魔族国家として魔物達が蔓延る国となった
そして部屋の中を近衛兵の身体が倒れる音と、次いで頭が落ちて転がる音が聞こえてくる。
「そもそも私がワイバーンを召喚できる時点でカイザル殿下も国王陛下も戦力的にはこの私より圧倒的に下回っているにも関わらず何でそんなに強気でいられるのか私はちっともわからないんですけれども。だって権力で強者を物理的に縛る事等不可能じゃないですか。強者は権力者に対して盾突かないとでも思っていたのだとしたらおめでたい頭で生まれたバカなご自身を事を恨んで下さい。そう考えると未だに復讐をしに来ないシャルロットさんはある意味で素晴らしいお方なのでしょう。ですがそれはそれで愚かでもあると私は思います。だってバカにされたままでは自分の名が汚れていく一方じゃないですか?どう思います」
そして私が問いかけると訪れる静寂。
耳をすませばかすかに二人分の身体が震える音や歯が『カチカチ』と鳴る音が聞こえてくるだけだ。
その間も私の召喚魔術の行使は絶えず行っており、少し邪魔が入ってしまい遅れてしまったのだがようやっと術式を完成させ、私の新たなパートナー、いや、私のご主人様を召喚する。
「ふむ、これは人間の王ではないのか?一度部下の持ってきた資料で見た事があるのだが」
「問題ありません。殺してください」
そして召喚された人物でありご主人様であり魔王は遠回しに『本当に殺してもいいのか?』と問うてくるので問題ないと返す。
このゴミ共が死んだ所で些末な問題であろう。
「ま、待ってくれ────」
そして私が言い終える前に魔王はカイザル殿下の首を刎ねると、そのまま刎ね飛ばしたカイザル殿下にはもう興味が失せたとばかりに見向きもせず、国王陛下へとその真っ黒い目、よくよく見れば虫の様な複眼型の目で、目線を向ける。
「申し遅れてしまったな、人間国の王よ。我は東にある魔族の国を統治している魔王、ベルゼーブブである。そしてお主に我からお願いがあってな」
「な、なななななっ、何でしょうかっ!?」
「この国を頂こう」
そう一言いい終わる前に国王陛下の首が転がっていた。
そしてこの日よりドミナリア王国は魔族国家として魔物達が蔓延る国となった瞬間であった。
◆
その知らせが届いたのはドミナリア王国が魔族の王と名乗るベルゼーブブが現れてから三日後の事であった。
知らせに来た馬は帝都の城に着くや否や倒れてしまい、最早使い物にならないであろう。
そしてそれは騎乗しているものも同じらしく息も絶え絶えその身体は至る所に切り傷や刺し傷が見受けられ、情報と手紙を渡すという使命を全うしたのを確認した後直ぐに息を引き取った。




