第十話 レイラ家の屋敷にて
今晩は。
投稿です。
今回はこの時間になりました。
あと、一話延びました。
十話完結の予定でしたが十一話になりそうです。
「クロさま、人バージョン禁止っ!」
「そう怒るなよ、コガラス」
ご機嫌斜めのコガラス。
男としての力量、経験、容姿、センス、文武、全てにおいて優るのもが何一つ無いのだ。
コガラスは確信した、こりゃかなわん。
その一言であった。
改めて思う。
ああ、俺はマコトおねぇちゃんが好きだったのだ。
でもマコトおねぇちゃんはクロさまに、心を奪われたようだ。
眼が、ハートだもんなぁ。
「ガルルルルルルッ」
「唸るなよ、コガラス。女性に振り向いてほしかったら、それ相応の努力をするのだな」
「……クロさまが相手でしょう?俺の努力、報われるのですか?」
果てしない努力なのでは?とか思うコガラス。
だってクロさま、男の眼から見てもカッコいいのだ!
「さぁ?全ての努力が報われるとは限らん」
「ガルルルルルルッ」
その様子を見て、コガラス元気になったなぁ、と思う黒の魔王。
あまりの魔力の高さに、生贄として差し出されたコガラス。
辺境の地で巡り会った黒の魔王とコガラス。
土地の開拓に失敗した人族、逃れるためにコガラスを置いて引き上げたのだ。
散々利用し、自分達の立場、体裁が悪くなるとあっさりと切り捨てる大人達。
黒の魔王は思い出す、コガラスと出会った頃を。
……あんな大人にはなりたくない……
コガラスの口癖だ。
「だがお前を拾ったのは、そんな大人以上に極悪の魔王だぜ?どうする?」
「なら、クロさま、俺はそんな大人以上の超極悪になって、汚い彼奴らを皆殺しにする!」
「ははっ、それはいい、だが出来ないことは口にするな」
「え?」
「ふふっ、お前に皆殺しは無理だ、むいていない。お前は基本、優しい人族だ」
「……う」
そう、だから魔王は腹が立つ!
こんな子どもを生贄にして逃げ出した大人達、権力者に対して!
「殺すのではなく、別のやり方で復讐しろ」
「どんな?」
「それはお前が考えろ、そしていつの日にか、お前の『会心の一撃』を下してやれ!」
「会心の一撃?」
「そうだ、お前を捨てて逃げた奴等、売った親、周りの者達に目の覚めるような……そうだなぁ、魂が砕けるような一撃だ!それを世界に下せ!」
「できるかなぁ」
「できるかなぁ?そんなんじゃダメだ!断言しろ!必ず下すと!」
「えええっ!?」
この時のコガラスは断言しなかった。
それが何か、想像も出来なかったからだ。
コガラスは怒りも、苦しみも、悲しみも、一人呑み込んでいた。
小さなコガラスは、それが孤独と言うことも知らなかった。
だがマコトに出会ってからコガラスは変わり始めた。
俺以上にひどくね?
俺には溢れるほどの魔力があった。
使い方は人任せだったけど、道具として大事にはされていた。
でもマコトおねぇちゃんは?俺も結構酷い目に遭ったけど、彼女は?
「コガラス」
「なに?クロさま?」
「いつもならマコトの来る時間だ」
「……そうだね……」
「……レイラの屋敷に行くぞ」
「!……で、でもクロさま、傷が……この前の戦いで開いてしまって……」
「行くぞ、イヤな予感がする」
「え!?」
「馬車の音が遠くで、聞こえたような気がするのだが」
「私は聞こえませんでしたよ、クロさま」
「……急ぐぞ」
風のように移動する二人。
最早コガラスは魔物である。
人族を名乗っているが、その動きは黒の魔王の動きにそっくりである。
「クロさま!豪華な馬車が沢山止まっています!」
「王族か?」
「騎士団でしょうか?20名程いますが?」
警備の者達を横目に、素早く進む二つの影。
見えてきた屋敷内では、マコトが服を脱ぎ始めていた。
「ク、クロさま!?」
黒の魔王の金色の眼がギラギラと輝き始める。
「た、助けに!」
「待て、ここには俺の結界がない」
「?」
「マコトは俺達を知らないのだ、思い出せない」
「!」
屋敷内では継母と義姉達、それと見知らぬ男達が数名、居座っていた。
「おいおい、このガキは公爵に献上するんじゃなかったのか?」
「いえねぇ、その公爵様がここ数日、行方不明なんですよ」
「そこで俺らに?」
「はい」
「使い古し、じゃねぇだろうなぁ?」
「いえいえ、誰も使っていません。本人に聞かれますか?それこそ従属紋、正直にお答え致しますよ、うふふっ」
「ふん、まぁいい」
「……それで今日のお城で舞踏会、どうかその場で我ら3名の名をお呼びください、そして踊って下さりませ」
「第二王子と第三王子に名を呼ばれれば、名誉、格も上がると?」
「はい、まずはこのマコト・デ・レイラ、名門レイラ家の最後の一人を献上します、従属紋も譲渡致します、まぁ従属紋は舞踏会の後で、ですが……」
「ふん、この子爵の娘、自由にしていいのか?」
「はい、死ねと言えば喜んで死にますし、なんでも言いなりです」
「確かに全部脱いだなぁ」
ギラギラと好色そうな眼が光り出す二人の王子。
「私達は今からお城に上がります、どうぞ夜の舞踏会までお楽しみ下さい。マコトッ!王子さま達に逆らうな、いいね」
「……は、あ……あはいぃ、お゛義母さま……」
「ほぉ、泣きながら返事をするのか、これは面白い、壊しがいがありそうだ」
「なぁ、兄上、どうやって遊ぶ?衛兵を呼んで見世物にするか?」
「ご自由に。では、夜の舞踏会で」
そう言って、颯爽と屋敷を後にする義母達。
その様子を見ている黒の魔王とコガラス。
コガラスは今にもブチギレそうである!
「コガラス、お前はマコトに服を、カーテンでも毛布でもいい、素早く渡せ」
「は、はいっ!」
「あのクズ二人とお付きの者達は俺が斬る。まずは正面に引きつける、その間にマコトを保護しろ、いいな」
「え?でも従属紋が!それに騎士団ですよ、耐魔装備で剣も聖属性です!」
「勇者に比べれば……いや比べるまでもない」
「従属紋は……」
コガラスはどうにかして、マコトの従属紋を解きたいのだ。
「従属紋?俺が誰だか知ってるか?コガラス」
「え?黒の魔王さま、ですけど?」
「そうだ、黒の魔王だ。まぁ重傷で魔力は上手く使えねぇが、女の子一人くらいは助けられそうだ。いいか、マコトの前では誰一人殺すなよ、従属紋が反応するかもしれん、行くぞ!」
一瞬で正門前に立つクロの魔王。
そして騒ぎ出すお付きの騎士団、衛兵達。
十話完結の予定でしたが、一話延びました。
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第十一話 踊り続ける二人、そしていつの日にか! の予定です。
投稿時間は未定です。




