第十一話 約束のリンゴ
投稿です。
すみません、物語が終りません。
もう少し、続きそうです。
現在、第十三話出筆中。
「何者だ!止まれっ!」
「なっ!?この魔力!?魔獣か!?」
「魔獣だと!?なんだッこの魔物は!?」
「囲め!魔力に揺らぎがある!手負いだぞ!」
「騎士団相手に一匹だと!?」
「おいおい、あの角、高く売れそうだぜ!いい素材だ!」
「討ち取ってあの角、もぎ取れ!」
黒の魔王はスタスタと正門を通り、正面玄関を堂々と開け広げる。
とんでもなく不機嫌なお顔である。
ワラワラと集まる騎士団、衛兵達。
「と、止まれ!」
その言葉を聞いて立ち止まる魔王。
「止まれだと?止まったぞ、で、どうする?」
優雅に一瞥する黒の魔王。
「な、なんだこいつ……えっ?ま、魔王かっ!?」
プチ。
更に軽くキレる黒の魔王。
「……魔王さま、な」
そう言って剣を抜き、パチン!と納めた。
一瞬の動作だが、それだけで周囲の者達は全て分断され絶命した。
「この程度か?勇者は強かったぞ!お前ら、高い授業料だったな」
警備の者達が皆殺しにされている中、マコトは王子達に殴られていた。
唇が切れ、鮮血が流れる。
「おもしれぇ、ホントに抵抗しないんだ。安心して殴れるぜ」
「こっちはどうだ?」
マコトの乳房に手を伸ばす第二王子。
「さぁショウタイムの始まりだぁ!」
ボキッ。
「があああああっ!?」
その腕が見事に折られる!
「……触るな、お前なんかに触らせるために、治したんじゃない!」
現われたのは、銀色に輝く眼を持った黒色装備の少年。
その目は怒りに満ち、異様に輝いていた。
少年は胸のポケットからハンカチーフを取り出すと、マコトの唇にそっと当てる。
「……なんてことを、これがこの街を治める王族か?」
マコトは恐怖と従属紋で動けない。
動けないがそのハンカチーフには見覚えがあった。
「!?」
ハンカチーフは金色に輝き、マコトの唇を癒やしていく。
「このハン……え?あなたは?」
黒の魔王の結界内でしか、記憶を維持できないマコトは、目の前の少年が誰だか分からない。
少年は右手を軽く挙げる。
すると、巨大な窓を覆っていたレースのカーテンが引き寄せられる。
白いレースのカーテンはまるで生き物のように動き、マコトを包み込む。
「……あっ……」
マコトは身を竦める。
「ほぉ、面白い見世物だな、王族の腕を折るとは、お前死ぬぞ!」
再生し始める折れた腕。
その再生をじっと見ている黒色装備少年。
そこに、見事な踏み込みで剣を振り下ろす第三王子!
「下郎!控えろっ!」
「え?どっちが下郎だよ、女の子にこんな酷いこと!」
パキィィィイン!
剣は見事に砕け散る!
「なっ!?」
後に吹っ飛び、呆然とする第三王子。
「お、お前!?な、何者だっ!?何をした!?」
「……クロさまのマネさ」
「クロ……さま……?」
少年はマコトの顔を覗き込む。
「もう痛くないでしょう?切れた唇は綺麗に治ったよ」
「……あ……ありが……」
思わずマコトは少年の手を掴む。
震える手は冷たく、少年は悲しくなった。
恐怖で体温が低下し、まるで氷の指だ。
少年が怒りを漲らせると、掴む手に力が籠もった。
「え?」
「……ひ、酷いことしないで……」
「え?で、でもあいつらは……マコトおねぇちゃんに……」
マコトは無言で俯き、首を弱々しく振る。
王子達を睨む少年。
その目の魔力に圧倒される二人。
(コイツはヤバイ、まだ手加減している!)
「……お、おいガキ!と、取引しないか?」
「そ、そうだ取引だ!」
「取引?」
何を今更?
