猫・2
69話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
最近、あの白い猫がよく来るようになった。
窓を開けていればかなりの確率でそこから入ってくるのだが、理由はやっぱりわからない。
餌もこんな頻度で来るなんて予想しておらず、相変わらず
用意なんてしてなくて、それに快適な寝床もあるわけではない。
なのに、よく入ってきては
彼の膝に乗り、雹とのバトルを勃発させている。
そして今日も…
「にゃーん」
「いらっしゃい…」
窓に来た猫を見て、雹は笑顔で出迎える。
いつもならここで雹も威嚇をしたり、もしくは本に没頭していて気づかないのだが、今回はちゃんと対策を施していた。
「雹…ずっと乗られると…」
「ふふん…♪」
遠の膝に一足早く腰を掛けていたのだ。
そんな、猫よりも優位に立っている雹は蠱惑的な笑みを見上げて彼に見せた。
「…にゃ」
「ふふ…にゃんこよ…私の勝ち」
嬉しさのあまりか、雹は小さく揺れる。
「雹…」
「ふふふ…」
猫は不適に笑う雹に、足を潜めそろりそろりと近づく。
一体何をするのだろうと、彼の視線は雹のつむじから猫へと移動する。
「…?」
「………」
「ふふ…♪」
猫は変わらず笑い続ける雹に対して、目線を反らすことなく足を潜め、迫る。
………。
「にゃあっ!」
「あぶっ…!」
大きな鳴き声と共に、猫は雹の顔面へと飛びかかる。
響く猫の鳴き声と、悲鳴に等しい真っ白な毛に覆われた雹の声。
「にゃぁぁぁ!」
荒れ狂う猫は一心不乱に爪を振り回す。
そして、爪が振り下ろされる度に雹から悲鳴が聞こえる。
「ちょ、ちょっと!」
一体どうすればと見ることしか出来なかった脳が、やっと止めることを判断して、猫に手を伸ばす。
そして、ガバッと雹から外して持ち上げる。
だが、まだ怒りが治まっていない様子の猫は、空を切っても爪を振り続ける。
「にゃーっ!シャーッ!」
「ちょ、止まって!」
「にゃぁ…!にゃ…にゃあ…」
ゆっくりと、時間をかけて爪が振り下ろされる回数が減っていき、少し待っているとピタッと制止する。
ビヨーンと伸びた猫の足は、気だるげにプランプランしている。
「よかったぁ…雹…大…」
「うぅぅぅぅぅ…」
「丈夫…では、なさそうだね…」
さっきの笑みは何処へやら、雹の顔は、爪の傷と大粒の涙、そして泣き顔。
小さく唸る彼女は痛みからか小刻みにプルプルと震え続ける。
「え~んぅ~……」
「あ~…傷だらけ…涙も…」
猫を椅子の脇に置いて、顔を見せる雹の涙を拭いていく。
自業自得な気もするけど…。
と、叱りたい気持ちもあるが、流石にこの状態で怒る気にはなれない…。
今はとりあえず、慰めないと…。
「うぅぅ…」
「よしよし…大丈夫大丈夫…」
「………っ」
次第に声も小さくなり、規則正しい息づかいが聞こえ始める。
それに安心して、置いた猫に視線を向けると置いた場所から一歩も動かず、そこでゆっくりとこちらを見上げていた。
…そして、しばらくして雹の顔を上げると、そこにあるのは涙が残った寝顔。
そんな彼女の頭を優しく撫でて涙をまた拭いていくと、真っ白な猫が近づいてきて、ぽふん、と彼女に膝に乗っかった。




