第六話 約束のリンゴ
今晩は。
投稿です。
「コガラス!手当を!」
「えっ!?で、でも魔……クロさまの手当が……」
「俺はいい、時間さえあれば再生する!」
「で、でも傷の痛みが、激痛が!」
「早くしろ!出血が酷い!」
「わ、分かりました!じゃ、き、切り替えます!」
金色の光に包まれるマコト。
その目は虚ろで、焦点が合っていない。
先程のハンカチーフで傷口を押さえるコガラス。
深く斬られた乳房は倍速動画のように再生していく。
どうやらこのマコト、凄腕のヒーラーのようである。
「左脚を引きずっていたな?コガラス、脚は治せそうか?」
「呪物での怪我ですね、ある程度は治せますが完治には時間が掛かります」
「……そのままでお願いします」
「なんで?俺の腕、信用していないのか?これでも結構強いヒーラーなんだぜ!」
「脚が治ったら、お義母さま達に疑われます、あなた達に危険が……」
「心配症だなぁ」
「おい、コガラス」
「はい、なんでしょうクロさま?」
「剣の腕を上げろ」
「!」
「ヒーラーとしては先ず先ずだが、助けるときに、女性を傷つけるのは感心しない」
「……はい、磨きます……ごめんな、マコトおねぇちゃん、傷つけちゃったよ」
しょんぼりするコガラス。
「……なぜ助けたのです……死ねると思ったのに……」
そんなぁ、さらに悲しくなるコガラス。
「だ、だめだよぉ、事情は知らないけど、眼の前で剣を刺そうとするなら、普通止めるよ」
しくしくと泣き出すマコト。
大粒の涙が、ボロボロとその瞳から溢れ出す。
「痛かったです……今も痛いです……もう怖くて死ねません……責任とって下さい……殺して下さい……うううっ……」
眼を合わせるコガラスと黒い竜。
(クロさま、どうしましょう?)
困ってしまうコガラス。
明らかにコガラスの手に余る問題だ。
どうしたモノか、黒い竜は考える。
「マコトよ、お前の夢はなんだ?」
「……夢、ですか?それならもう一度だけ、お城の舞踏会で踊りたいです」
「ほう?踊りか?ナゼ踊りたい?」
「……思い出です……後は死を望みます」
「簡単に死を望むな」
「ですが、私は奴隷にされてしまいました、たとえこの身が自由になっても、生きていく術がありません、私は一人です、頼る者もいません」
「親は?」
「死にました」
「身内の者達は?」
「いません」
黒い竜は考える。
「もし、この従属紋が消えたとしても、私は生き存えてく術を知らないのです……」
黒い竜の金色の眼が、ギラリと光る。
「リンゴの礼がしたい」
「え?」
「俺サマの傷が癒えたら、お前の望み、一つだけ叶えてやる」
その黒い竜は断言した。
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第七話 カイシンの一撃! です。
前作は一般受けを、ちょっと狙って作ってみました。
今回は逆を試みています。
毎回ご愛読ありがとうございます。




