飛んで火にいる夏の魔王
しかしながらこの魔族、自称魔王というだけあって今までの様に簡単に倒されてくれ無い。
出した攻撃は魔術であろうと打撃であろうと全て交わされ、苛々が募って来る。
まるで経験の差を見せつけられている様でマオと相対する様な感覚すら覚えてしまう。
逆にわたくしはというと相手の攻撃を避けはするものの何回かに一回絶対避けれない角度で攻撃魔術を行使され当たってしまう時がある。
それが更にわたくしの苛立ちを加速させて行く。
しかしながらわたくしも自分で思っていた以上にレベルが上がっていたらしく相手の攻撃は当たるものの全くダメージを受けず、自然とベルゼーブブとの闘いは長引いて行く。
勿論、万が一それなりのダメージを食らったとしても(と言っても切り傷が出来て少し血が流れる程度なのが自分で自分のレベルの上がり具合が恐ろしい)マオが事前に付与してくれた定期的に受けたダメージを回復する付与魔術により傷痕も無く綺麗に回復してしまうのだが。
そしてそんなわたくし達の闘いは数時間経っても尚勝敗は付かず、わたくしはヤキモキしていた。
しかしながらこの闘いはわたくしにとってとても有意義なのも確かで相手に当てられた攻撃パターンをよく見て、どの様にわたくしを誘導しているのか、フェイントの方法は、攻撃のタイミングは、などなど吸収する事が非常に多いのも確かである。
そしてわたくしは当たってもほぼ無傷なのにも関わらず、対してベルゼーブブは一撃必殺の精神で常に一撃で仕留めようと攻撃を繰り出しているわたくしの攻撃故に一度でも当たればタダでは済まないであろう。
数時間も闘っていれば流石にその差は出来くる様でわたくしの攻撃は相手の今までの経験値を吸収していく事によりここ数回惜しい一撃が出始めたのに対してベルゼーブブの攻撃は明らかに雑になって来ている。
それは相手も同じ事を思っていたのであろう。
遂に痺れを切らしたのか見下していた人間、それも女性相手にプライドが砕け散って心が折れたのかは知らないが私の後ろに控えていた真央へと突貫して行くでは無いか。
わたくしの隙を突いた様だが、わたくし自身もう魔王ベルゼーブブから吸収するものはそろそろ無くなって来たと思い始めて来た頃であった為、会えて分かりやすい隙を作ってマオへと誘導させただけである。
むしろ飛んで火にいる夏の魔王とはこの事であろう………今は夏では無いけれども。
因みに王城は既に私達の闘いにより半分崩壊しており室内で闘い始めたにも関わらず気が付けば屋外である。




