす光が赤らんで見えた。


 自分は鳥を好きだったのだろうか。

 そんなことを考えてみたが、記憶は戻らない。

 代わりに妙な言葉が浮かんでくる。


 それは――


蝙蝠は頭蓋が脆い!→26へ

右下の奥歯を噛み砕け!→27へ

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