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階段の司書室  作者: いす
70/84

猫・3

70話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

すっかりと居着いてしまったあの、真っ白なにゃんこ。

暇になれば先生も来て、例の愛鳥なみに猫を溺愛し始めている。

前にラブレターのようなものを貰っていたと言うのに…やっぱり、立場があるから断ってしまったのだろうか。

「にゃー」

いつもの鳴き声と共に、ぽふんと膝に真っ白な塊が乗る。じんわりとした生き物の暖かさが膝から全身に伝わっていく。

「どうしたんだろうなぁ…先生…」

窓から伝う涼しい風に釣られてか、窓の近くで読書をしている雹を眺めながら遠はそんなことを呟く。

撫でてほしいのだろう、そんな彼の手を猫はぺしぺしと叩く。

「にゃー」

「あ、ごめん」

「にゃーん♪」

ふわりふわりと猫の頭の方向に向かって撫でていく。

撫でる度に猫から鳴き声がして、まるで雹と同じような反応である。

……。

「にゃー…」

「…よしよし。……え?」

ずっと考え事をしながら撫でていると、急に手に触れるものが変わる。

それはちゃんとした猫っぽい鳴き声なのだが、この感触は明らかに別物。

まるで…人の髪のような…

「にゃー…」

「雹…なにやってるの…」

「…見ててうらやましかった」

真顔で雹はそう言う。

そして、その願いの通りに頭を撫でると「ふふ♪」と、猫には出せない人間らしい声が漏れでる。

…あれ…じゃあにゃんこは?

ちょこんと床に座る雹を撫で続け、消えた真っ白を探す。

…と、急に首の辺りにズシンと重みが。

首を動かして、椅子と自分との境目を見ると、その空いたスペースに器用に乗っかっているにゃんこがそこにいた。

首にかなりの重さが預けられている。

「なにやってるの…」

「にゃー」

もちろん猫がしっかりとした言葉で答えることなんて出来ず、愛らしい声で返すだけ。

前門の雹に後門の猫。

そんな図が完成していた。

「気持ちい~…」

「にゃ~」

後ろからも前からも声が聞こえる。

挟まれた遠は身動きが取れない。

これ…変に動いたらにゃんこが椅子と自分とのスペースに落ちてうっかり挟みかねないよね…。

気持ち体を前に倒して、安全になるようにする。

と、そっちに意識を向けると、撫で足りない雹が遠の手を持ち、「早く早く」とにぎにぎしてくる。

「あの…ちょっと…」

「もっと…」

「にゃぁ…」

…本の積み重なった部屋に、人が二人と猫が一匹。

開け放たれた窓からは風か入ってきて、そんな積み重なった本たちのページを人が読むよりも速く、何枚も捲っていく。

そして風だけでなく、新しくここに来た、青春を楽しむ声も響いてくる。

歓声に応援に他にも今しか聞けない無数の声達。

そんな声の中に静かに、だけどはっきりとこの司書室の声も、その中に混じっていた。

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