「そ、そうだ!その女をやる!くれてやる!だ、だから俺達を見逃せ!」
「ああ、そいつは名門レイラ家の娘だぞ!まだ男を知らぬ身だ!お前に生贄として捧げる!だ、だから俺達を見逃せ!」
「……」←怒り、上昇中。
「いい女だろう?マコト、今日からお前はそいつの女だ、奴隷だ!いいな!」
「……は……はい……」
従属紋に縛られているマコトは『はい』しかい言えない。
「よし、いいな?契約は成立だ!俺達を見逃せばそいつはお前の女だ!」
そう言って、慌てて部屋から逃げ出す二人の王子。
「騎士団は何をしているのだ!」
「早く城へ!従属紋の元はあの女が持っている!は、早く逃げるぞ!」
「バレたらマズい!俺達は仮の主人だからな!」
走り出す二人。
そしてすぐに立ち止まる。
「血の臭い!?」
目の前には分断された大量に死体が転がっていた。
「!?」
「き、騎士団が!?」
ユラリ、と現われる黒い影。
「!?」
「こ、コイツは!?」
金色に輝く眼。
その目を見た瞬間、王子達は確信した。
王族としての魔力が二人に告げる!
「ま、魔王!?」
「勇者に討たれたのでは?なぜこんな大物がここに!?」
「……魔王さま、な」
二人の王子は恐怖に戦く。
「マコトの感じた恐怖、絶望、少しは分かったか?」
何をしたのか、カクンと倒れる王子達。
その倒れた王子達を見向きもせず、コツコツ、と音を立て歩き出す黒の魔王。
凝った装飾のドアを開け、室内を確認する。
「どうだ、コガラス」
「そ、それがクロさま」
「どうした?」
「王子達が俺にマコトおねぇちゃんを譲るって言って……」
「はぁ?いや、従属紋の大本は義母のはず、あっちが上位だ」
「これからどうするのです?クロさま」
マコトはコガラスの腕を握り締め、放そうとしない。
「城へ向い、踊る」
「え?」
ブワッ、と黒の魔王の魔力が溢れ、レースのカーテンは真っ白いドレスになる!
そして魔王の右手に現われるリンゴ。
「このリンゴはお前が私達にプレゼントしたリンゴだ。お前の心が籠もっている」
窓が音も無く砕け散り、リンゴは真紅の馬車になる。
そして黒の魔王は何も無い空間からピカピカの靴と綺麗な仮面を取り出す。
「これは魔王城の宝の一つ、ガラスの靴と幻想の仮面だ」
唯々驚くマコト。
「この二つには、代々魔王の力が宿っている、この靴を履けばお前は自由に歩き、踊ることができる」
「な、なんで……このような事を?」
「お前との約束だ」
「私との……ですか?」
「ああ、だが俺サマはまだ回復途中でね、この魔法は今夜12時で切れる」
「ならばクロさま、12時までは……」
「ああ、マコトは自由だ!さぁ、この仮面を着けろ、靴を履け、城へ行くぞ!」
そしてどこからか現われる二頭の馬。
兄弟の馬だろうか?非常に仲がいいように見える。
「コガラス、俺が御者をしてやる、マコトと二人で踊ってこい」
「ええええっ!?お、俺、踊ったことないよ!そ、それに身長差が!?」
「気にするな」
「気にしますっ!ここはクロさまが踊って下さい、俺が御者をしますから」
「いいのか?」
「……う」
「マコトと踊れ、ガラスの靴と幻想の仮面がお前達をリードする、心配するな」
(クロさまも踊って下さいよ)
(何でだよ?)
(クロさまの結界内で記憶が戻ったとき、マコトおねぇちゃん、悲しむよ!)
コガラスはあの時の光景、イソイソと髪を撫で、服の皺を伸ばしていたマコトの姿が忘れられない。
きっとクロさまと踊りたいはずだ。
(……気が向いたらな)
こうして黒の魔王一行は城に乗り込む!
今回はここまでです。
物語はもう少し続きそうです。
次回サブタイトルは 第十二話 お城にて です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




