わたくしが聞きたいのはそんな事ではない
「そこをどうかお願いしますっ!!転生してやっとここまで来たんですっ!!」
「はいそうですかって、なる訳ないだろ」
「俺は絶対また蘇って人間共を駆逐してやるっ!何年、何百年、何千年かかっても必ずだっ!!前世と同様にまたしても邪魔が入りこの時代でそれが出来ないのは悔しいのだがただでは死なぬ!!お前も後悔しやがれっ!!」
そしてマオが魔王ベルゼーブブへ止めを刺そうとしたその時、魔王ベルゼーブブから大量の魔力が練られている事をわたくしが察知した瞬間に黒い光が辺りを覆いつくし、その黒い光が収まり見えてきた景色に魔王ベルゼーブブの姿は無かった。
「まさか俺ではなくご主人様を道ずれにしようとするとは予想外だったがギリギリの所でなんとかご主人様を守る事が出来たみたいだ」
そのマオの胸には大きな風穴が空いていており、マオの身体からは金色の粒子が空へと舞い上がっていく姿が見えた。
それはまるで少しずつマオがこの世界から死後の世界へ旅立って行くようなその様に見えてしまう。
「な、何をやっているのですかマオ。早くその胸の傷を治して下さいまし。冗談にしては笑えませんわよ。なんでしたら今からわたくしがその胸の傷を治してさしあげましょう」
そしてわたくしは、この光景はマオの笑えない冗談だとして傷を治そうと回復魔術をかけるのだが、マオの胸に空いた風穴は一向に消える気配を見せず、むしろ広がっているようにすら見える。
「魔王ベルゼーブブの使った魔術は、闇魔術【道連れ】だ。俺を助けるには消滅してしまった魔王ベルゼーブブを復活させるしかないのだが、輪廻転生の魔術を行使した気配もある為それも難しいだろう。でも安心してくれ。魔王ベルゼーブブの魂に前勇者の呪いとそれを保護する封印術式に加えて俺の呪いとそれを保護する封印術式をかけてやった。例え今一度輪廻転生したとしても前世、そして前々世の記憶は思い出せない様に、転生するのは魔族ではなくゾウリムシとなる呪いもかけたので来世では輪廻転生すら使うことなく、それに何も疑問すら覚えずゾウリムシの生涯を終える事だろう」
違う。
そうじゃない。
わたくしが聞きたいのはそんな事ではない。
どうすればマオを助けられるのか、それだけである。
そして助ける事が出来ないと言うのは何も行動に移さないマオを見れば伝わってくる。
「初めから、こうなる事は分かっていたのではなくて?」
「………まぁな。そんな顔するなよ。そもそも俺がここに居ること自体がイレギュラーな存在であるのならば、防ぐことのできない【道連れ】の餌食になるのはご主人様であるシャルロットではなくこの俺が適任だろう?」




