老いぼれの長い話程無駄話
「はぁ、興ざめだ」
「本当に、興ざめですわね。珍しくあなたの言葉に同意ですわ」
そして、皇帝陛下が説明を終えた後、マオの攻撃を喰らったにもかかわらず何事も無かったかのように起き上がってくる二人であるのだが、興ざめと口にしてはいつもののどこか清々しい表情をしていた。
「彼らはあの瞬間夢破れたのじゃよ」
「………夢?」
しかしながらこうも見事にやられてはプライドが高そうな二人が、口でこそ興ざめしたとは言うものの何故清々しい表情をしているのか分からないでいると白い髭を蓄えた老人が話しかけてくる。
確かこのお方は────
「思い出しましたわっ!!皇帝宮廷魔術師ローレン・ハイツさんですわっ!そうですわっ!」
喉に刺さった魚の小骨が撮れたよな爽快感がわたくしを包み込み、そんなわたくしを件の皇帝宮廷魔術師ローレン・ハイツさんが話しかけてくるではないか。
「おお、まだ一度しかお会いしていないのにも関わらず覚えていてくださっているとは、光栄ですな。して、先程の続きなのじゃが、あの全身筋肉のバカであるアレンと、風邪をひきたい盛りのアホであるミランダの二人なんだがの、ああ見えてアレンは勇者を、ミランダは聖女に幼いころから憧れておったんじゃが、こうも見事にその夢をお主達が粉々に、それも砂レベルにまで砕いてしまっては悔しさを通り越して清々しさすら感じてしまうのじゃろうて。自分達から、しかも奇襲に近い形で襲ったにもかかわらずたった一人の魔王という者にものの数秒で無力化されてしまっては言い訳すら出てこまい。そんな所に聖女であるお主の魔術裁きと低段位のみであの人数を怪我すら負わせることなくあの場を制圧すると来たもんじゃ。魔王という存在と聖女という存在、そして自分たちの実力が分からない二人では無い為思い知らされたという訳じゃな────なぜならあの二人は孤児院で儂が拾ってきた逸材での────今思えばあの時の二人の行動は────そういう所から見ても────」
「え?え?」
そして今だ熱くアレンさんとミランダさんについて熱く語っている皇帝宮廷魔術師ローレン・ハイツさんを皆が一斉に無視し始め、王都へ行く準備を各々し始めるではないか。
「放っておけ。このバカ爺はこの話を一度始めると日が沈み、さらに上って来るまで話しかねないからな」
「そうですよ。あの老いぼれの長い話程無駄話は無いのですから無視するのが一番でしてよ。ほら聖女様、あなたも今の内に準備をしなさいな」




