情けは無用であろう
もし以前の国王陛下であれば私は豪華絢爛なディナーに呼ばれて何時間もの間国王陛下との長話に付き合わされた上にワイバーンを見せろとせがみ、早く息子と結婚をしろとうるさかったであろう事が容易に想像できるし、実際以前訪れた時はその様な対応をしてくれた事を思い出すと共に今回の件でこの親子は何も反省していないし学んでいなかった事が手に取るようにわかると言うものである。
もし反省ないし学んでいたのだとすればまた同じ様にせっかく手にした魚より目の前で泳いでいる魚の方が良いというような態度を私にしないはずである。
それと同時に私は決心がつくと同時に心の中で『変わらず屑でありがとうと』と思う。
この人たちが屑のお陰で最早罪悪感や躊躇いなど一切無いのだから。
「この俺に話とはなんだ小娘。本来であればお前の様なホラ吹きの詐欺師の様なものをこの王城へ入れる事すら腹立たしいと言うのに。即刻にでも殺してやりたいのだが今お前を殺したり無下にしたりすればただでさえ今回の件で国民からの悪い印象が更に悪くなってしまうからな、腹立たしいかぎりである」
そんな事を思いながらカイザル殿下に案内されて国王陛下が待っている部屋へと案内されるも私が入室するや否や国王陛下はカイザル殿下と違い私への不快感を隠そうともせず侮辱してくるではないか。
これではまだカイザル殿下の方がマシだと思わざるを得ない。
しかしながらこんな奴らだからこそ私は何の躊躇いもなくアイツを召喚できるのだから不満などあろうはずがない。
だから私は殿下と陛下が両方揃っているこの絶好のチャンスを逃すまいと早速召喚する。
そして私が召喚術を行使しようとした瞬間その禍々しい魔力が渦となり部屋を魔力の嵐でめちゃくちゃししていく。
その私へと近衛兵が国王陛下の命令が下る前に私の心臓へと槍で一撃を喰らわすのは見事であるとは思うものの、それとは逆に二人仲良く尻もちをつき悲鳴を上げているカイザル殿下と国王陛下の姿をみて哀れなものだなと思う。
この何とも情けない姿を晒しているのがこの国の王とその息子であると思うと、命をとして守っている近衛兵達が可哀そうに思えてくる。
「残念、今の私は心臓を貫かれたくらいでは死ぬ様な軟な身体はしてません。ごめんなさいね」
そして私は、今私の胸を槍で貫いている近衛へと謝罪をした後その者の首を切り落とす。
近衛はただ単に与えられた仕事をしただけで、そこに自分の意志は無いにしろ私の命を奪いに来たのだから情けは無用であろう。




