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10・分体
「違う!」
あなたは座敷牢の中で、ひとり叫んだ。
「私は魔物なんかじゃないっ」
「……そんなことを思うようになったから、私のほうが強くなったのよ。まあ、あなたが記憶喪失になったのもあるけれど」
自分の声がして、あなたは振り向いた。
黒い影がいる。
大きい。もうあなたと同じくらいの大きさだ。
さっき気づいた通り窓ガラスに映ったあなたと同じ顔をしていて、今は体もある。
黒い影の陰影が濃くなっている。
煙のような存在が実体を持ち、立体になっていく。
「あ」
あなたの視界が突然低くなった。
見れば、体に無数の糸が巻きついている。
黒い影だったものの姿は、いつの間にか人間ではなくなっていた。
八本の脚を持つ巨大な蜘蛛、だけど顔はあなたのままだ。
蜘蛛が伸ばした糸を引っ張ったから、あなたは倒れてしまったのである。
巻きついた糸の貴女を縛る力が強くなる。
「あああぁぁぁっ!」
「さようなら、私。今日からは私が本体よ」
あなたはやっぱり魔物だったようだ。
だって糸で頭と体を切り離されてしまったのに、まだ意識がある。
自分と同じ顔をした蜘蛛に体を食われるのを眺めた後で、頭も食われてあなたは死んだ。
【下剋上エンド】




