他種属の方が信頼できる
そして私達は一向に話すのを辞めないローレンさんのありがたいお言葉(かなり盛っていると思われる昔話)をBGMに準備を進める。
もしかしたら、このローレンさんはこの準備が嫌でサボる為にボケたお爺さんの振りをしているのでは───
「お嬢さん、勘が鋭過ぎるのも早死にすると言う教えを知っておるかの?」
「い、いえ。教えて頂きありがとうございますわ」
「うむ、分かればよろしい。では先程の話の続きなのじゃが───」
───と思ってはみたもののどうやらわたくしの思い過ごしであった様である。
「で、出発はいつになるんだ?」
「まぁ、ここに用意した積み荷をそこのコンテナに積むという作業を今日一日費やして貰い、翌日には出発してもらおうと思っておる」
「おいおい、偉い急な話だなコレまたって………どうした?聖女のお姉ちゃん」
そしてとある一人を除いて皆慣れた手つきで遠征の準備をし始める。
この手際の良さと何の説明も無しに動けている事から招集からの遠征は珍しいものでもない様だ。
そんな事を思いながらわたくしも見様見真似で邪魔にならない程度にマオと一緒に手伝っているとアレンが皇帝陛下へと質問をして、皇帝陛下はその質問を返す光景が目に入って来るではないか。
そしてその事を少しびっくりするところをアレンに見られていた様でどうしたのだと聞かれてしまう。
「皇帝陛下と話している事が不思議に思うのか?まぁ、流石にビックリするよな。国のトップとこんなに簡単に話せるのも冒険者ランクSだからこそ許される事なんだぞ?」
「いえ、その事では無くて………魔族であるマオと一緒に行動する事に反撃する程抵抗していたのにまるであの一件が無かったかの様に振る舞うどころかマオと一緒に行動する事が前提の様な話し振りでしたもので………」
「あー、なるほど」
「外してやんの。だっさい男ねホント」
「おいババァ、聞こえてるからな。それで、まぁそうだな。人間だから安全、多種属だから危険という考えを持っている奴から冒険者という者は死んで行く職業だからだ。なんなら他種属の方が信頼できるし安全であると言えるな」
「そ、そうなんですの?」
「そうだな……例えば聖女のお姉ちゃんが後ろでガミガミと煩いおばさんを騙そうと思っているとする。ならば獣人属と人間、どちらの姿にでも成れるのならばどの姿で騙しに行く?」
「………なるほど、人間の姿の方が騙しやすいと、そういう事なんですのね」
「勿論例外もあるがな」




