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階段の司書室  作者: いす
83/84

スーパーボール

83話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

「あれ?」

部屋の中に何かが跳ね返る音がする。

その音の出どころを探して遠が辺りを見回すと、一つのボールが床に落ちていた。

それは丸いボールで中にキラキラとした金箔のような物が混じっている。

スーパーボール…?

昔なら誰しも一度は見たことがあろう懐かしのボール。

それが、床にコロコロと転がっていた。 

もしや、さっきまでの音の原因はこれだったのだろうか。

それを拾って、元あった場所に戻そうとする。

この部屋の入り口の棚。

つまり、図書館から見てガラス張りの部分には、殺風景回避のためにフクロウの人形だったり、小さなかごにカラフルなスーパーボールを置いてある。

人気のない図書館の必死の努力なんです…。

ちょっと落ち込みながらも、彼はかごにボールを置く。

あれ…でも、誰がこれを落としたんだろ…。

このかごに溢れんばかりに入っていたならさっきの事は起こりうるが、中身を見ても溢れるような量ではない事が分かる。

「…………」

雹は…まずありえない。

手に本がある時点でこんなことは起こせない。

そして、

「僕も…してない…」

さっきまで、棚から離れたソファのところでゆっくりとくつろいでいた。

偶然、ボールを動かすような振動を起こすことは無かったであろう。

…なら、消去法でいくならば。

「にゃー、にゃー」

「まさか…君?」

「にゃー!」

近寄ってきたにゃんこを抱き抱えるように持って、見つめながら聞いてみる。

返事らしきものをしたにゃんこは居心地良さそうにごろごろと喉を鳴らす。

まぁ…動物に罪はないし…。

と、遠は納得し、すぐににゃんこを床に戻す。

「怪奇現象とかじゃなくて良かったぁ…」と、安堵し、ソファに戻る遠の後ろでにゃんこは棚に器用に上り、そして、かごの中身を眺め始める。

…なにかに引かれるようにジーっと見つめ…かごに手をかけた。

すると、かごの中身のボールは弾けるように謎の力を纏ってあちこちへと散らばっていく。

そこに、そこそこの高さから落ちたという事実を付け加えれば、次にどうなるかは予想がつく。

「ん!?」

ただならぬ音に反応して遠が振り向くと、目に写ってきたのは大量の謎の力を得た丸い物体。

「あだっ!」

それが壁、床、天井に勢いよく反射して、見事、彼の額に強く叩きつけられた。

「なんで…なんでさ…」

床に転がり痛む部分を押さえる彼を越して、スーパーボールはどこまでも進んでいく。

次の目標と言わんばかりに、それらは雹に向かって跳ねていく。

「……あっ、雹!避けて!」

「……………ぐふっ」

「あぁ…。…まぁ、当たり前だよね」

咄嗟に叫んだ遠だったがもちろん、彼みたくに反応なんて出来るはずもなく、おでこに綺麗に青色のボールがクリーンヒット。

本が大きな音を立てて床に落ちていく。

雹が倒れた姿を見て、また納得した彼。

棚の近くではそんな様子を意味がわからないと言った感じで、にゃんこは無邪気にも眺めている。

…しばらくすると、スーパーボールも跳ねる力を失っていき、どんどんと床にコロコロ転がっていく。

しっかりと最後の一個も止まったことを確認すると、遠はゆっくりと立ち上がる。

幸いにも掃除をしてすぐだったお陰か、崩れた本山から変にほこりが舞ったりすることは一つとして無かった。

その事に「良かった…」と、漏らした彼は仰向けに床に倒れている雹に近づく。

「雹…大丈夫?」

「………………」

「気絶してる…」

微動だにしない雹を抱き抱え、椅子にゆっくりと腰掛けさせる。

近くに落ちた本もきちんと、彼女の手元に戻しておく。

「にゃー?」

と、彼の耳に鳴き声が聞こえてくる。

…………。

「…………」

「にゃ…にゃあん…」

彼のただならぬ気配を感じで、にゃんこは許してほしさか愛らしい声を出す。

罪はないと言ったけれど、罰ぐらいは与えてもいいんじゃないだろうか。

彼の頭にそんな考えがよぎる。

「ねぇ…」

「にゃー…」

ジリジリ迫る彼の一瞬の隙を見て、急いでにゃんこは窓から出ていく。

「あっ!逃げられた…。…まぁ、とりあえず片付けないとだね…」

素直に諦めて散らばったボールと崩れた本を元に戻しに行く。

…しばらくの間、にゃんこがここに来ることは無くなった。

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