蜘蛛の子を散らす様に逃げていく
「集中力が切れてきたのではないかね?自称魔王と名乗る男性へのガードが余りにもお粗末と言わざるを得ないでは────」
「黙れ雑魚」
「ぶぺっ!?」
そしてわたくしの予想通りマオは魔王ベルゼーブブの放つ魔術を簡単にあしらうと、そのまま吸い込まれる様に魔王ベルゼーブブの鳩尾めがけて蹴り技を放つ。
その蹴り技はただの蹴り技ではなく、風魔術である【鎌鼬】を付与しており、その蹴り技をもろに喰らった魔王ベルゼーブブは錐揉み状に吹き飛ばされながら身体のあちこちが切り刻まれており【ドチャッ】という明らかに打ち所が悪いであろう音を奏でながら地面へめり込んでいた。
その、あまりにも魔王という者からかけ離れた、まるで一雑魚キャラが横たわっているかのような光景に周りにたまたまいた四名の魔族達が『魔王様によってやられた雑魚』という様な発をしながら横っ腹を足で蹴るようにひっくり返して反転させ顔を覗き、その顔が自分たちの魔王ベルゼーブブと分かった瞬間顔を青ざめながら蜘蛛の子を散らす様に逃げていく光景が眼下で見える。
そしてマオは自身の背中に生えた翼で魔王ベルゼーブブの下へと降りていくので私も魔術【浮遊】を使ってマオに続くように降り立つ。
「ぐ、ぐぐぐぬぬぬぬっ!!」
「今部下に雑魚扱いされていた様だが、今どんな気持ちか教えてくれないか?」
「ぐっ!?こ、ここここっ」
「どうした?頭でもイカレて鶏にでもなってしまったか?」
「殺すっ!絶対殺すっ!お前だけは何が何でも絶対に殺してやるっ!!」
そして痛みに耐えながら必死に起き上がろうとする魔王ベルゼーブブに対して精神的に煽るマオと、煽られて怒り心頭といった感じの魔王ベルゼーブブが見えて来る。
もうどちらが強者か一目で分かる様な光景であろる。
「そぉんな目で俺を見てんじゃねぇぇぇええっ!!!!」
そしてまるで羽虫を見る様な目線でマオは魔王ベルゼーブブを見下しており、それが魔王ベルゼーブブのプライドを更に傷をつける。
最早怒りで理性を失ったのか、その怒りに任せて闇雲に闇魔術で攻撃魔術をマオ目掛けて放つのだが、それら全ては水魔術によるカウンタースペル、所謂相手の放った魔術を無効化にしてしまう対抗魔術により全て無効化してしまうではないか。
「す、凄い………」
全てカウンタースペルで無効化してしまうという人間離れしたマオの技術力の高さと無駄のない動作の美しさにわたくしは思わず感嘆の声を漏らしてしまう。




