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階段の司書室  作者: いす
82/84

掃除

82話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

遠は掃除機の電源コードをコンセントにさして、ソファにぐでっと倒れる雹に声をかけた。

「ひょーう?掃除するからちょっと退いてー?」

「今…寝てるのに…どうして掃除なんか…」

「…この前も雹が似たような事言って、掃除、延期になったでしょ?」

周りを見渡せば、ちらほらとほこりが貯まっている場所がある。

そろそろ掃除の一つでもしなければ、身体を崩す原因になり兼ねない。

「うー…めんどくさい…」

「図書館の方にも椅子とかあるでしょー?あっちで寝てていいから」

「うー…」

雹はむくっと起き上がり、のそのそと図書館の方に向かっていった。

眠そうに目を擦る彼女の表情は少し嫌そうだった。

「よーし、じゃあちゃっちゃと終わらせようか!…………あの?」

「にゃ…にゃー!しゃーっ!」

電源ボタンを押して、掃除機の少し大きな音が広がると、何処からともなくにゃんこが駆けつけてきて、ひたすらにその音の原因にパンチをかます。

…猫が掃除機が苦手だったりすることがあるのは聞いたことがあるけど…まさか駆けつけてまで殴りかかりに来るなんて…。

なにか、このにゃんこにはトラウマがあるのだろうか。

「ちょーっと退いててねー?」

「しゃーっ!…にゃあ」

抱き抱えるとすぐににゃんこはいつもの様子に戻る。

せっかく掃除した場所にも残念ながら白い毛がまた降ってしまった。

「はーい、あっちで雹と一緒に休んでてねー?」

「にゃー」

図書館への扉を開けると、駆け足で雹の元へと向かっていった。

「…ふぅ。行ってくれたね。今度こそ」

「ねー…」

「…ん?あれ?雹、図書館で休んでないの?」

「…手伝う」

話す彼女の手にはほうきとちりとりが握られている。

いつもなら最後まで寝ていたり、本を読んでいたりするというのに。

春という季節は案外やる気にさせてくれるものなんだろうか。

「じゃあ、お願いしようかな。えーっと…あ、そこの本棚の裏とか。掃除機だとちょっと難しいから」

「りょーかいっ…!」

「……。…あと…にゃんこは…また図書館に戻っててね?」

「ニャーッ!」

ちゃっかり雹の後に付いて、静かな掃除機を殴り続けるにゃんこは申し訳ないが戻って貰う。

「おぉ…ほこりだらけ…」

「感心してないで、ちゃんとやってよー?」

「大丈夫…!」

本棚の裏を楽しそうに眺める雹に一言言ってから、また掃除機の電源をつける。

にゃんこのお陰…というかなんというか白い毛玉があちこちにあって掃除のしがいがあるものだ。

遠はよしと意気込んで様々な場所を掃除機を巧みに扱って綺麗にしていく。

それに感化されたのか、雹も真面目にやり始めてくれた。


…そしてしばらく。

大まかなところを綺麗に片付け、白い毛一本として見えない司書室を二人で一緒に眺める。

「終わり…?」

「うん、これでおしまい。」

「細かいところは?」

「それならもうちょっと前に雹が寝てるときに片付けておいたから大丈夫」

流石に一緒にやっては放課後を丸々捨てかねない。

きちんと丁寧にしなければ掃除は意味がない。

…と、司書室の扉からカリカリと音がする。

…あっ、にゃんこ。

彼は急いで扉のもとに駆け寄る。

「にゃーん」

「遅れてごめんねー?」 

「にゃー」

許してくれたのかどうかは分からないが、特に掃除機も探す様子はなく、ソファにのそのそと向かっていった。

「…くぁぁっ…」

雹が小さくあくびをした。

「眠い?」

「ん……」

「あ、そうだ。前は雹がひざまくらしてくれたから、今度は僕がしてあげようか?」

「んー…」

寝むたいながらも彼女は、ゆらりとしながら頷く。

それを見てから遠はソファに座り、膝を空けたのたが…

「あ、雹」

「すぅ…すぅ…」

真正面から倒れる形で雹は遠に身体を任せる。

「あー…」と、どうしよう考える彼のもとにそっと、にゃんこも身を寄せた。

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